40 / 718
ver.1.0 ~始まりの音色~
ver.1.1.1-34話 突発的にだから、対策は難しい
しおりを挟む
‥‥‥ボーン、ボーンと音が鳴ると同時に、昼夜が暗転する。
先ほどまで明るい昼間だった世界は、突然赤く染まり、空には不気味な赤い月が映し出されていた。
「‥‥‥移動して早々に、赤い夜が来たか」
エルフたちが住まうとされる大樹の村に向けて進んでいたのだが、イベントが起きてしまったようである。周囲の他のプレイヤーたちも周囲の変化に素早く反応して驚く者や、この後に何が起こるのかなんとなく予感して身構える者など反応はそれぞれ違うようだ。
けれども皆、わかっているのだ。この突発的な赤い夜は、恐怖の始まりだと‥‥‥
づぼぉぉぅ!!
ごぼぉぉぉう!!
【【【オボロロロロロロロロロン!!】】】
地面から手が付き出し、足が飛び出し、体が浮き上がる。
這い出てきたのは、見た目的に腐臭が漂いそうな、非常に分かりやすいゾンビの類。アンデッド系として追加されたモンスターたちであり、このイベントの間に突然わき出しはじめる恐怖の夜の死者たち。
一体や二体ではなく、何体ものアンデッドたちが地中から蘇り、地面だけではなく空からも骨の蝙蝠や鳥が襲い掛かり始める。
ゲリライベント『赤い夜』。アンデッドモンスターたちが大量に出現し、襲撃してくるイベント。
「だからって、あっけに取られてやられるようなことは無い!!マリー、リン、セレア、各自指示に従って出来る限り討伐するぞ!」
【シャゲェ!!】
【ガウゥッ!】
【バルヒヒィーン!!】
身を守るためにも、赤い夜から生き残るためにも、逃げ場のない大量出現の現状に対して戦う選択しか残されていない。
周囲にいた他のプレイヤーたちも各自戦闘態勢に移行し、迫りくるアンデッドたちに対処し始めたようだが、僕らの方も同様に動く。
【シャゲェェェ!!】
アンデッドはすでに死んでいるようなものなので、毒の効果は薄いようだが、動くためには体が必要。ゾンビやスケルトンとは言え骨が支えて動いているようであり、動きを阻害するためにマリーが素早く巻き付いては締め上げ、その力で砕いていく。
【ガウガウ!!】
華麗な蹴り技によって近寄らせないようにリンはアンデッドたちをふっ飛ばし、広範囲に攻撃するために時たま地面に逆立ちをするように手を付け、回転して一気に周囲を蹴り上げる。
【ヒヒヒィン!!】
「そしてこちらは、攪乱爆殺っと!セレア、出来る限り足場を強く蹴り上げて飛ぶように!!一か所に留まると逃げ場を無くすからな!!」
セレアに騎乗し、周囲に爆裂薬を振りまいて吹き飛ばし、時にはセレアの足場となってアンデッドたちは踏み砕かれていく。
各自の持てる能力を活かし、このゲリライベントを生き残るために全力を尽くす。
時にはマリーでリンを搦め、長い胴体で攻撃範囲を一気に伸ばしたり、セレアの突進でリンの攻撃力を足したり、あるいはそろって蹴りを入れて、叩きつけて潰しまくる。
幸い、大勢のプレイヤーたちが対処しているおかげで数の割には一人当たりの対処量もかなり減っており、できないことは無い。
しかしながら、もしもプレイヤーが少ない時間帯や、もしくは今はまだ脆いような相手が多いけれども、頑丈な鋼鉄の骨を持つ『メタリックスケルトン』や鎧をまとう『リビングデッド』が多く出る状態であれば、厳しい状況になっていた可能性もある。
突発的に引き起こされる、起きる予測がし辛いゲリライベントなだけに、そのような厳しい状態になって全滅したという報告がネットで挙げられていたりするのだ。
とはいえ、今回の場合は全員生き延びたようで、ある程度の時間が経過した後赤い月が急に地平線に沈み、空に太陽が昇った。
それと同時に一気に全滅させる演出なのか、アンデッドたちの体が日の光に焼かれ、炎上して塵と化していく。
―――――
>今回の『赤い夜』での犠牲者は、現時点でのプレイ中のプレイヤーの1割にもなりませんでした!!
>討伐数も今回の目標値を達成しており、犠牲が少ない事も併せて特別ボーナスがだされます!!
―――――
「「「「いよっしゃぁぁぁぁぁぁああ!!」」」」
生き延びたのもあるけれども、赤い夜が終わると同時に出て来たお知らせに対して、嬉しさで叫ぶプレイヤーたち。
そして出されるのは普通では稼ぎにくい量の素材やALで、全員狂喜乱舞している。正直言って、赤い夜の不気味なアンデッドたちの襲撃よりも、これで羽目を外してやらかす人の方が怖いような気がしなくもない。
ああ、そう言っている間にもプレイヤーの一人が喜び過ぎて‥‥
カチッ
ドッゴォォぉォォォォォォン!!
アップデートで追加された、トラップを仕掛ける工作員のようなモンスター『トラップボーン』が冥途の置き土産に残しておいた地雷で吹っ飛んだ。最後の最後まで油断するなと警告していたようで、他の人達も巻き添えに会い、連鎖爆発が起きている。
「生き延びたとしても、最後まで油断できないか‥‥‥油断したら死亡しかけるのって、ある意味お約束かな?」
【シャゲェ】
【ガウガウ】
【バルヒヒーン】
華麗に宙を舞って墜落したプレイヤーを見ながらつぶやけば、皆もそうかもしれないと思って頷く。
何にしても、連鎖爆発現場の巻き添えになる前にその場から全力で駆け抜け、突発的なイベントを経験しつつ、僕らは大樹の村へ向かって再び進み始めるのであった…‥‥
先ほどまで明るい昼間だった世界は、突然赤く染まり、空には不気味な赤い月が映し出されていた。
「‥‥‥移動して早々に、赤い夜が来たか」
エルフたちが住まうとされる大樹の村に向けて進んでいたのだが、イベントが起きてしまったようである。周囲の他のプレイヤーたちも周囲の変化に素早く反応して驚く者や、この後に何が起こるのかなんとなく予感して身構える者など反応はそれぞれ違うようだ。
けれども皆、わかっているのだ。この突発的な赤い夜は、恐怖の始まりだと‥‥‥
づぼぉぉぅ!!
