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ver.1.0 ~始まりの音色~
ver.1.0.2-17話 バランスとは、様々な方面で重宝されるそうで
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基本的に、ソロだけだと結構きついこともある。
それは、一対一での戦闘ではない大多数との戦闘時。まだ弱いゴブリンやラビット程度ならまだしも、それ以上の大群相手だとなかなか手が出せない。
群れる事で役割を持ち、そしてそれらをフルに活用させる指揮官がいて、一つの力をより増していき、結果として全体を守り切る‥‥‥そんな相手と一人で挑めと言うのは、鬼畜かもしれない。無能な指揮官ならまだ容易いけど、モンスターの群れだと滅多にいないらしい。というのも、無能だったら喰われることがあるようで、目撃したプレイヤーもいるという話があるからだ。
とはいえ、目には目を歯に歯をいう言葉が昔からあるように、こちら側も同様の手段をとって対抗することはできるのである。
流石に数では負けても、連携して自分たちの持てる力を高め合う手段は難しくはないのだ。
【ガウガウガァァァ!!】
「リン、そのまま正面へ蹴りを飛ばせ!!マリー、後方の方へ魔眼で硬直させて隙を与えるな!!」
【シャゲェェ!!】
そして現在、僕らはその対抗手段を利用して、大群を相手にして戦闘を行っていた。
周囲を囲むのは、犬の頭に猿の身体という何か違う印象を与えているコボルトという相手だが、図鑑説明だとそういう種族名になっているのでどうしようもない。
それはともかくとして、全部がブルドックのような表情をしており、大群の顔面圧力の時点で既に押されていると言って良いだろう。普通なら5~6匹程度らしいが、今はその倍以上かな。
そもそもなんで、こんな大群に囲まれているのかと言えば‥‥‥‥
「まさか、爆裂草の群生地にいたとはな…‥‥踏んで爆発した先で、まさか巻き添えになっていた奴がいて、仲間を呼ぶって誰が想像できたんだこんなもん!!」
【ガウガーウ!!】
【シャゲェ!!】
単純に、事故であった。
現在、僕らが訪れているのは『爆裂湿地帯』というエリア。ありとあらゆる爆発物だらけの湿地帯であり、そこの地で得られる素材はエリア名の通り爆発系の道具の材料になるので、錬金術師の攻撃手段を補充するために来たのだが、訪れて早々事故に遭ってしまった。
ピタ〇ラスイッチのごとく、一つの爆発で連鎖的に爆発が起き、モンスターを巻き込んだせいでこうやって襲われているのだが、どうしてこうなったと嘆きたい。
でも、倒しきれないわけでない。正面から群れで来られると結構きつかったけど、今の僕らには新しいテイムモンスターであるリンがいるのだから。
「リン、後方へ下がれ!!用意が出来たぞ!!」
【ガウアッ!!】
前線で積極的に物理攻撃を行い、後衛からマリーの魔眼や毒で補助しつつ、この場の材料で素早く僕は用意を済ませて仕掛け終える。
僕の言葉を聞いてリンが後方へ下がり、モンスターの群れが一気に攻め込んできたが、もう遅い。全英で素早く動きまわって蹴りを食らわせるリンばかりに注意を向けてしまったせいで、こちらに目を向けなかったのがそちらの敗因だ。
「喰らえ!!『特大連鎖爆裂薬』!!」
ぶおぉんっと思いっきり振りかぶって僕が投げたのは、一つの大きな球体。
見た目的にはゲームとかでも普通にありそうな爆弾の弾だが、大きさの割にはそこまで重くもないので投げやすくなっている。
けれども、威力が弱いわけでもなく、現地で採取したての新鮮な素材で作り上げたので問題ないはずだ。
ドッガァァァン!!
