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ver.1.0 ~始まりの音色~
ver.1.0-4話 学びつつ、好奇心はわくもので
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ゴリラマンさんに色々と教わっておきつつ、このアルケディア・オンライン内で可能な事はどれほどあるのか、試したいことが多い。自由度が高い分、選択肢が多いからこそ、楽しみ方は人それぞれである。
「そして案の定、まずはレベルアップを狙って、モンスター討伐をする人が多いな」
ぼそっとそうつぶやきつつ、僕は始まりの街から少し離れた解放されているエリア、「初心者の森」とやらにて戦闘が行われている光景を見ていた。
ある者は大剣を振り降ろし、またある者は弓矢で仕留めたり、更にまた別の者はじわりじわりと状態異常でいたぶって戦闘しているようだ。各々の異なる職業を活かして戦闘を行い、経験値を積んでいるのだろう。
もうちょっと経験値が欲しければ、ここではない場所でより強くその分経験値も多いモンスターがでるので、プレイヤーによっては組んで効率化を狙っているようだ。モンスターを狩りまくってレベルを上げ、ゲームでありがちな「俺つえぇぇ」みたいなことをやってみたいのかな?気持ちは分かるけど、ゆっくり楽しみたい派なので、流されないようにしておこう。
「ついでに僕も、試し打ちにしに来たけれどね…‥‥さてさて、『お試し爆薬』っと」
チュートリアル時に製作した「お試し爆薬」。ほんのわずかなダメージを発生させる程度らしいが、具体的にはどの程度なのか分からない。
だからこそ、こういう場でしっかりと確認して、今後戦闘する機会があったらどう活かせるのか確認しておくべきだろう。
きょろきょろと手ごろな相手を探すこと数分、周囲でほかのプレイヤーたちが狩りをしているせいで、いま一つモンスターのわきが悪かったが、それでもいい相手が出て来た。
こういうゲームの最初に出会う定番中の定番「ゴブリン」である。
【ギュルゲェ!!】
「と言っても、なんかデフォルメされて怖くもないな…‥」
街を出る際にゴリラマンさんが初心者は必ず手に入れておいた方がいい道具という事で、ただでもらえるという「モンスターの書」を選択し、相手がどの様なものなのか確認する。
―――――
『チビゴブリン』
通常のゴブリンよりも弱めなモンスター。初心者が相手をするにはかなり楽な相手。ただし、10匹以上集まると合体して『ゴブリンハンター』になって、少々強化されてしまうので注意。
―――――
どこの世界のスライムだよと、ツッコミを入れたくなるも集まることはそうそうないらしい。というのも仲が悪すぎて、3匹以上になった時点で互いに争うらしいからね。周囲で10匹以上集めて見よーぜと言っているプレイヤーたちが協力していたりするけど、全然うまく行ってない様子。
それなのに何でこんな説明があるのか‥‥‥何か条件でもあるのだろうか?
まぁ、良い。相手としては都合が良いし、こちらはいつでも逃げる用意もできている。爆薬を手に持ち、狙いを定める。
「とりあえず、喰らえぇぇ!!」
ぶおんっと思いっきり全力投球し、爆薬がゴブリンの頭へ‥‥‥
ゴッス!!
【グギャゲェェ!?】
「…‥‥あれぇ?」
…‥‥直撃し、爆発するかと思いきや、ゴブリンの眉間にクリーンヒットしただけである。しかもかなり痛かったようで、額に手を押さえて悶絶していた。おかしいな、爆発しないのだが‥?
―――――
>爆薬の使用を確認しました
>しかし、不発だったようです
―――――
ポーンっと音がするとともに、何やら僕の前にメッセージウインドウというべきものが出てきて、そう表示された。どうやらお試し爆薬にはランダムで不発になっているものがあるようで、最初からその不発を引いてしまったらしい。
【ギギギギ、ギャゲェェェ!!】
っと、読んでいる間に立ち直ったのか、ゴブリンが全身を真っ赤にさせて突進してきた。
そりゃ怒るだろう、突然モノを投げつけられて、眉間に当ったのだから。
「とりあえずもう一発!!」
接近戦は不味そうなので、もう一つ作っていた爆薬を投げる。
ボンッ!!
