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Ver.2.0 ~広がる大海原の世界~
ver.2.6-61 きちんと動く人、後でお仕置きになる人
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キャタキャタキャタと音を立てながら、陸路を行く魔導船。
船なのに海を行かず、このまま走行して良いのかなと思いもしたが、考えたら空を行くというのも船としてはどうなのかという事に気が付き、気にすることはなくなった。
「それにしても、もうちょっと騒音が出るかなと思ったけど、案外静かに進めるな‥‥‥疲れるけど」
【シャゲシャゲシャゲェ‥‥‥】
【ガウガウガーウ‥‥‥】
船はまだ気絶した状態なので人力+モンスター力で進めているのだが、僅か漕ぎで一気に進むと言えば進む。
けれども、時間が経つと流石に疲れてくるので、そろそろ休憩を入れることにした。
「ふぅ、現実でやっているわけじゃないけど、気分的に足にくるなぁ」
【ギャビィ】
【オォォン】
全員それぞれが乗っていた装置から降り、足をぐぐっと伸ばし合う。数名ほど脚じゃないような気がするが、ツッコミ疲れするからやめておこう。
「裏魔界から出るには、あの門を捜さなければいけないけど‥‥‥本当に無いなぁ」
入って来たなら、逆に出ればこの裏魔界から出られるはず。
そう考えて魔界の門・裏を捜しているのだが、来た方向には見当たらず、周囲を捜すもあたりは静寂な闇に包まれているので見つけずらい。
いや、正確には魔界の方には無い星空が見えているので、明かり自体が無いわけでもないのだが、それでも夜中に捜すようなことになるのでちょっとわかりにくいのだ。ライトアップしても、でかい虫のモンスターが寄って来て、気持ち悪かったしなぁ‥‥‥でもなぜカブトムシ型のでかい奴だったのか。
とにもかくにも、このまま探しても中々状況は好転し無さそうだから、もうちょっと違う方法が取れないかと考えようとしたその時だった。
【ン?】
「どうした、ロロ」
【今、使用人間の通信の方で連絡が…‥‥ああ、ハイ。なるほどなるほど、分かりまシタ】
ごそごそと手を動かし、何か連絡を取り合うロロ。
プレイヤー同士のメールのやり取りのようなものが使用人の方にもあるらしく、時たまそれで連絡を取り合っているらしいが、裏魔界でも問題なく使えるらしい。
【ご主人様、朗報デス。運営がすぐに動いてくれたようデス】
「というと?」
裏魔界に突入して周囲の探索をしている合間に、ロロは運営に向けて状況の報告をしていたらしい。
元々彼女は運営から派遣された使用人でもあるので、何かあれば即座に連絡できるようにしているそうで、今回の裏魔界に突入した件を既に報告していたのだ。
【どうやら今の状況は運営にとっても色々とやらかした末の結果のようでして、お詫びのために動きまくっているそうデス。クリムゾンクリスタルドラゴンのあたりからミスが存在していたようですネ】
ロロ曰く、この状況に陥った原因でもあるドラゴンの時点で何やら運営の方で様々な手違いやら行き違いによるミスが存在していたらしく、それに僕らは偶然巻き込まれる形になったらしい。
それゆえに、色々と不味い事になったようで即座に状況解決のための策を出しているそうだ。
【あと数十秒以内に、運営からの救助隊が派遣され、裏魔界からの脱出が出来るようデス。それと、今回のやらかしのお詫びも兼ねて、次回アップデートに予定しているものを出すなど、補償をしっかり用意済みのようですネ】
そうこうしている間に、ふと空の彼方から何かが大砲で撃ち出されたがごとく綺麗な放物線を描いて吹っ飛んできた。
しかし、音を立てることなく綺麗に着地し、その姿を見せた。
【…‥‥お待たせいたしました、プレイヤー『ハル』さん】
【今回は、私ども運営のミスにより、このような事態を引き起こしてしまい、申しわけございません】
出て来たのは、二人の姿。
ロロのような使用人の姿だが、それぞれ微妙に色合いが異なっており、何やら大きな武器を持っていた。
ピンク色の髪をしている使用人の方は、背中に大きな鎌を背負っている。
もう片方の紫色の髪をした使用人の方は、大きな盾を持っているが、よく見れば盾の後ろに隠れるようにして大きな大砲も持っていた。
「えっと、ロロの言っていた運営からの救助隊ってことで良いのかな?」
【はい。私どもは派遣されつつ、お詫びも兼ねて先行的に次回アップデートの要素をお知らせするために送られてきました。新職業『デスイーター』、大鎌を振るうプロト使用人『ルルア』です】
【私は新職業『タンクマン』…‥‥の発展前、『タンクバズーカ』のプロト使用人『ダリア』です】
【【裏魔界からの脱出まで、しばし同行をして救助をお助けいたします】】
深々とお辞儀をして、そう名乗る二人。
新職業に、プロト使用人って…‥‥アップデート要素と聞くが、色々と気になるのが出たんだが。
色々とツッコミを入れたくはなったが、ひとまずはこの裏魔界からの脱出に方針を固めて僕らは動き出すのであった…‥‥
―――――
『デスイーター』
大鎌をメインとした新職業。
次回アップデートで職業変更が可能になる中で、新しい選択肢として作られている。
現在は物理・魔法攻撃に関する調整が行われており、新しい装備のレシピや敵モンスターの挙動を確認するために様々な実験も行われている。
『タンクバズーカ』
大盾+大砲を兼ね備えた新職業の試作品。