【【【ギャルルギャイイイイン!?】】】
今までの爆裂薬とは比にならない爆発を浴び、一気にモンスターの群れが吹っ飛ばされたのであった‥‥‥‥。
「…‥‥ふふふふ、ドロップ品も大量だし、やったねリン、マリー!」
【ガウ!】
【シャゲェ!】
へーいっと喜び合うようにハイタッチ(マリーは尻尾、リンは肉球で)を交わし合い、何とか生き延びた喜びを分かち合う。
正直いって今までのメンバーであれば全滅していたが、リンが加わってくれたことで戦闘が多少やりやすくなったのが大きいだろう。
錬金術師は道具頼りだし、現地で作ってもその場でやられては意味がない。マリーは毒や魔眼が扱えるけれども、力が滅茶苦茶強いわけではない。リンは素早いけれども、決定打に多少欠ける。
けれども三人寄れば文殊の知恵というか、人じゃないやつが2体いるけれども、こうやって協力すれば互いの長所を生かし合って戦いが十分できるのである。
リンが前衛で惹きつけ、マリーがこっそり相手を状態異常にして動きを鈍らせて体力を削り、僕は後方支援をしつつ錬金術をすぐに行って道具を作製してトドメなどを担当する。
互いにできることを考えた挙句に出来たシンプルな方法だけれども、だからこそ最大限に発揮できるのは嬉しい事だ。それに、こうやって大群を相手にしやすくなって経験値も貯まるし、ドロップ品も中々良いのが出てくるので売却したり防具に変えたりしてより強化できるという利点もあるだろう。
「っと、レベルを見るとマリーはもうそろそろ進化しそうか?リンも多分同じぐらいか‥‥‥」
ドロップ品を集めてポーションでHPを回復させる中で、ふと気になってステータスを見ると、大群を相手にして多く経験値が入りやすくなったことも影響しているようで、経験値をかなり獲得してレベルアップをしていた。
数値を見る限り、25~27レベルほどだが、ネット情報だと大体この辺りのレベルでもテイムモンスターは進化するらしい。一回限りだけではなく、何回もあるそうだが最終的にどうなるのかがすごい気になる。
‥‥‥まぁ、あくまでも目安であり、条件があったりするけれどね。スキルだとか称号だとか、戦闘の仕方に趣味嗜好なども関係しているなど、中々多彩で決まり切っていない。
レアな進化の中には性別が一緒だとか、動き方が全く一緒でないと出ないのもあるようで、攻略を進める攻略版組や積極的に前線に出て開拓する前線組が苦労しているとも聞く。全種類を集めたい人もいるのだろうけれども、通常だと3体しか同時に場に出せないし、そもそもテイムできる確率が結構低くてやりにくくもあるせいで、非常に困難な道だろう。
まぁ、急がなくてものんびり遊べるので、僕らにとってはそこまで気にしなくても良いんだけどね。やっぱり男の子としては強くなるモンスターの姿がどうなるのか気になってしまうのである。
「一応、現時点で判明している通常のものだと、マリーは『シルバースネーク』、リンは『スーパーレオパルド』ってなのになる可能性もあるか」
―――――
『シルバースネーク』
銀色の鱗を纏う、巨大な銀の蛇。魔眼の効果は真珠化から銀化させる効果へと変更されるが生物に対しての効果時間が飛躍的に上がり、受けた時点で即死判定をされる可能性が出てくる。
『スーパーレオパルド』
おっす、と気さくな声掛けする人が金色になる姿と似た容姿になる豹のモンスター。常にすさまじい気迫を纏い、接近戦よりも色々飛ばしまくる遠距離戦が得意になる。
―――――
なお、あくまでも可能性であり、断定されているわけではない。
似たような種族が目撃されているからこそ、進化先はそのような姿になるかもしれないと噂されているだけであり、実証されていないからな。
個人的にはスーパーレオパルドはちょっと気になるけどね。いやまぁ、ああいう感じのって何かすごそうだし色々とできそうだからな。最終的に赤くなったり青くなったりしそうだけど。