【ギャゲェェェェ―――――‥‥‥‥】
「‥‥‥あれ。もしかしてもう終わり?」
無事に小爆発が起き、ダメージが与えられたと思いきや、断末魔を上げてゴブリンの姿が消えうせた。アルケディア・オンラインでは討伐に成功すると、モンスターは消え失せてアイテムがドロップするらしいのでこの演出は間違っていないのだが、それにしてはやけに早すぎる幕切れだ。
―――――
>最初に、会心の一撃を確認
>通常の2倍のダメージによって、消滅いたしました
―――――
あまりも早いので疑問に思い、少々戦闘していたログを洗ってみると、どうやらゴブリンにとって眉間が急所となっていたらしく、最初の不発した爆薬の直撃でかなりHPを削っていたようである。ある意味幸運というべきか、ゴブリンにとっては不運というべきか…‥‥まぁ、倒せたのだから良しとしよう。なんか釈然としないけど。
それはそうと、出てきたアイテムは何だと思っていると、手持ちに入った表示が出ていたので確認する。
―――――
「ゴブリンの腰布」
ボロボロなゴブリンの腰に巻かれている布で、扱いに困る。
―――――
「うわぁ、すっごい微妙…‥‥」
初心者が倒せる程度のモンスターだし、微妙なのは仕方が無いだろう。大抵の場合、序盤が本当に苦しいからな…‥‥でもまぁ、初戦闘を無事に終えられてちょっとほっとしている自分がいる。
とにもかくにも、この布だけだと嫌だし、他にも色々とドロップするものを調べたい。お試し爆薬はチュートリアル時に作ったやつがまだまだあるから、やりようはあるはず。
「後は、周辺の素材を生かしてもっと別の武器とかも作らないとなぁ…‥‥」
錬金術師だからこそできる戦い方や、道具の作り方もあるはず。ならば、本日の予定プレイ時間の終盤まで、ちょっと粘ってみるべきか。
そこでふと、周囲の草花や木を見て思ったが、このアルケディア・オンラインはかなり自由度が高いゲームのはずであり、これらもどうにか利用できるはず。たとえばそう、この草花を手に持って手持ちに‥‥‥
「あ、入った」
―――――
>「ただの雑草×3」を入手しました。
―――――
何も道具の入手法は、モンスターからドロップするだけではないようだ。まぁ、出てきた道具名がどう考えてもそんなに価値がないものだが、それでもこうやってアイテムとして入手できるのであれば、何かの使い道はあるはず。
「そう言えば、爆裂草と水の入った瓶だけで爆薬が作れていたし…‥‥色々と試すべきかな?」
周囲がモンスターとの戦闘でドロップアイテムや経験値を集める中、ふと出てきた疑問に対して僕は探求欲が湧きだし、色々と試すことにした。
幸い、こんな草花に眼をつける人もいないし、戦う事ばかりをやっている人が多いので気にかけられることは無いだろう。後はもうちょっと、この入手メッセージがいちいち出てこないようにしたいが‥‥‥あ、設定で変えられるのか。
ならば、可能な限り集められるだけやってみて、入手できそうなものをどんどん手持ちに入れていくべきか。まぁ、限界容量がどのぐらいなのかってのも気になるけど、そこまでやらないようにある程度加減をしつつ、こっそりとやってみよう。
‥‥‥そしてそれから数十分後、草むしりやら折れた木の枝などを集めつつ、ある程度の量を入手し終えたので、確認のためにどのぐらい所持品が増えたのか中身を見ることにした。
―――――
「所持品」
・「お試し爆薬×2」
・「ゴブリンの腰布×3」
・「ただの雑草×340」
・「折れた木の枝×20」
・「ニガニガ草×12」
・「劣化薬草×4」
―――――
「ちょっと、集めすぎた気がするけど流石に全部無駄ってことは無いよな?」
時折戦闘する羽目になったりして爆薬の残りが少なくなったので街に戻って来たが、この量の所持品をどう消費したものか悩むところ。
でも、事前にゴリラマンさんの話を聞いていたので、ある程度の当てはある。
「それが『初心者用錬金工房』か…‥‥」
街中を進み、たどり着いたのは大釜で何かを茹でているかのような看板が付いている「初心者用錬金工房」。錬金術師の職を選んだ人たちが、いつでもだれでも自由に使えるところのようで、ここで色々と実験してみることが出来るらしい。
小さな部屋を借りて中で行い、混ぜたり磨り潰したり煮たりするための簡単な道具も一緒に借りることが出来るようで、自由に簡単な錬金が出来るそうだが‥‥‥‥さて、どうなるのやら。
とりあえず試しに一部屋借りて、実験を行うことにした。全部無駄な可能性もあるが、何か良いものが作れないか試行錯誤をして見たい。水入りの瓶などもちょっと欲しい所だが、ここではただで得られるらしいし、これはこれでやりようはあるかもね。
「まずは、全部試すか。結果もリストに書いて、何がどうなっているのか確認しておこう」
