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Ver.2.0 ~広がる大海原の世界~

ver.2.0-1 やって来たぜぇ、大海原ぁ!!

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‥‥‥その日、プレイヤーたちは狂喜乱舞をしていた。

 先日のオララゴン戦での勝利に盛り上がっていた時もかなりテンションが上がっていたのだが、本番を迎えた今、SNS上などではすでに意味不明の言語が羅列するほどの凄まじい喜びが垣間見え、少々運ばれた人もいるらしいが、それでも皆この状況を待ちに待っていた。

「ついに来た、やって来た。来るか来るかといわれ続けて、実装された‥‥‥Ver.2.0だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「「「「「いやっはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」

 友人同士で入っているのかそう叫ぶプレイヤーたちの姿を見つつ、僕らもまたテンションが上がっていた。

「ついに海の実装に、未知の大陸などの新エリアの実装、その他スキルや称号の追加に様々な改善‥‥‥大型アップデートと言うだけあって、かなり様変わりしたなぁ」
【シャゲシャゲェ】
「せっかくだから、今日は追加されたばかりの港町に来たが、賑わっているというか、何と言うか…‥」
【ガウ?】
「‥‥‥何で、あの時の僕の格好に似た人がこんなにも多くなっているんだろうか‥‥‥」
【バルゥバルゥ】
【無理もないデス。公式PVに使用されたせいで、一気に周知されたようですからネ。強い装備かもしれない、もっとすごい何かかもしれないという事で、真似をしたくなる人が出てもおかしくはないのデス】
 
 僕のつぶやきに皆が反応しつつ、ロロがすごく納得できることを言ったが、僕としては後悔の嵐しか吹き荒れていない。
 そう、あのオララゴン戦でスキルを使用してほぼ別人と言えるような姿でやらかした行動がどうやら公式のPVなどで使用されてしまい、一気に広まってしまったのだ。その結果、あのオララゴンの頭へ放った強烈な一撃などから、あの姿だと何か特殊な効果や凄い能力が付くのかもしれないという話も広まってしまい、あの時の僕の姿に似た格好を多くの人々がしているのだ。

 まぁ、人の噂も七十五日と言うし、一時期流行ったとしても廃れるだろうからそれまで知らぬ存ぜぬを貫き通していればいいだけの話なのだが‥‥‥ここまで多くのプレイヤーたちがやっているのを見ると、それまで僕の精神が耐えられるのか不安になる。


「しかも、アップデートで髪色の変更用着色剤や、装備品の拡充によって新しい容姿の枠が広がったのもあって、再現度が高すぎる‥‥‥」

 さらに言えば、あの行動はすでにネット上で『黒き女神』として噂になってしまっているようで、こちらはこちらで盛り上がりを見せており、僅かに取られていたその姿を利用したコラ画像が出回るなど、人としての自尊心もしっかり嬲っていくおまけつき。

「その上、運営の悪ふざけなのか‥‥‥何で、スキルに『黒き女神』が付くんだよぉ!!しかも称号に怖いのが付いてきたんだが!?」
―――――
『黒き女神』
人々は見た、怪物を打ち倒す一撃を放った黒き女神の姿を。
その一撃をもって終わらせる引導を渡し、すべての者たちへ討伐の機会を与えてくれた者への畏怖を抱かせる。
結果として信仰となり、黒き女神としての概念がとどまった‥‥‥‥ゆえに、獲得したスキル。任意発動型で、使用時に容姿を黒き女神へと切り替えさせ、周囲の者たちへ『恐慌状態』『畏怖状態』『萎縮状態』などの状態異常を振りまき、恐れおののかせることができるようになる。

『闇の女神のお気に入り』
この世界の闇の女神が興味を持ち寵愛を授けた者に付く称号。
本来であれば女神の神殿(闇)に祈りをささげた者に与えられる『闇の加護』の上位互換であり、光属性の攻撃にやや弱くなってMPの消費が増すが、その代わりにすべてに対しての耐性が付く。
テイムモンスター側にも影響を与えるスキルでもある。
―――――

 なんかさらっと怖いものがついてきたが、何故闇の女神とやらに気に入られたのやら。
 というか、あの丸っこい光の玉の女神以外にもこのアルケディア・オンラインには神がいたというのか。そのあたりは調べてみないと分からないだろう。


【ある意味、面白い事にもなってマス。まぁ、私はテイムモンスターではなく使用人なので、残念ながら対象外ですがネ】
「あ?そうなの?」
【そうデス。その代わり、今回のアップデートでついに他の使用人仲間も増えたので、これはこれで嬉しい事なのデス】

 そう、今回の大型アップデートによって、ロロ同様の他の使用人たちが開放され、プレイヤーたちの中で財力に余裕のある者たちはこぞって使用人を求め始めた。
 どうやら使用人の方にはランクがあり、高ければ高いほどその性能などが高いようだが、その代わりに雇うためのALも高額になるようだ。

 それでも、執事やメイドなどの使用人を得たい人たちにとっては全てをコンプリートしたり、あるいは疑似的なハーレムや逆ハーレムという状態を作るためだけにでも、全装備品を売り払った猛者もいるぐらいである。どこにそこまで情熱をかけているのやら‥‥‥そのせいか、ネット上では金策情報も飛び交い始めたようだ。


「何にしても、今は切り替えるしかないかなぁ‥‥‥こうなったらいっその事、アップデートを楽しむために、遠くまで行ってみるか?」

 解放された海の向こうにある国々などのさまざまなエリアの数々。そこへ向かえばまだ気分的にはマシになるだろうし、未知の場所へ向かうのは冒険心がくすぐられるのだ。
 今分かっているだけでも、日本のように和風をメインにした東洋風な国や、リゾート地のような国なども存在するらしいし、そのあたりへ向かうのもいいか。

「ぽっけねこさんは巨大猫の島だったり、中三病さんは…‥‥ああ、ティラリアさんと仲良く無理やり古竜の島での写真をメールで送ってきているな。見て、この食べられる寸前の迫力あり過ぎる光景を」
【‥‥‥寸前どころか、ほぼアウトデハ?】
【シャゲェシャゲェ‥‥‥】
【ガウゥ】
【バルルルゥ】

 某何回人の欲望によって犠牲者が出まくる島みたいなところらしいが、元気そうで何よりである。

 送られてきた画像の中には、アップデートで追加されたらしい変身スキルなのか何かによって、怪獣大バトルみたいなものもあったが‥‥‥見て見ぬふりをして、僕以上に精神的な大変な人を見て落ち着きを取り戻すことが出来たのであった。

「でもこれ、光線を吐いている時点で人間やめているなぁ」
【誤字脱字修正で、LMPからRMPというスキル名になったものを持つ主が言いますかネ?】
「‥‥‥」

 何も言えなくなる。やろうと思えば、僕の方も光線モドキはできなくもない…‥‥運営は僕に人を辞めて欲しいのだろうか‥‥?
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