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ver.1.0 ~始まりの音色~
ver.1.0-1話 入手~そして設定しつつ、ログインを!
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‥‥‥科学技術の発達は素晴らしいものがあるだろう。しかし、それでもどうにもできないことがある。
「本当に、仕事って疲れるよなぁ‥‥‥‥でもしないと、お金も入らないし、色々と大変だぁ‥‥‥」
ぐでーんっとソファでくつろぎながら、僕、青葉春はそうつぶやいた。
今年度から晴れて新卒となり、無事に就職できた。一応、就職先はブラックではないので良かったのだが、それでも一生懸命働く分、疲れはたまってゆく。
「でも、今日は疲れが吹っ飛ぶぞぅ!!新しいVRMMOを手に入れたからな!!」
いい大人ではあるが、それでも嬉しい事なのでついついはしゃいでしまう。
無理もない。就職して数カ月、貯めた貯金で初めて購入したものが、このVRMMO‥‥‥最近頭角を現し、ゲーム界の超新星爆発を引き起こしたというメーゼ・イワド社製のものなのだから。
購入した専用の装置は、見た目は宇宙服のヘルメットみたいな形状だが特に重くはない。
これを頭にかぶるだけで、いつでもどこでもVRMMOを楽しめるという話だが…‥‥その出来具合は、他企業のVRMMOとは群を抜いて異なっているという。
というのも、頭に装着するタイプのVRMMMOはこれまでもいくつかはあったが、体を動かして人に当たったりするせいで、室内にいる実感は抜けなかった。
だがしかし、メーゼ・イワド社製のVRMMMOはそうではない。
簡単に言えば意識だけを異世界へ飛ばすという表現で表せるような仮想現実の世界を楽しめるというのだ。
室内で体を動かさずに済み、思った通りに動くように。
それでいて風の涼しさや水の冷たさ、暑い砂漠に温かい春の気候といったものから、仮想現実なのにどういう仕組みなのか料理を作ってみると実際に味を口の中に感じ取ることが出来るという。
‥‥‥まぁ、それはこれまで発売されてきたものの評判だが、今回新たに発表されたものも期待されている。
数年前から少しづつβテストされており、一週間ほど前にようやく大衆に向けて発売をされた『アルケディア・オンライン』。なんでもすでに先行して遊んだユーザーによるネット情報だと、自由度を増やしつつ、のんびりと生活もできるし、モンスターとも戦闘できるVRMMMOなのだとか。
ワクワクとしつつ、仕事疲れですぐにできないが…‥‥幸い、翌日は休日だったので朝早くからやってみることにした。
「それじゃ、最初に説明書を読んで確認していこう。」
念のためにベッドに横になって安全性を確保してから、すぽっと頭からヘッドセットを被る。
感覚的にはヘルメットの装着だが、首元辺りに電源とタイマーがセットされているようだ。
というのも、こういうVRMMOに関して遊ぶと、時間の流れを忘れていることがあって現実での食事をとり忘れていたり、遅刻してしまうケースが報告されていたそうなので、その防止のためにきちんとタイマーを前もってセットしてやめられるようになっているそうだ。
ついでに運動不足にもならないように、仮想現実内での体の動きはヘッドセットから微弱な電流が流され、筋肉に影響を与えて現実でも運動をしたかのようにもなるらしいが‥‥‥まぁ話は後にして、今は遊ぶことを考えよう。
といっても、遊ぶ時間を考えると帰宅してから2~3時間ぐらいかな…‥‥休日だと長く出来そうだけど、それでも長時間はトイレ休憩なども必要だし、ずっとログインはできない。
なので、パーティとか組める形式だと相手の都合もあるので、基本的にはソロになるだろう。
「とりあえず、まずは電源をつけてっと」
説明書も一通り読み終えたのでトイレ休憩を予測してタイマーをセットし、電源をつけた瞬間、周囲の景色が切り替わった。
「おおおおお?」
どうやら仮想現実内に入ったようだが‥‥‥‥直ぐに音声が響き渡った。
『ようこそ!!アルケディア・オンラインの世界へ!!』
機械音声ではなく、人間の女性のような声。
見れば白い球体のようなものが目の前に浮かんでおり、そこから声が発せられたらしい。
