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Ver.2.0 ~広がる大海原の世界~

ver.2.6-62 戦隊ものに、対抗していたりする

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‥‥‥裏魔界からの脱出に関して、プロト使用人のルルアとダリアの二人に聞くと、予想通り魔界の門・裏から出るのが正解らしい。
 ただし、この裏魔界はまだ完全に開放されていなかった状態なのであちこちが不安定らしく、そのせいで門に足が生えてしまい、あちこち動き回っている状態なので簡単に見つけることができないそうだ。

「いや、門に足が生えているってどういう事?なんでそうなるの?」
【プログラムを構築、デバッグ作業を行っている最中なのですが、どうも変に絡み合う部分があったらしいです】
【その絡み合う部分で、門のプログラムと裏魔界に設置予定だったモンスター『百畳大百足』が混ざったようで、足が生えたようなのです】

 百畳大百足とはどういうものなのかとツッコミを入れたいが、どうやらまだまだテストをしている最中で、本来ならばここにプレイヤーが入り込むことはなかった。
 だが、ここでの作業のしわ寄せがどうもクリムゾンクリスタルの谷に集まっていたようで、その所為でバグが発生し、まだ登場させる予定の無かったドラゴンが出現するようになってしまい、今回の悲劇につながったようなのである。


 要するに、運営側の不手際によって僕らの方に迷惑がかかってしまう形となってしまい、現在はそのお詫びとして門までの案内と次回アップデートで予定している情報を先行公開などをしてくれるようだ。




 そんなわけで選ばれてきたのが、ルルアとダリアの二人。
 本当はもうちょっと新職業とやらが実装予定らしいが、ちょっと間に合わなかったのでこの二人が先行してやってきたようである。
 きちんと動く門にも対応して、追跡できるようになっているようで、彼女達の案内があれば迷うことなく真っ直ぐたどり着けるようだ。

 また、わざわざ新しい職業の技術を身に着けているらしく、せっかくなので実際にその戦闘を見てみると、従来の戦士や魔法使いなどとは戦い方が違っていた。


【はぁぁぁ!!】
ドッゴォォォォン!!
【ゴッベバァァァン!?】

 タンクバズーカのダリアが盾で正面から敵の攻撃を受け止めつつ、ゼロ距離から砲撃を行う。カウンターにちょっと近いが、基本は受け止めてバズーカで反撃のスタイルらしい。 
 もうちょっと装備を切り替えれば、拳を打ち込んだり、ハンマーで対応するなど、主に重武装で身を固めて攻守ともにバランスよく整えている職業になるのだとか。

【ぜやぁぁ!!】
ズバシュゥッ!!
【ヒゲッツ!?】

 一方で、デスイーターのルルアの方は大鎌をふるって切り裂くだけではなく石突部分で槍のように突いたり、吐かれる炎を鎌を回転させて防御するなど、見た目的にやや派手さを控えさせつつ中二病とかそういう心をくすぐられるようなスタイルだ。
 こちらの方は実装理由が運営に寄せられた意見の中にあるようで、ファンタジーがメインの世界観になっているのであれば、いっそファンタジーにありそうなダークサイドの部分の武装を使いこなせるようなものが欲しいというものが採用されたらしい。

 バランス重視に、戦闘スタイルの重視‥‥‥両方にそれぞれ分けているようだ。

「それにしても、盾で受けて背後から奇襲をかけたり、バズーカでふっ飛ばしたあと反撃される前に脛を狙って斬りつけるとか、連携もできているように見えるな」
【当然です。私達はプレイヤーがパーティを組むことを想定して、作られていますからね。プロト使用人は試作品のものを扱う使用人としての任務があり、それをこなしているだけです】
【その代わり、少々使用人としての能力の一部を戦闘方面に振ってしまったせいで、他の使用人と違いちょっと口調に個性が無くなってしまったのが残念ですが、二人で一つの戦い方が出来るので、満足はしているのです】

 戦闘面に振った事で、使用人としての個性を少々犠牲にしているらしい。そう言えば、確かにロロとはまた話し方が違うというか、割と標準っぽい話し方をしている気がしなくもない。
‥‥‥使用人として話し方にデス、マスのような個性があるなのは、ここの運営の方針なのだろうか。そしてその個性は削られると失われるものなのだろうか。



 少々気になる事情が垣間見えたが、気にしないでおこう。二人とも今回限りの救助として付き添ってくれるようだが、この二人のデータも今後のアップデートに活かされて、僕らがその恩恵にあずかれるのであれば文句を言うことも無い。
 しいて言うのであれば、こういう使用人コンビと言うか、コンビ感はどことなく魔法少女っぽいような‥‥‥武器が全然メルヘン感も何もないけれどね。

【何を考えているのか、大体わかります】
【そしてそれはちょっと当たっています。まぁ、このコンビになったのはそれも少々理由があるのですが…‥】
「え、口に出してないのに分かるの?と言うか、魔法少女っぽい理由もあったの?」
【はい。何でも最近、ちょっとばかり変態なヒーローっぽくない戦隊が出没するという情報をきいているのです】
【それで、後々問題にならないために、その戦隊をちょっとお仕置きしようという事で、どの様な手段が良いのか模索したのです】
【【その結果、何故か魔法少女コンビ風なのが良いという結論になりました】】

 そろって口に出されたが、正直その噂の戦隊とやらに心当たりが非常にあり過ぎる。

 と言うか、そんな運営にも情報が届くほど、何をやらかしているのだろうかあの人たちは。


 結成理由に知り合いが関わっていることは聞かなかったことにして、ひとまず今は門へ向けて一緒に先へ行くのであった…‥‥ 

「ちなみに聞いておくけど、もしその変態戦隊に出会ったら?」
【もちろん、伐採いたします】
【至近距離で撃ち出します】

‥‥‥その出会いの日は、できれば早くやってきてほしいかもしれない。
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