とはいえ、一応スキルなどの影響もあるので、結局どうなるのかは不明である。なので、進化の時までのお楽しみという事で、どの様な姿になるのか待って、夢を広げれば良い話だ。
「んー、でも感覚的にもうすぐかもしれないってのは待ち遠しさもあるな。素材採取はまだまだやりたいけど、もう少しレベル上げをやってみるか?」
【ガウガウ!】
【シャシャゲェ!】
自分達の進化に興味があるのか、元気よく返事するリンにマリー。のんびりと進めるのが良いのだが、強くなって損はないだろうし、何かと新しい発見があるのも楽しみだろう
「とりあえず、今日はもうちょっとやってみて、駄目だったら素材をとって引き上げよう工房での親方との約束があるからね」
アップデートで追加された、鍛冶工房にいるドワーフの親方。
次回のアップデートで亜人種族というのが増えるらしく、人間ばかりの世界にも新しい風が吹くので楽しみにしている人も多い。
まぁ、あののじゃロリエルフの存在が出てきた時点で、テンプレのような種族がでてくるとは推測されているが、どうなるのか分からない部分もあるからな。ただまぁ、心の底から思うのであれば、エルフとかそういうのが出てきても、全部があののじゃロリエルフのような人でないことを祈りたい。
とにもかくにも、後数体ほど狩ってレベルアップをして、できなければ引き上げてじっくりと錬金術の時間にしようかなと思っていた…‥‥その時だった。
【シャゲ?シャゲシャゲェ】
「ん?どうしたの、マリー?」
周囲の天然の地雷トラップにも警戒して進んでいると、ふとマリーが何かに気が付いたようで、袖を引っ張って来た。
上の方に向けて尻尾を向けており、見ろと言っているようなので目を向けると、何かが落ちてきていた。
「~~~~~の~~~~じゃぁぁぁぁぁ!!」
「…‥‥何だろう、思いっきり見たことも聞いたこともある姿と声がしてきたんだけど」
【ガウ?】
ああ、そう言えばリンの方は彼女に会ったことは無いんだっけ。となると、この状況になって初めて出会うことになるかもしれないが、何をどうしたらこうなっているのか。
「おおぅ!!そこのはいつぞやかの飯を食べさせてくれた人!!わらわを助けてここから逃げるのじゃぁぁぁ!!」
落下しながらそう叫んでいるのは、のじゃロリエルフ。
先日出会ったばかりだが、まさか早い再会をするとは思わなかったけど…‥ん?
「あれ?他にも何か一緒に落ちてきて‥‥‥いやちょっと待て、何と一緒に落ちてきているんだよ!?」
【グゲガアアアアアアアア!!】
ふと気が付いたが、のじゃロリエルフの後方から、同じく落下してきている巨体の姿を捕らえた。
見れば巨大なユリの花のようでありつつ、根元の球根に鋭い牙が生えそろっており、根っこの部分がアンバランスなムキムキマッチョな足をしている。
―――――
『キングユリィボム』
巨大なユリの身体は髪の毛のようなものであり、その本体は根元の球根である大型の植物モンスター。
普段は地面に埋まっており、そのユリから放たれる香りを利用して獲物をおびき寄せ、近づいてきたところでバクっと丸のみにする。
また、獲物がかからなければ強硬手段で自ら突撃し、自爆攻撃を狙ってくる質の悪い植物でもあり、ユリの花部分から爆弾の種を連射して逃げ道をふさいでから、盛大な特攻で相手を道連れにする。
―――――
後で調べたらそんなモンスターではあったが、何をどうしたら一緒に落ちてくるのか。そもそも何でこういう状況になるのかはわからないが、少なくともこの場にいたら絶対に不味い事態になるのは間違いない。
「リン、あの少女を跳躍して抱え込んで、全力で逃げるぞ!!このままだと巨体なモンスターに押しつぶされるのが目に見えている!!」
【ガウガァァア!!】
いうが早いがリンは素早く跳躍し、のじゃロリエルフをキャッチして三回転して着地する。そして地上についた時に地面を蹴り上げ、全力で僕らはこの場を逃走し始める。
ドッスゥゥゥン!!