―――――
『ただの雑草×1』+『水入りの瓶』
=『雑草ジュース』
・製作評価:1
・効果:ただの不味い飲み物。のどの渇きは癒えるが、後味最悪。
『ニガニガ草×1』+『水入りの瓶』
=『ニガニガジュース』
・製作評価:1
・効果:後味が恐ろしく苦い飲み物。飲むとHPの3%分のダメージを受ける。
『劣化薬草×1』+『水入りの瓶』
=『劣化ポーション』
・製作評価:2
・効果:HP回復効果(小)。飲まないよりはマシ。
『ゴブリンの腰布×1』+『ゴブリンの腰布×1』
=『ゴブリンの腰布(中)』
・製作評価:2
・効果:多少はマシなサイズと質になった布。組み合わせ次第では布の防具を製作可能。
『折れた木の枝×1』+『折れた木の枝×1』
=『ただの真っ直ぐな木の枝』
・製作評価:2
・効果:ただの木の枝であり、それ以上のものでもない。組み合わせ次第では木の装備を製作可能。
―――――
…‥‥どうやら組み合わせによって別物が出来るようで、同じもの同士だとちょっとだけ良いものが出来るようだ。腰布の方をちょっと試したかったが、そんなに狩っていないので中途半端な状態になってしまう。
「あ、でも布と枝で、ちょっと旗っぽいの作れるかな‥‥?」
―――――
『ゴブリンの腰布(中)×1』+『ただの真っ直ぐな木の枝×1』
=『白旗×1』
・製作評価:2
・効果:PvP時に使用することで、即座に敗北可能。HPを削る前にいらない戦闘を無くすことが出来るが、一回の使用ごとに所持金が2割減少する。
―――――
思いっきりいらないものが出来上がってしまった。何で白旗になる上に、デメリットがあるものが出来るんだよ。‥‥‥でも、これはこれで予想していなかったし、組み合わせによってはもっと違う物が製作可能ってことなのか…‥?
「試す価値はあるし、時間一杯を使ってもっとやってみるか」
布はもう使えないけど水入りの瓶は使えるし、木の枝やただの雑草にも余裕がある。それにまだ適当に混ぜただけで、焼いたり磨り潰したりする工程も経ていないし、やりようによってはまともな薬草やアイテムを入手した際にどういうものが作れるのかという参考にもなるはずだ。
そう思い、のんびりの前準備に必要な事だと考え、作業に没頭し始めるのであった‥‥‥‥
「そして案の定、まずはレベルアップを狙って、モンスター討伐をする人が多いな」
ぼそっとそうつぶやきつつ、僕は始まりの街から少し離れた解放されているエリア、「初心者の森」とやらにて戦闘が行われている光景を見ていた。
ある者は大剣を振り降ろし、またある者は弓矢で仕留めたり、更にまた別の者はじわりじわりと状態異常でいたぶって戦闘しているようだ。各々の異なる職業を活かして戦闘を行い、経験値を積んでいるのだろう。
もうちょっと経験値が欲しければ、ここではない場所でより強くその分経験値も多いモンスターがでるので、プレイヤーによっては組んで効率化を狙っているようだ。モンスターを狩りまくってレベルを上げ、ゲームでありがちな「俺つえぇぇ」みたいなことをやってみたいのかな?気持ちは分かるけど、ゆっくり楽しみたい派なので、流されないようにしておこう。
「ついでに僕も、試し打ちにしに来たけれどね…‥‥さてさて、『お試し爆薬』っと」
チュートリアル時に製作した「お試し爆薬」。ほんのわずかなダメージを発生させる程度らしいが、具体的にはどの程度なのか分からない。
だからこそ、こういう場でしっかりと確認して、今後戦闘する機会があったらどう活かせるのか確認しておくべきだろう。
きょろきょろと手ごろな相手を探すこと数分、周囲でほかのプレイヤーたちが狩りをしているせいで、いま一つモンスターのわきが悪かったが、それでもいい相手が出て来た。
こういうゲームの最初に出会う定番中の定番「ゴブリン」である。
【ギュルゲェ!!】
「と言っても、なんかデフォルメされて怖くもないな…‥」
街を出る際にゴリラマンさんが初心者は必ず手に入れておいた方がいい道具という事で、ただでもらえるという「モンスターの書」を選択し、相手がどの様なものなのか確認する。
―――――
『チビゴブリン』
通常のゴブリンよりも弱めなモンスター。初心者が相手をするにはかなり楽な相手。ただし、10匹以上集まると合体して『ゴブリンハンター』になって、少々強化されてしまうので注意。
―――――
どこの世界のスライムだよと、ツッコミを入れたくなるも集まることはそうそうないらしい。というのも仲が悪すぎて、3匹以上になった時点で互いに争うらしいからね。周囲で10匹以上集めて見よーぜと言っているプレイヤーたちが協力していたりするけど、全然うまく行ってない様子。
それなのに何でこんな説明があるのか‥‥‥何か条件でもあるのだろうか?
まぁ、良い。相手としては都合が良いし、こちらはいつでも逃げる用意もできている。爆薬を手に持ち、狙いを定める。
「とりあえず、喰らえぇぇ!!」
ぶおんっと思いっきり全力投球し、爆薬がゴブリンの頭へ‥‥‥
ゴッス!!
【グギャゲェェ!?】
「…‥‥あれぇ?」
…‥‥直撃し、爆発するかと思いきや、ゴブリンの眉間にクリーンヒットしただけである。しかもかなり痛かったようで、額に手を押さえて悶絶していた。おかしいな、爆発しないのだが‥?
―――――
>爆薬の使用を確認しました
>しかし、不発だったようです
―――――
ポーンっと音がするとともに、何やら僕の前にメッセージウインドウというべきものが出てきて、そう表示された。どうやらお試し爆薬にはランダムで不発になっているものがあるようで、最初からその不発を引いてしまったらしい。
【ギギギギ、ギャゲェェェ!!】
っと、読んでいる間に立ち直ったのか、ゴブリンが全身を真っ赤にさせて突進してきた。
そりゃ怒るだろう、突然モノを投げつけられて、眉間に当ったのだから。
「とりあえずもう一発!!」
接近戦は不味そうなので、もう一つ作っていた爆薬を投げる。
ボンッ!!
【ギャゲェェェェ―――――‥‥‥‥】
「‥‥‥あれ。もしかしてもう終わり?」
無事に小爆発が起き、ダメージが与えられたと思いきや、断末魔を上げてゴブリンの姿が消えうせた。アルケディア・オンラインでは討伐に成功すると、モンスターは消え失せてアイテムがドロップするらしいのでこの演出は間違っていないのだが、それにしてはやけに早すぎる幕切れだ。
―――――
>最初に、会心の一撃を確認
>通常の2倍のダメージによって、消滅いたしました
―――――
あまりも早いので疑問に思い、少々戦闘していたログを洗ってみると、どうやらゴブリンにとって眉間が急所となっていたらしく、最初の不発した爆薬の直撃でかなりHPを削っていたようである。ある意味幸運というべきか、ゴブリンにとっては不運というべきか…‥‥まぁ、倒せたのだから良しとしよう。なんか釈然としないけど。
それはそうと、出てきたアイテムは何だと思っていると、手持ちに入った表示が出ていたので確認する。
―――――
「ゴブリンの腰布」
ボロボロなゴブリンの腰に巻かれている布で、扱いに困る。
―――――
「うわぁ、すっごい微妙…‥‥」
初心者が倒せる程度のモンスターだし、微妙なのは仕方が無いだろう。大抵の場合、序盤が本当に苦しいからな…‥‥でもまぁ、初戦闘を無事に終えられてちょっとほっとしている自分がいる。
とにもかくにも、この布だけだと嫌だし、他にも色々とドロップするものを調べたい。お試し爆薬はチュートリアル時に作ったやつがまだまだあるから、やりようはあるはず。
「後は、周辺の素材を生かしてもっと別の武器とかも作らないとなぁ…‥‥」
錬金術師だからこそできる戦い方や、道具の作り方もあるはず。ならば、本日の予定プレイ時間の終盤まで、ちょっと粘ってみるべきか。
そこでふと、周囲の草花や木を見て思ったが、このアルケディア・オンラインはかなり自由度が高いゲームのはずであり、これらもどうにか利用できるはず。たとえばそう、この草花を手に持って手持ちに‥‥‥
「あ、入った」
―――――
>「ただの雑草×3」を入手しました。
―――――
何も道具の入手法は、モンスターからドロップするだけではないようだ。まぁ、出てきた道具名がどう考えてもそんなに価値がないものだが、それでもこうやってアイテムとして入手できるのであれば、何かの使い道はあるはず。
「そう言えば、爆裂草と水の入った瓶だけで爆薬が作れていたし…‥‥色々と試すべきかな?」
周囲がモンスターとの戦闘でドロップアイテムや経験値を集める中、ふと出てきた疑問に対して僕は探求欲が湧きだし、色々と試すことにした。
幸い、こんな草花に眼をつける人もいないし、戦う事ばかりをやっている人が多いので気にかけられることは無いだろう。後はもうちょっと、この入手メッセージがいちいち出てこないようにしたいが‥‥‥あ、設定で変えられるのか。
