アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.2.0 ~広がる大海原の世界~

ver.2.0-14 白黒の塔、その前に顔合わせを

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‥‥‥ダンジョン挑戦は、ドラメタルの一件以来だろう。
 あれはあれで大変だったけれども、今回挑む白黒の塔はその時よりも難易度は高いはず。僕ら自身のレベルなども上がっているけれども、それでもやはり不安を拭うことはできない。

「とは言え、前線組の方々のレベルが、ほとんど100を超えているのが驚くな‥‥‥確か、ver.2.0で150まで解放されたんでしたっけ?」
「ああ、そうだぜーよ。だからこそ、レベルで上げて物理で殴る手段を試したい奴がどんどん出ているんだぜーよ」
「まぁ、そう簡単にいかないのがこのゲームですけれどね。戦闘技術や知識、その他観察力や指揮の有無なども組み合わさるからこそ、難しいのよねぇ」
「そうそう、あとはテイムモンスターや使用人システムでの戦闘可能な人との組み合わせでよりバリエーションが増えて、全部調べるのは本当に大変なんだべぇ」

 僕の言葉に対して答えてくれているのは、今回の攻略に関して一緒にやってくれるぽっけねこさん以外の前線・攻略組の中でも、実力者だと言われる方々。

 爆音を鳴らし吹き飛ばす『ギターマン』さん。彼が持つギターはプレイ開始時からすぐに製作が始まり、アップデートが始まるたびに改良がくわえられているらしい。職業は上級職の『ロックカッター』‥‥‥元々は戦士の職業だったらしいが、ギターを弾きまくっていたせいかそうなったらしい。

 次に、話すたびに薔薇の花が飛びかう女装の男性は『オハナ』さん。オカマというよりもオネェというような雰囲気を纏う人で、職業は上級職『フラワーダンサー』。攻略組の回復担当という事で最初は僧侶だったはずだが、踊りを交えての回復を利用して活躍することが多く、食虫植物のようなモンスター『イータプラント』の『ジャベェラン』をテイムした事で発現した職業のようだ。

 そして最後に農家のオッサンのような雰囲気を醸し出すのは、何気にこの中で146レベルとほぼトップの高さに立つ『グランプ』さん。現実世界でも農家ではあるが、IT技術を駆使している最先端の波に乗っている人であり、このゲーム内でもその技術を生かし錬金術師になっていたらしいのだが、上級職『プラントナックラー』を開花させたそうだ。‥‥‥錬金術師が元だったのに、何故か拳で語る農家になっているとはこれいかに。

 あとはぽっけねこさんと僕を加えて、これが今回の攻略のためのパーティになるようだった。


「それにしても、ぽっけねこが連れてきたのが、こちらでも話題になる奴とは、中々良い奴を引っ張ってきたようで嬉しいのだーぜ!」
「話題?」
「ええ、そうよ。前線を突き進み、攻略をしていてもこのゲームは中々手ごわくてね。各自個性豊かになっているせいで難しいところが多い‥‥‥そんな中で、個性のトップを行く人って、噂になっているのよねぇ」
「あちこちを行けば何かに遭遇し、連れてゆく仲間を美女に変え、各地を巡る錬金術師…‥‥我々攻略・前線組からすれば情報の発掘者として、その他からは一番楽しむプレイヤーとして、そして一部の非モテからは藁人形の対象として、それなりに話題になっているんだべ」
「ちょっと待って。最後の方、明かに殺意というかもっとヤバいものが混ざってない?」

 というか、藁人形なんてあるのこのアルケディア・オンラインに?

【あると言えばありマス。藁人形のモンスターが存在してますので、おそらくそれのドロップ品でショウ】
「ドロップ品でなんで藁人形!?」

 ツッコミどころがあるというか、どこで生息しているのだろうか。需要があること自体が驚きではあるが、呪われていないかどうか不安になる。

【バルゥ?バルルルゥ】
【シャゲシャゲェ?】
【ガウゥ?】
【まぁ、呪わても耐性はありますからネ。スキルなどの影響もあって、ある程度ならば大丈夫でしょウ】
【ギャベェ?】
「え、耐性がある無し以前に、呪いの効果がまず存在するのか?」
【ハイ】
「あー、それは既に前線組の方で実証済みだったりする」

 っと、なにやらぽっけねこさんが苦笑いをして口にした。

「そうなの?」
「ああ、というのも攻略を推し進める面子の方で」
「今回の塔攻略には不向きというか、女性が絡むと問題しか起こさないやつがいるんだぜーよ」
「そいつがね、呪いにかかりまくってたおかげで、呪いに関しての情報が集まりやすいのよねぇ」
「まぁ、対象が基本的に幼女なので、基本的にはその親かあるいは狙っていた他の女性プレイヤーがかけてくるらしいべ」

‥‥‥何だろう。誰がとは言わないけれども、何となく心当たりがあるような。というか、やっている可能性が少なからずもあったかもしれない。

 嫌な予感を感じ取ったので、この話題はこれ以上しないことにした。知っても良い事はない。



「とりあえず、気を取り直して塔の攻略に挑むか」
「さっさとやったほうが楽だしね」
「そうしましょう、そうしましょう。知らないことは、世の中にあるものね」
「さぁ、これだけの面子がそろえば、簡単に攻略できるはずだぜーよ!!」
「楽しみだべなぁ。白黒の塔で良い野菜とかがあれば面白そうだべなぁ」

 色々と濃い面子のような気がしなくもないが、今は塔の攻略に挑むことに意識を集中したほうが良い。
 
 そう思いつつ、僕らは塔へ向けて歩み出すのであった…‥‥


「‥‥‥ところで、本当に女性のようなモンスターが多いな。一匹だけタコなのが気になるが」
「あら、でも吸盤のつき方が自然のものと同じなら、多分雌よ」
「え、タコのオスメスって吸盤でわかるの?」
「そうだべな。となると、進化がちょっと面白そうだべぇ」
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