『タンクマン』と呼ばれる新職業を作る前に用意された攻撃にやや傾けている防御系の職業。
とは言え、別のところでの確認作業の中でいらない可能性が色々と出てきており、現在実装に向けての調整作業や向いている人向けの講習なども練られている。
船なのに海を行かず、このまま走行して良いのかなと思いもしたが、考えたら空を行くというのも船としてはどうなのかという事に気が付き、気にすることはなくなった。
「それにしても、もうちょっと騒音が出るかなと思ったけど、案外静かに進めるな‥‥‥疲れるけど」
【シャゲシャゲシャゲェ‥‥‥】
【ガウガウガーウ‥‥‥】
船はまだ気絶した状態なので人力+モンスター力で進めているのだが、僅か漕ぎで一気に進むと言えば進む。
けれども、時間が経つと流石に疲れてくるので、そろそろ休憩を入れることにした。
「ふぅ、現実でやっているわけじゃないけど、気分的に足にくるなぁ」
【ギャビィ】
【オォォン】
全員それぞれが乗っていた装置から降り、足をぐぐっと伸ばし合う。数名ほど脚じゃないような気がするが、ツッコミ疲れするからやめておこう。
「裏魔界から出るには、あの門を捜さなければいけないけど‥‥‥本当に無いなぁ」
入って来たなら、逆に出ればこの裏魔界から出られるはず。
そう考えて魔界の門・裏を捜しているのだが、来た方向には見当たらず、周囲を捜すもあたりは静寂な闇に包まれているので見つけずらい。
いや、正確には魔界の方には無い星空が見えているので、明かり自体が無いわけでもないのだが、それでも夜中に捜すようなことになるのでちょっとわかりにくいのだ。ライトアップしても、でかい虫のモンスターが寄って来て、気持ち悪かったしなぁ‥‥‥でもなぜカブトムシ型のでかい奴だったのか。
とにもかくにも、このまま探しても中々状況は好転し無さそうだから、もうちょっと違う方法が取れないかと考えようとしたその時だった。
【ン?】
「どうした、ロロ」
【今、使用人間の通信の方で連絡が…‥‥ああ、ハイ。なるほどなるほど、分かりまシタ】
ごそごそと手を動かし、何か連絡を取り合うロロ。
プレイヤー同士のメールのやり取りのようなものが使用人の方にもあるらしく、時たまそれで連絡を取り合っているらしいが、裏魔界でも問題なく使えるらしい。
【ご主人様、朗報デス。運営がすぐに動いてくれたようデス】
「というと?」
裏魔界に突入して周囲の探索をしている合間に、ロロは運営に向けて状況の報告をしていたらしい。
元々彼女は運営から派遣された使用人でもあるので、何かあれば即座に連絡できるようにしているそうで、今回の裏魔界に突入した件を既に報告していたのだ。
【どうやら今の状況は運営にとっても色々とやらかした末の結果のようでして、お詫びのために動きまくっているそうデス。クリムゾンクリスタルドラゴンのあたりからミスが存在していたようですネ】
ロロ曰く、この状況に陥った原因でもあるドラゴンの時点で何やら運営の方で様々な手違いやら行き違いによるミスが存在していたらしく、それに僕らは偶然巻き込まれる形になったらしい。
それゆえに、色々と不味い事になったようで即座に状況解決のための策を出しているそうだ。
【あと数十秒以内に、運営からの救助隊が派遣され、裏魔界からの脱出が出来るようデス。それと、今回のやらかしのお詫びも兼ねて、次回アップデートに予定しているものを出すなど、補償をしっかり用意済みのようですネ】
そうこうしている間に、ふと空の彼方から何かが大砲で撃ち出されたがごとく綺麗な放物線を描いて吹っ飛んできた。
しかし、音を立てることなく綺麗に着地し、その姿を見せた。
【…‥‥お待たせいたしました、プレイヤー『ハル』さん】
【今回は、私ども運営のミスにより、このような事態を引き起こしてしまい、申しわけございません】
出て来たのは、二人の姿。
ロロのような使用人の姿だが、それぞれ微妙に色合いが異なっており、何やら大きな武器を持っていた。
ピンク色の髪をしている使用人の方は、背中に大きな鎌を背負っている。
もう片方の紫色の髪をした使用人の方は、大きな盾を持っているが、よく見れば盾の後ろに隠れるようにして大きな大砲も持っていた。
「えっと、ロロの言っていた運営からの救助隊ってことで良いのかな?」
【はい。私どもは派遣されつつ、お詫びも兼ねて先行的に次回アップデートの要素をお知らせするために送られてきました。新職業『デスイーター』、大鎌を振るうプロト使用人『ルルア』です】
【私は新職業『タンクマン』…‥‥の発展前、『タンクバズーカ』のプロト使用人『ダリア』です】
【【裏魔界からの脱出まで、しばし同行をして救助をお助けいたします】】
深々とお辞儀をして、そう名乗る二人。
新職業に、プロト使用人って…‥‥アップデート要素と聞くが、色々と気になるのが出たんだが。
色々とツッコミを入れたくはなったが、ひとまずはこの裏魔界からの脱出に方針を固めて僕らは動き出すのであった…‥‥
―――――
『デスイーター』
大鎌をメインとした新職業。
次回アップデートで職業変更が可能になる中で、新しい選択肢として作られている。
現在は物理・魔法攻撃に関する調整が行われており、新しい装備のレシピや敵モンスターの挙動を確認するために様々な実験も行われている。
『タンクバズーカ』
大盾+大砲を兼ね備えた新職業の試作品。
『タンクマン』と呼ばれる新職業を作る前に用意された攻撃にやや傾けている防御系の職業。
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