アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
97 / 718
Ver.2.0 ~広がる大海原の世界~

ver.2.1-36 そして続いて、爆撃開始

しおりを挟む
ズゥン!!ズゥン!!
『圧巻、圧勝、圧制、完了』

 巨大な鋼の体を揺らしながら歩ませ、巨大機械神3号を動かしていた彼女は操縦席から見える光景に笑みを浮かべていた。
 鋼の巨体に到達される前に、用意していたミサイルや熱線やらでプレイヤーたちを薙ぎ払い、吹き飛ばし、消滅させていく。やられたプレイヤーたちはきちんと復活できるだろうが、しばらくは巨大ロボットに関してのトラウマを抱くかもしれない。

『安泰、安全、保障‥‥‥否、油断大敵』

 このまま進撃させていれば、負けることはないだろう。だがしかし、ここはアルケディア・オンラインであり、運営の斜め上の方向にやらかすような真似があるのは理解しているので、周囲の警戒は怠らない。
 例えここでプレイヤーたちが反撃できないとしても‥‥‥この状況を是とせずに動かれる可能性はあるのだ。

ドッゴォォォォォォン!!

 っと、ここで予想が当たっていたのか、雷が突然落ちて来た。プレイヤーたちの攻撃によるものなのかと最初は考えたが、落ちた場所は離れているのでそれはない。
 いや、むしろこの戦闘領域内はレイドボスの縄張りというべき場所でもあり、普通は落雷は起きないことから運営が動いたことを理解する。

 
 雷が落ちた場所を見れば、そこには先ほどまでいなかった何者かが、立っていた。
  
 こういう登場の仕方は、何処かの某未来からの暗殺者か護衛を想像させるが‥‥‥おそらくこれは、前者しかないだろう。

 何しろ全身にこれでもかというほど武器を装備しており、その銃口は全て機械神の方へ向けられているようで、どうやら運営からの刺客のようだ。
―――――
>全プレイヤー及び、レイドボスへのお知らせ!
>レイドボスたちの戦闘領域内へ刺客たちが放たれました!!

『運営からの刺客』
・レイドボスの強さゆえに、攻略不可能と判断された場合、送られてくる特別なNPC
・プレイヤーたちの手助けに…‥‥という訳でもなく、更に戦場を混沌とさせることによって攻略難易度を少々下げつつ、より一層面白おかしく引っ掻き回すために参上した。
・各レイドボスごとに異なる刺客が送られており、討伐すれば限定アイテムが入手可能。

『機械神への刺客:GBM-プロトタイプ』
広範囲砲台型モンスターのデータ確保のために、鋳造された戦闘兵器型NPC。周囲一帯に弾幕を張り巡らせつつ、移動砲撃の役目も果たすために細かい動きが可能となっている。
―――――

『‥‥‥ター〇ネータモドキ、仮称決定。対象、補足。全力、応戦開始』
『ウイイイイイイイイイイ!!』

 鋼鉄の身体を向けると同時に、相手からの一斉掃射が開始される。

 頑丈に作ったボディとは言え、長時間持つとは限らないと判断し、より戦場は混沌と化し始めるのであった。







‥‥‥そして一方で、大怪獣同士の激突現場もまた、運営からの干渉を受けていた。


【アンギャァァァァス!!】
【ガシャボォォォォォン!!】

 先ほどまでお互いに争っていた巨大なガシャどくろと恐竜が攻撃を仕掛けるも、それは防がれている。

『ウィィィィィィ!!』

ぶぉんっと大きなチェンソーが振り下ろされ、削り取られていく。

「何デースか、あれ!!」
『あらあら、運営からの刺客のようね。あれは…‥‥怪獣退治専門業者なのかしら?』

―――――
『大怪獣女王への刺客:神秘狩り』
怪獣とくれば何を使えば良いのか?その案を色々と練られた末に、生み出された特殊なNPC。自分よりも大型の相手に対して特攻効果を自動的に持つようになっており、体格差をものともしない。
ただしその逆に、自分よりも小型の相手に対しては武器の威力などが半減される。
―――――

「なるほど、面白いデース!!大型を相手取るために生み出されたのであれば、あえて乗ってやるのデース!!」
『ここは協力したほうが良さそうねぇ』

「「「「レイドボスとプレイヤーが協力してどうするんだぁぁぁ!!」」」」

 いろいろツッコミを入れたいが、この怪獣同士の激突の場においては、吹き飛ばされたり巻き添えになったりと散々な目に遭いやすいので、行動に移せない他のプレイヤーたち。
 ひとまず強力な二大巨頭が協力する状況はどう考えても最悪にしかならないので、ここは協力前にどうにかこうにか討伐しようと先にプレイヤーたちは動かざるを得ないのであった…‥‥。

‥‥‥なおその傍らで、どさくさに紛れて即死してこの場から逃げようとしていたプレイヤーもいたようだが、そうなる前に腹の中に収められてしまい、きついので何も行動に移せなくなったという。







 そしてさらに、当然例外なんてものは存在しない。

 それは黒き女神の方にも刺客が予定されていたのだが…‥‥そちらはそちらで、運営側の監視面でストップをかけられた。

「お?どうしてだい?」
「見るでアール、あそこ刺客を放つどころではないアール」
「どれどれ‥‥‥おおぅ、凄い修羅場だよ」

 後に、この黒き女神の戦闘領域内にいたプレイヤーたちは、できれば刺客を投入して欲しかった状況だったと語るが‥‥‥その内部の様子は、悲惨としか言いようが無かった。

しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫
ファンタジー
 この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。 その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。  そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...