アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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ver.1.0 ~始まりの音色~

ver.1.1.1-閑話 大型アップデート前夜

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‥‥‥オララゴン戦から一夜明け、全プレイヤーへ向けて出された一つのお知らせ。

 それは、このレイドバトルが一区切りをつけたということを示し、次の段階へ進んだことを知らせる大きな内容であり、プレイヤーたちは驚愕した。

「大型アップデートの知らせだって‥‥‥!?」
「今までの.1.1みたいな感じではなく、本格的に一つ完全に上げると!?」
「次回の大型アップデートで一日だけ完全メンテンナンスでログインできなくなるけど、『Ver.2.0』が来るだとぅ!?」

 今までちまちまと小さなアップデートが繰り返されてきた中で、ようやく出て来た全部を一新するかのような大型アップデート。
 内容をより詳細に見ると、今までのVer.1は正式名称『Ver.1.0 始まりの音色』とされており、アルケディア・オンラインに関しての大まかな部分を周知してもらうためであり、まだまだ試作段階といえるような部分があったのだが、どうやら次回は『Ver.2.0 広がる大海原の世界』として、新たなる世界が広がるようなのだ。

「今までは山に地下、平原と陸地ばかりだったが、今度の大型アップデートでは待望の大海原を追加。さらにいくつかの新エリアどころか新しい国々や亜人種族の開放…‥‥」
「また、システムの改善や一部の誤字脱字、スキルの仕様の見直しも検討されており、一新された状態になると‥‥‥」
「更に、レイドバトルのデータからギルド同士の戦闘イベントなどに応用しての新しい世界が、広がるって‥‥‥」
「「「「こんなの、どこからどう遊べばいいんだろうか!?」」」」

 一気に広がりを見せ始めたアルケディア・オンラインの世界にプレイヤーたちはどのようにして対応し、遊びつくしていくべきか迷い始める。
 攻略を進める者たちでも人手が足りなくなりそうで、またのんびりプレイを楽しむ者たちでも癒しの場所や新しい景色が見れるかもしれない情報に、それぞれ心躍らせつつどうプレイを進めていくべきか中々決まらず、楽しみが膨らんでいくのであった…‥‥









‥‥‥一方で、アルケディア・オンラインの開発元では大忙しな状況になっていた。

「急げー!!プログラム、新規モデリング、バグの修正に対策パッチなどどんどん投下用意ー!!」
「我が社のサーバーへの、情報狙いのハッキングを確認!!大急ぎですべて対応・倍返しで迎撃を!!」
「構築のための増設!!スペースはまだまだ余裕があるが、万が一に備えてスペアも用意しろ!!」

 予定日にしっかり間に合うように計画を立てているとはいえ、それでも最終調整などで現場は慌ただしく動き、ミスが無いように徹底的に確認していく。

「データ内の称号一部不備を確認!!多言語翻訳班へ指摘を!!」
「スキル・称号名の一部に変換ミスを確認!!、未収得状態だがテスト構成で『サンバリアン』が『サンタリアン』、『ドMなるもの』が『超ドMなるもの』など修正を!!」
「すでに獲得されているスキル『HWE』、『LMP』、『GLP』なども英語変換ミスだ!!『HME』、『RMP』、『CIR』などに直しつつ、該当者へお詫びを回す用意も!!」

 一つのミスも許されないというか、ついにくる大型アップデートへ向けて戦場と化し、全てにおいて出キリ限りの万全を尽くしていく。

「ふぅ、いよいよ来るとは言え、無事に2へ移行できるほど人が多くなったな」
「我が社の大元から任されている巨大なプロジェクトの一つですからね…‥‥プレイヤーたちはあくまでもゲームの中の・・・・・・世界だと認識しているようですが、そうでいてもらうためにもしっかりとゲームを強調するような部分を付けつつ、次の段階へ移していきます」
「こればかりは、多くの人がいないと駄目だからな。データの収集をしつつも、他のプロジェクトへの応用も急がせよう」
「後は、今あるサービスだけでなく、楽しんでいただけているプレイヤーたちへの我々からのお礼として、現実とちょっとリンクして遊べるような道具の方も早く販売する用意をしないとな」

 あちこちで会話が交わされつつ、次の段階へ向けてすべてが動き出していく。

 ありとあらゆる思惑や企みが交差し合いつつも、いよいよアルケディア・オンラインはVer.2の世界の扉を開き出すのであった‥‥‥



「‥‥‥ところで、あそこで倒れているのは副社長では?」
「良い顔で寝ているけど、これまだ仕事があると知ったら絶対に絶望しますよね」
「特異点関係や、他国やその他重鎮との交渉、思いもよらない遊び方や獲得方法などに関して、東奔西走して忙しい身だからなぁ‥‥‥社長は社長で、とぼけているようであの人も忙しいからな」
「上に呼び出されて、その社長の代わりに働かされて、上層部にだけは入りたくないなぁ‥‥‥」

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