ならば、可能な限り集められるだけやってみて、入手できそうなものをどんどん手持ちに入れていくべきか。まぁ、限界容量がどのぐらいなのかってのも気になるけど、そこまでやらないようにある程度加減をしつつ、こっそりとやってみよう。
‥‥‥そしてそれから数十分後、草むしりやら折れた木の枝などを集めつつ、ある程度の量を入手し終えたので、確認のためにどのぐらい所持品が増えたのか中身を見ることにした。
―――――
「所持品」
・「お試し爆薬×2」
・「ゴブリンの腰布×3」
・「ただの雑草×340」
・「折れた木の枝×20」
・「ニガニガ草×12」
・「劣化薬草×4」
―――――
「ちょっと、集めすぎた気がするけど流石に全部無駄ってことは無いよな?」
時折戦闘する羽目になったりして爆薬の残りが少なくなったので街に戻って来たが、この量の所持品をどう消費したものか悩むところ。
でも、事前にゴリラマンさんの話を聞いていたので、ある程度の当てはある。
「それが『初心者用錬金工房』か…‥‥」
街中を進み、たどり着いたのは大釜で何かを茹でているかのような看板が付いている「初心者用錬金工房」。錬金術師の職を選んだ人たちが、いつでもだれでも自由に使えるところのようで、ここで色々と実験してみることが出来るらしい。
小さな部屋を借りて中で行い、混ぜたり磨り潰したり煮たりするための簡単な道具も一緒に借りることが出来るようで、自由に簡単な錬金が出来るそうだが‥‥‥‥さて、どうなるのやら。
とりあえず試しに一部屋借りて、実験を行うことにした。全部無駄な可能性もあるが、何か良いものが作れないか試行錯誤をして見たい。水入りの瓶などもちょっと欲しい所だが、ここではただで得られるらしいし、これはこれでやりようはあるかもね。
「まずは、全部試すか。結果もリストに書いて、何がどうなっているのか確認しておこう」
―――――
『ただの雑草×1』+『水入りの瓶』
=『雑草ジュース』
・製作評価:1
・効果:ただの不味い飲み物。のどの渇きは癒えるが、後味最悪。
『ニガニガ草×1』+『水入りの瓶』
=『ニガニガジュース』
・製作評価:1
・効果:後味が恐ろしく苦い飲み物。飲むとHPの3%分のダメージを受ける。
『劣化薬草×1』+『水入りの瓶』
=『劣化ポーション』
・製作評価:2
・効果:HP回復効果(小)。飲まないよりはマシ。
『ゴブリンの腰布×1』+『ゴブリンの腰布×1』
=『ゴブリンの腰布(中)』
・製作評価:2
・効果:多少はマシなサイズと質になった布。組み合わせ次第では布の防具を製作可能。
『折れた木の枝×1』+『折れた木の枝×1』
=『ただの真っ直ぐな木の枝』
・製作評価:2
・効果:ただの木の枝であり、それ以上のものでもない。組み合わせ次第では木の装備を製作可能。
―――――
…‥‥どうやら組み合わせによって別物が出来るようで、同じもの同士だとちょっとだけ良いものが出来るようだ。腰布の方をちょっと試したかったが、そんなに狩っていないので中途半端な状態になってしまう。
「あ、でも布と枝で、ちょっと旗っぽいの作れるかな‥‥?」
―――――
『ゴブリンの腰布(中)×1』+『ただの真っ直ぐな木の枝×1』
=『白旗×1』
・製作評価:2
・効果:PvP時に使用することで、即座に敗北可能。HPを削る前にいらない戦闘を無くすことが出来るが、一回の使用ごとに所持金が2割減少する。
―――――
思いっきりいらないものが出来上がってしまった。何で白旗になる上に、デメリットがあるものが出来るんだよ。‥‥‥でも、これはこれで予想していなかったし、組み合わせによってはもっと違う物が製作可能ってことなのか…‥?
「試す価値はあるし、時間一杯を使ってもっとやってみるか」
布はもう使えないけど水入りの瓶は使えるし、木の枝やただの雑草にも余裕がある。それにまだ適当に混ぜただけで、焼いたり磨り潰したりする工程も経ていないし、やりようによってはまともな薬草やアイテムを入手した際にどういうものが作れるのかという参考にもなるはずだ。
そう思い、のんびりの前準備に必要な事だと考え、作業に没頭し始めるのであった‥‥‥‥
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