【グゲゲゲエラァァァ!!】
「あの巨体で見事な着地だと!?」
「そこ驚く所かのぅ!?良いから早く逃げるのじゃぁぁぁぁあ!!」
驚愕しつつもしている場合ではないとツッコミが入り、僕らは全速力で逃走を試みる。
ちらっと後方を振り返ると、キングユリィボムはムキムキな足に力を入れ、僕らを追いかけ始めてきていた。
「何だよアレ何だよアレ!後で絶対に悪夢を見る化け物だろ!!」
【シャゲェェ!!】
【ガウガァァウ!!】
「わらわに言われても分かるわけなかろう!!文句を言うならば製作者共に言うのじゃぁぁ!!」
一応NPCとは言え、のじゃロリエルフがそんなことを言って良いのかという疑問を抱きつつも、思う暇もないほど追いかけられ、現実時間で30分ほどかけてようやく逃走に成功した。
「ぜぇ、ぜぇっ、ぜぇっ‥‥‥よ、ようやく逃げ切れたけど、あたりが不気味な様子になっているんだが」
「おおぅ‥‥‥やっちまったのぅ。爆裂湿地帯の最奥秘匿エリアに無我夢中になって入ってしまったようじゃ」
「最奥秘匿エリア?」
「隠しエリアではないのじゃが、まぁ分かりやすく言えば‥‥‥ボス部屋じゃよ」
逃走に成功したはずだが、その言葉で嫌な予感が一気に襲い掛かった。
ふと気が付くと、周囲のエリアは先ほどまでの湿地帯の雰囲気から一転し、禍々しい毒の沼地のようになっている。
そして、こういうどう考えても不味い場所には当然、のじゃロリエルフが言った例えのように‥‥‥
ドッバッァァァン!!
【ホンギョラバァァァァ!!】
「毒の沼地っぽい場所から、さっきのユリよりもでかいカニが出てきたぁぁぁあ!?」
「ここのボスでもある『ポイズンクラブ』じゃよ!!」
【シャゲェ!?】
【ガウガウ!?】
‥‥‥ピンチを逃れたかと思えばもっと非常に不味い場所へ、僕らは迷い込んでしまったのであった。
それは、一対一での戦闘ではない大多数との戦闘時。まだ弱いゴブリンやラビット程度ならまだしも、それ以上の大群相手だとなかなか手が出せない。
群れる事で役割を持ち、そしてそれらをフルに活用させる指揮官がいて、一つの力をより増していき、結果として全体を守り切る‥‥‥そんな相手と一人で挑めと言うのは、鬼畜かもしれない。無能な指揮官ならまだ容易いけど、モンスターの群れだと滅多にいないらしい。というのも、無能だったら喰われることがあるようで、目撃したプレイヤーもいるという話があるからだ。
とはいえ、目には目を歯に歯をいう言葉が昔からあるように、こちら側も同様の手段をとって対抗することはできるのである。
流石に数では負けても、連携して自分たちの持てる力を高め合う手段は難しくはないのだ。
【ガウガウガァァァ!!】
「リン、そのまま正面へ蹴りを飛ばせ!!マリー、後方の方へ魔眼で硬直させて隙を与えるな!!」
【シャゲェェ!!】
そして現在、僕らはその対抗手段を利用して、大群を相手にして戦闘を行っていた。
周囲を囲むのは、犬の頭に猿の身体という何か違う印象を与えているコボルトという相手だが、図鑑説明だとそういう種族名になっているのでどうしようもない。
それはともかくとして、全部がブルドックのような表情をしており、大群の顔面圧力の時点で既に押されていると言って良いだろう。普通なら5~6匹程度らしいが、今はその倍以上かな。
そもそもなんで、こんな大群に囲まれているのかと言えば‥‥‥‥
「まさか、爆裂草の群生地にいたとはな…‥‥踏んで爆発した先で、まさか巻き添えになっていた奴がいて、仲間を呼ぶって誰が想像できたんだこんなもん!!」
【ガウガーウ!!】
【シャゲェ!!】
単純に、事故であった。
現在、僕らが訪れているのは『爆裂湿地帯』というエリア。ありとあらゆる爆発物だらけの湿地帯であり、そこの地で得られる素材はエリア名の通り爆発系の道具の材料になるので、錬金術師の攻撃手段を補充するために来たのだが、訪れて早々事故に遭ってしまった。
ピタ〇ラスイッチのごとく、一つの爆発で連鎖的に爆発が起き、モンスターを巻き込んだせいでこうやって襲われているのだが、どうしてこうなったと嘆きたい。
でも、倒しきれないわけでない。正面から群れで来られると結構きつかったけど、今の僕らには新しいテイムモンスターであるリンがいるのだから。
「リン、後方へ下がれ!!用意が出来たぞ!!」
【ガウアッ!!】
前線で積極的に物理攻撃を行い、後衛からマリーの魔眼や毒で補助しつつ、この場の材料で素早く僕は用意を済ませて仕掛け終える。
僕の言葉を聞いてリンが後方へ下がり、モンスターの群れが一気に攻め込んできたが、もう遅い。全英で素早く動きまわって蹴りを食らわせるリンばかりに注意を向けてしまったせいで、こちらに目を向けなかったのがそちらの敗因だ。
「喰らえ!!『特大連鎖爆裂薬』!!」
ぶおぉんっと思いっきり振りかぶって僕が投げたのは、一つの大きな球体。
見た目的にはゲームとかでも普通にありそうな爆弾の弾だが、大きさの割にはそこまで重くもないので投げやすくなっている。
けれども、威力が弱いわけでもなく、現地で採取したての新鮮な素材で作り上げたので問題ないはずだ。
ドッガァァァン!!
【【【ギャルルギャイイイイン!?】】】
今までの爆裂薬とは比にならない爆発を浴び、一気にモンスターの群れが吹っ飛ばされたのであった‥‥‥‥。
「…‥‥ふふふふ、ドロップ品も大量だし、やったねリン、マリー!」
【ガウ!】
【シャゲェ!】
へーいっと喜び合うようにハイタッチ(マリーは尻尾、リンは肉球で)を交わし合い、何とか生き延びた喜びを分かち合う。
正直いって今までのメンバーであれば全滅していたが、リンが加わってくれたことで戦闘が多少やりやすくなったのが大きいだろう。
錬金術師は道具頼りだし、現地で作ってもその場でやられては意味がない。マリーは毒や魔眼が扱えるけれども、力が滅茶苦茶強いわけではない。リンは素早いけれども、決定打に多少欠ける。
けれども三人寄れば文殊の知恵というか、人じゃないやつが2体いるけれども、こうやって協力すれば互いの長所を生かし合って戦いが十分できるのである。
リンが前衛で惹きつけ、マリーがこっそり相手を状態異常にして動きを鈍らせて体力を削り、僕は後方支援をしつつ錬金術をすぐに行って道具を作製してトドメなどを担当する。
互いにできることを考えた挙句に出来たシンプルな方法だけれども、だからこそ最大限に発揮できるのは嬉しい事だ。それに、こうやって大群を相手にしやすくなって経験値も貯まるし、ドロップ品も中々良いのが出てくるので売却したり防具に変えたりしてより強化できるという利点もあるだろう。
「っと、レベルを見るとマリーはもうそろそろ進化しそうか?リンも多分同じぐらいか‥‥‥」
ドロップ品を集めてポーションでHPを回復させる中で、ふと気になってステータスを見ると、大群を相手にして多く経験値が入りやすくなったことも影響しているようで、経験値をかなり獲得してレベルアップをしていた。
数値を見る限り、25~27レベルほどだが、ネット情報だと大体この辺りのレベルでもテイムモンスターは進化するらしい。一回限りだけではなく、何回もあるそうだが最終的にどうなるのかがすごい気になる。
‥‥‥まぁ、あくまでも目安であり、条件があったりするけれどね。スキルだとか称号だとか、戦闘の仕方に趣味嗜好なども関係しているなど、中々多彩で決まり切っていない。
レアな進化の中には性別が一緒だとか、動き方が全く一緒でないと出ないのもあるようで、攻略を進める攻略版組や積極的に前線に出て開拓する前線組が苦労しているとも聞く。全種類を集めたい人もいるのだろうけれども、通常だと3体しか同時に場に出せないし、そもそもテイムできる確率が結構低くてやりにくくもあるせいで、非常に困難な道だろう。
まぁ、急がなくてものんびり遊べるので、僕らにとってはそこまで気にしなくても良いんだけどね。やっぱり男の子としては強くなるモンスターの姿がどうなるのか気になってしまうのである。
「一応、現時点で判明している通常のものだと、マリーは『シルバースネーク』、リンは『スーパーレオパルド』ってなのになる可能性もあるか」
―――――
『シルバースネーク』
銀色の鱗を纏う、巨大な銀の蛇。魔眼の効果は真珠化から銀化させる効果へと変更されるが生物に対しての効果時間が飛躍的に上がり、受けた時点で即死判定をされる可能性が出てくる。
『スーパーレオパルド』
おっす、と気さくな声掛けする人が金色になる姿と似た容姿になる豹のモンスター。常にすさまじい気迫を纏い、接近戦よりも色々飛ばしまくる遠距離戦が得意になる。
―――――
なお、あくまでも可能性であり、断定されているわけではない。
似たような種族が目撃されているからこそ、進化先はそのような姿になるかもしれないと噂されているだけであり、実証されていないからな。
個人的にはスーパーレオパルドはちょっと気になるけどね。いやまぁ、ああいう感じのって何かすごそうだし色々とできそうだからな。最終的に赤くなったり青くなったりしそうだけど。
とはいえ、一応スキルなどの影響もあるので、結局どうなるのかは不明である。なので、進化の時までのお楽しみという事で、どの様な姿になるのか待って、夢を広げれば良い話だ。
「んー、でも感覚的にもうすぐかもしれないってのは待ち遠しさもあるな。素材採取はまだまだやりたいけど、もう少しレベル上げをやってみるか?」
【ガウガウ!】
【シャシャゲェ!】
自分達の進化に興味があるのか、元気よく返事するリンにマリー。のんびりと進めるのが良いのだが、強くなって損はないだろうし、何かと新しい発見があるのも楽しみだろう
「とりあえず、今日はもうちょっとやってみて、駄目だったら素材をとって引き上げよう工房での親方との約束があるからね」
アップデートで追加された、鍛冶工房にいるドワーフの親方。
次回のアップデートで亜人種族というのが増えるらしく、人間ばかりの世界にも新しい風が吹くので楽しみにしている人も多い。
まぁ、あののじゃロリエルフの存在が出てきた時点で、テンプレのような種族がでてくるとは推測されているが、どうなるのか分からない部分もあるからな。ただまぁ、心の底から思うのであれば、エルフとかそういうのが出てきても、全部があののじゃロリエルフのような人でないことを祈りたい。
とにもかくにも、後数体ほど狩ってレベルアップをして、できなければ引き上げてじっくりと錬金術の時間にしようかなと思っていた…‥‥その時だった。
【シャゲ?シャゲシャゲェ】
「ん?どうしたの、マリー?」
周囲の天然の地雷トラップにも警戒して進んでいると、ふとマリーが何かに気が付いたようで、袖を引っ張って来た。
上の方に向けて尻尾を向けており、見ろと言っているようなので目を向けると、何かが落ちてきていた。
「~~~~~の~~~~じゃぁぁぁぁぁ!!」
「…‥‥何だろう、思いっきり見たことも聞いたこともある姿と声がしてきたんだけど」
【ガウ?】
ああ、そう言えばリンの方は彼女に会ったことは無いんだっけ。となると、この状況になって初めて出会うことになるかもしれないが、何をどうしたらこうなっているのか。
「おおぅ!!そこのはいつぞやかの飯を食べさせてくれた人!!わらわを助けてここから逃げるのじゃぁぁぁ!!」
落下しながらそう叫んでいるのは、のじゃロリエルフ。
先日出会ったばかりだが、まさか早い再会をするとは思わなかったけど…‥ん?
「あれ?他にも何か一緒に落ちてきて‥‥‥いやちょっと待て、何と一緒に落ちてきているんだよ!?」
【グゲガアアアアアアアア!!】
ふと気が付いたが、のじゃロリエルフの後方から、同じく落下してきている巨体の姿を捕らえた。
見れば巨大なユリの花のようでありつつ、根元の球根に鋭い牙が生えそろっており、根っこの部分がアンバランスなムキムキマッチョな足をしている。
―――――
『キングユリィボム』
巨大なユリの身体は髪の毛のようなものであり、その本体は根元の球根である大型の植物モンスター。
普段は地面に埋まっており、そのユリから放たれる香りを利用して獲物をおびき寄せ、近づいてきたところでバクっと丸のみにする。
また、獲物がかからなければ強硬手段で自ら突撃し、自爆攻撃を狙ってくる質の悪い植物でもあり、ユリの花部分から爆弾の種を連射して逃げ道をふさいでから、盛大な特攻で相手を道連れにする。
―――――
後で調べたらそんなモンスターではあったが、何をどうしたら一緒に落ちてくるのか。そもそも何でこういう状況になるのかはわからないが、少なくともこの場にいたら絶対に不味い事態になるのは間違いない。
「リン、あの少女を跳躍して抱え込んで、全力で逃げるぞ!!このままだと巨体なモンスターに押しつぶされるのが目に見えている!!」
【ガウガァァア!!】
いうが早いがリンは素早く跳躍し、のじゃロリエルフをキャッチして三回転して着地する。そして地上についた時に地面を蹴り上げ、全力で僕らはこの場を逃走し始める。
ドッスゥゥゥン!!
【グゲゲゲエラァァァ!!】
「あの巨体で見事な着地だと!?」
「そこ驚く所かのぅ!?良いから早く逃げるのじゃぁぁぁぁあ!!」
驚愕しつつもしている場合ではないとツッコミが入り、僕らは全速力で逃走を試みる。
ちらっと後方を振り返ると、キングユリィボムはムキムキな足に力を入れ、僕らを追いかけ始めてきていた。
「何だよアレ何だよアレ!後で絶対に悪夢を見る化け物だろ!!」
【シャゲェェ!!】
【ガウガァァウ!!】
「わらわに言われても分かるわけなかろう!!文句を言うならば製作者共に言うのじゃぁぁ!!」
一応NPCとは言え、のじゃロリエルフがそんなことを言って良いのかという疑問を抱きつつも、思う暇もないほど追いかけられ、現実時間で30分ほどかけてようやく逃走に成功した。
「ぜぇ、ぜぇっ、ぜぇっ‥‥‥よ、ようやく逃げ切れたけど、あたりが不気味な様子になっているんだが」
「おおぅ‥‥‥やっちまったのぅ。爆裂湿地帯の最奥秘匿エリアに無我夢中になって入ってしまったようじゃ」
「最奥秘匿エリア?」
「隠しエリアではないのじゃが、まぁ分かりやすく言えば‥‥‥ボス部屋じゃよ」
逃走に成功したはずだが、その言葉で嫌な予感が一気に襲い掛かった。
ふと気が付くと、周囲のエリアは先ほどまでの湿地帯の雰囲気から一転し、禍々しい毒の沼地のようになっている。
そして、こういうどう考えても不味い場所には当然、のじゃロリエルフが言った例えのように‥‥‥
ドッバッァァァン!!
【ホンギョラバァァァァ!!】
「毒の沼地っぽい場所から、さっきのユリよりもでかいカニが出てきたぁぁぁあ!?」
「ここのボスでもある『ポイズンクラブ』じゃよ!!」
【シャゲェ!?】
【ガウガウ!?】
‥‥‥ピンチを逃れたかと思えばもっと非常に不味い場所へ、僕らは迷い込んでしまったのであった。
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