ごぼぉぉぉう!!
【【【オボロロロロロロロロロン!!】】】
地面から手が付き出し、足が飛び出し、体が浮き上がる。
這い出てきたのは、見た目的に腐臭が漂いそうな、非常に分かりやすいゾンビの類。アンデッド系として追加されたモンスターたちであり、このイベントの間に突然わき出しはじめる恐怖の夜の死者たち。
一体や二体ではなく、何体ものアンデッドたちが地中から蘇り、地面だけではなく空からも骨の蝙蝠や鳥が襲い掛かり始める。
ゲリライベント『赤い夜』。アンデッドモンスターたちが大量に出現し、襲撃してくるイベント。
「だからって、あっけに取られてやられるようなことは無い!!マリー、リン、セレア、各自指示に従って出来る限り討伐するぞ!」
【シャゲェ!!】
【ガウゥッ!】
【バルヒヒィーン!!】
身を守るためにも、赤い夜から生き残るためにも、逃げ場のない大量出現の現状に対して戦う選択しか残されていない。
周囲にいた他のプレイヤーたちも各自戦闘態勢に移行し、迫りくるアンデッドたちに対処し始めたようだが、僕らの方も同様に動く。
【シャゲェェェ!!】
アンデッドはすでに死んでいるようなものなので、毒の効果は薄いようだが、動くためには体が必要。ゾンビやスケルトンとは言え骨が支えて動いているようであり、動きを阻害するためにマリーが素早く巻き付いては締め上げ、その力で砕いていく。
【ガウガウ!!】
華麗な蹴り技によって近寄らせないようにリンはアンデッドたちをふっ飛ばし、広範囲に攻撃するために時たま地面に逆立ちをするように手を付け、回転して一気に周囲を蹴り上げる。
【ヒヒヒィン!!】
「そしてこちらは、攪乱爆殺っと!セレア、出来る限り足場を強く蹴り上げて飛ぶように!!一か所に留まると逃げ場を無くすからな!!」
セレアに騎乗し、周囲に爆裂薬を振りまいて吹き飛ばし、時にはセレアの足場となってアンデッドたちは踏み砕かれていく。
各自の持てる能力を活かし、このゲリライベントを生き残るために全力を尽くす。
時にはマリーでリンを搦め、長い胴体で攻撃範囲を一気に伸ばしたり、セレアの突進でリンの攻撃力を足したり、あるいはそろって蹴りを入れて、叩きつけて潰しまくる。
幸い、大勢のプレイヤーたちが対処しているおかげで数の割には一人当たりの対処量もかなり減っており、できないことは無い。
しかしながら、もしもプレイヤーが少ない時間帯や、もしくは今はまだ脆いような相手が多いけれども、頑丈な鋼鉄の骨を持つ『メタリックスケルトン』や鎧をまとう『リビングデッド』が多く出る状態であれば、厳しい状況になっていた可能性もある。
突発的に引き起こされる、起きる予測がし辛いゲリライベントなだけに、そのような厳しい状態になって全滅したという報告がネットで挙げられていたりするのだ。
とはいえ、今回の場合は全員生き延びたようで、ある程度の時間が経過した後赤い月が急に地平線に沈み、空に太陽が昇った。
それと同時に一気に全滅させる演出なのか、アンデッドたちの体が日の光に焼かれ、炎上して塵と化していく。
―――――
>今回の『赤い夜』での犠牲者は、現時点でのプレイ中のプレイヤーの1割にもなりませんでした!!
>討伐数も今回の目標値を達成しており、犠牲が少ない事も併せて特別ボーナスがだされます!!
―――――
「「「「いよっしゃぁぁぁぁぁぁああ!!」」」」
生き延びたのもあるけれども、赤い夜が終わると同時に出て来たお知らせに対して、嬉しさで叫ぶプレイヤーたち。
そして出されるのは普通では稼ぎにくい量の素材やALで、全員狂喜乱舞している。正直言って、赤い夜の不気味なアンデッドたちの襲撃よりも、これで羽目を外してやらかす人の方が怖いような気がしなくもない。
ああ、そう言っている間にもプレイヤーの一人が喜び過ぎて‥‥
カチッ
ドッゴォォぉォォォォォォン!!
アップデートで追加された、トラップを仕掛ける工作員のようなモンスター『トラップボーン』が冥途の置き土産に残しておいた地雷で吹っ飛んだ。最後の最後まで油断するなと警告していたようで、他の人達も巻き添えに会い、連鎖爆発が起きている。
「生き延びたとしても、最後まで油断できないか‥‥‥油断したら死亡しかけるのって、ある意味お約束かな?」
【シャゲェ】
【ガウガウ】
【バルヒヒーン】
華麗に宙を舞って墜落したプレイヤーを見ながらつぶやけば、皆もそうかもしれないと思って頷く。
何にしても、連鎖爆発現場の巻き添えになる前にその場から全力で駆け抜け、突発的なイベントを経験しつつ、僕らは大樹の村へ向かって再び進み始めるのであった…‥‥
38
お気に入りに追加
2,031
あなたにおすすめの小説
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる