アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.2.0 ~広がる大海原の世界~

ver.2.5-41 魔界へようこそ、新しい世界

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‥‥‥新しい魔界という地は、今までのエリアとはまた違った様相を見せていた。

 今までのものは同じ空を共有していたが、ここは地の底というべきなのか、結構遠いが天井が存在しており、鍾乳洞のようにとがった岩がびっしりと生えている。
 けれども真っ暗ということも無く、夕暮時のような色合いで光があり、常時黄昏時のような世界というべきなのかもしれない。

 ついでに言うのであれば…‥‥


【ホンゴォォォォォォウ!!】
【ベンゴォォォォォォォウ!】

「魔界前のエリアに比べて、おもいっきり邪悪そうなモンスターが多いなぁ!!」
【シャゲシャゲェ!!】
【好戦的なのも、困りものデス。しかも真正面から堂々とならばまだしも、状態異常系の攻撃を駆使してくるので、なかなか厄介デス】
【ギャビィ!!】

 毒ガスには毒ガスで、麻痺には電撃で、硬直には拘束で、威圧ならば恐怖で倍返しをしまくっているのだが、中々相手の攻撃が激しい。
 魔界という場所だからこそ好戦的な者が多い、弱肉強食な生態系が形成されているようで、これまで通りの相手と想定しては確実に苦戦間違いないだろう。さらに言えば、この魔界の地だとどうも魔界出身以外では色々と影響を受けるようで、やりづらい面もある。

―――――
状態異常:『常時魔力過多状態』
魔界では大気中にMPが溢れているおかげで常時MPが回復されるのだが、その回復量は上限を突破しやすく、そのせいでMPによって使用できるスキルの発動時間が倍以上に伸びる。
魔界出身のモンスターや亜人種族であれば効果はないが、魔界以外の者たちに限定でかかる状態異常である。

状態異常:『連続使用不可』
スキルを使用後、再使用までには別のスキルを合間に挟む必要が生じる状態異常。魔界内では同じ手段が通じない相手が多く、その影響がこの世界そのものに刻まれているので概念的な状態異常として魔界以外のものたち限定にかかるとされる状態異常。
―――――

 一度スキルを使用すれば、再使用までの時間がこれまでの倍以上。だからこそ状態異常を使うスキルなどがやや扱いづらい。スキル無しで攻撃もできるのだが、それを対策しているというように異様に防御力が高い敵なども多いので、生半可に挑めば敗北する可能性も大きいだろう。

【オォォォォォォン!!】
【バルルルルゥ!!】

「とは言え、全員しっかり鍛えているし、隙が出ないように交代しながら攻撃する連携もできているからどうにかなっているか…‥‥」

 一度攻撃した後に隙が出来るのであれば、その合間にできる者が代わりに攻撃を行ってできるだけ相手に反撃をする時間を与えないようにすればいい。同時攻撃での大火力もありだが、こうやってこまめにやるのもありだろう。

 それにRMPのスキルで皆の力を僕が使う事もできるからね。連続で同じような攻撃を仕掛けて、怯ませていく手段も可能だし、毒の重ね掛けや強烈な同じ個所への攻撃などもできて、色々と対策できる。




 色々と魔界に出てくる敵対モンスターと戦闘し、こちらの戦略の欠点などを見つけ、対応できる戦法を増やしていく。
 新しい敵が出れば出るだけこちらに情報が集まり、考えて生かすことが出来るので中々魔界の地は戦闘面での強化に関して向いている地だと言えるだろう。

 そうこうしているうちに魔界の奥へ進んできたが、既にあちこちで魔界に入っていたプレイヤーたちの姿を見かけるようになってきていた。それだけ僕らの進行速度が速くなっていたのか、あるいはここで対応に追われている人が多いのか、戦闘に苦戦している人たちも見るだろう。

「まぁ、楽に進めるわけでもないか。MPが常時過多で尽きないけど、HPなどは減るし、その他状態異常に対策するポーションなどの在庫も不安になるからなぁ‥‥‥」

 なお、面子的に状態異常に関して耐性は皆高い。

 それでも、強力な状態異常攻撃に完全無欠という訳でもなく、削られていたり、混乱させられたりとあったので油断はできない。

「しかも状態異常ばかりじゃなくて、これまで見ないような攻撃をしてくるやつもいたな。貫通攻撃ってありか?」
【ありでしょウ。鎧などで防御力を上げても、それを無視して攻撃が出来る相手が出てくるのは予想できましたからネ】

 身を固めていても防御を無視して攻撃してくる輩や、一部の攻撃を反射してくるやつもいるので、攻撃ばかりに集中してはいけない。
 油断できない相手が多い…‥‥まさに、魔界というにはふさわしいだろう。


 それにしても、魔界には悪魔も住まう場所があるって聞いたけど、まったく見ないなぁ。おもったよりも広いし、もしかすると弱肉強食な世界だからこそ、守りを徹底的に固めた要塞のようなものがより地下に建設されていたりして、中々見かけないのだろうか?

 そう考えると、ちょっとこの世界厳しいところがあるようだ。魔界だけに、やっぱり魔がひしめいているよ。それに出てくるモンスターも独特なのが多い。

 スライムはまだ良いとして、巨大な百足やダンゴムシなどはジャブで、大蜘蛛に巨大蝙蝠、目玉だらけの生物や逆に口だけ耳だけ鼻毛だけの生物など、禍々しいのかそうでないのかわからない輩が色々と出現する。‥‥‥歯だけの相手が出た時に、ふと手持ちにたまたまあった銀紙を思いっきり叩きつけたら、瞬時に消えたのは謎である。


「さらに言えば、魔界に飲み込まれる状態異常なんかも出てきているらしいし‥‥‥今日は一旦、引き上げとしようかな?」

 魔界の門・表を通じてここに来たが、一応どこからでも魔界から通常のエリアへ退出は可能のようで、次からは進んだ場所から進める様な事もできるらしい。ダンジョンを進む感覚に近いが、おそらくはその内部構造をより大掛かりにしたのが魔界なのかもしれない。

 とにもかくにもここいらで一旦引き上げるかと覆っていた‥‥‥丁度その時だった。

【ガウガーウ!!】
「どうした、リン!」
【ガウガウ!!】
【あちらのほうから、接近する気配があり、しかも数が多いようデス】

 リンが吠え始め、何事かと思いロロに通訳してもらうと、どうやら何かが近づいてきているらしい。

 しかも数は多めの‥‥‥どう考えても嫌な予感しかしないなぁ。


 この面子の中で探知に優れているリンだが、彼女の向いているのは横方向ではなくやや斜め上で、空から来ているというのが分かる。いや、天井があるからちょっと違うかもしれないが、かなり高いので飛行する領域はそれなりに確保されているので特に問題はない。

 だが、こんなところを大群で来る生物で、魔界のような場所に住まうとなれば…‥‥想像していると、相手の姿が見え始めた。

【ロォォォォォォォォン!!】
【ロォォォォォォン!!】
【ロゴォォン!!】

 口々に咆哮を上げ、やってきた大群はどうやら翼の生えた相手。

 こうグリフォン的なものを想像したかったが‥‥‥獅子の頭に蛇の頭、ついでに何か禍々しい翼を生やした蒸れな時点で何なのか察した。

「『キメラ』の大群かよ!!」
【あ、魔界用のモンスター図鑑を購入してますが、ちょっと違いますネ。『グレートキメラ』のようデス】

―――――
『グレートキメラ』
色々な生物が混ざったような容姿を持つキメラが魔界の生態系に組み込まれ、より適応して姿を変えたモンスター。
常に集団で狩りを行い、魔界からのP供給を利用して巨大な攻撃を連発し、別名『大空の放火殲滅部隊』として、魔界の生物たちからは呼ばれている。
―――――

「どう考えても最悪な奴じゃん!全員、魔界から一旦退却!!」

 素早く判断し、魔界から出ようとしたタイミングで相手の攻撃が襲い掛かり始めた。
 周囲にいた他のプレイヤーたちの姿を先に目視したようで、目を付け始め全員の口が開き、一気に炎の滝が襲い掛かり始め、焼き尽くしていく。

 そして辛うじて到達する前に、僕らは魔界から出ることに成功したのであった…‥‥




「…‥‥死ぬかと思った。いや、ゲームだからまだ良いけど、火の壁が目の前にせまるのはすさまじい恐怖だよ」
【大空への対抗手段が、あまり無いですからね‥‥‥魔界内でも突発的な自然災害としても名が通っているらしいデス】

‥‥‥考えてみたら、大空への攻撃手段が乏しいな。黒き女神になれば高火力広範囲攻撃でごり押しが出来るが、それでも効果的な方法でもないか。
 それにこれからの事を考えると、何かしらの対抗手段が必要かもしれない‥‥‥爆裂薬で吹っ飛んで同じ目線に、いや、天井に激突して突き刺さりそうか。
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