「おー…‥‥こんな感じなのか」
『はい!!そういう感じです!!』
僕のつぶやきに対して、律義に返答してくる。
ある程度ならば、事前にネットでネタバレにならない程度の情報を集めていたが、それでもこうやって体験してみるとこの時点でどこかの世界に漂っている感じがあり、現実世界にいない感覚がすごい。
後はどうやら事前のβテストによってある程度の反応も予想されているようで、作られたガイドというか、最初の案内用のAIが動き、いつでも直ぐに答えられるようだ。
カクカクシカジカと目の前の球体から説明を受けたが、設定的にはアルケディア・オンラインの女神のようなものらしく、ログインしてきたプレイヤーたちに最初の手ほどきをしてくれるらしい。女神という割にはただの光る球体にしか見えないが…‥人によって見え方が異なるらしく、その理由は不明。ネット情報だと多分その人の持つ神のイメージが影響しており、装置でスキャンした際にある程度の齟齬が無いようにされているのだとか。
とにもかくにも年齢制限、描写設定、音量、その他諸々の話もしつつ、このアルケディア・オンラインの仕組みなどを詳しく教えてもらう。
「つまり、きちんとレベルやスキルなどの概念もありつつ、基本的に自由に発生してくるものもあるってこと?」
『はい。最初に選ばれる職業である程度のスキルを与えられるのですが、その後から修得できるのは、アルケディア・オンラインでの行動次第で独特なものが多いのです』
アルケディア・オンラインはキャラ制作の際に職業を設定するが、その際に得られる基本的なものとしてスキルと呼ばれるものがあるらしい。例えば『戦士』であれば最初は『初心者の武器の心得』というスキルがあるそうだが、剣を多く使えば『剣術の基礎』、斧を使えば『斧術の基礎』といった具合に変化も起きるそうだ。
また、スキルはただ最初からあるだけではなく、料理を行えば『料理人の基礎』、裁縫を行えば『裁縫の基礎』などを習得したり、何かしらの称号なども獲得できるらしい。
つまり、楽しめば楽しむほど、その人がどう過ごしてきたのかというのもわかりつつ、自分だけのスキルなども修得し、深くはまり込めばはまり込むほど独特になっていくようだ。ゲーマー等であれば、全部の習得を目指す人も出そうである。
なお、このゲーム内で得られたスキルに関しては現実世界にもある程度フィードバックすることも可能だと言うが、そのあたりの具体的な説明は長くなりそうなので省いてもらう。
「とはいえ、そんなに複雑なことができるのかなぁ?」
普通のゲームであれば、設定された分しか出せないとは思うのだが…‥‥メーゼ・イワド社のコンピュータはこれまでのものとは異なっており、どんなことも対応できるらしい。
そんなものを応用したゲームを、大衆の娯楽としてよく出せるなと思ったが、特に気にする必要もないか。何かに利用される可能性はあるけど、悪い方向には出されまい。
『それではそろそろ、アバター設定をお願いいたします!!このアルケディア・オンラインの中で、あなた自身になるものなので、ゆっくりと想像しながらどうぞ!!』
アルケディア・オンライン内で過ごす、自分自身の肉体となるアバター。
説明によると現実世界の肉体をスキャンしてそっくりに作る事も可能と言えば可能らしいが、流石に個人情報の観点からある程度改造するようにされているらしい。
実際に出してもらうと、確かに鏡で見る自分の肉体だが…‥‥事前にちょっと改造されており、髪や目の色合いなどが変わっている。
ああ、その前にしっかりと自身のネームも入れないとね。ここは簡単に僕の名前からとって『ハル』と設定しよう。後で変更も可能らしいが、自分で分かりやすくしておこう。
「あ、カラー以外にも身長や体形なども変えられるのか」
自分でカスタム設定もできるし、考えるのが面倒ならばランダム設定というのもある。
なので思い切って、ランダム設定にした。
自分で作ってもいいけど、このランダム設定はそれなりに要望を投げれば、ある程度叶えてくれるそうなので楽と言えば楽である。
ちなみに要望としては『のんびりできそうな感じで』と。社会人として忙しく過ごすし、ここはゆったりと過ごせそうなのが良いからなぁ…‥‥アルケディア・オンライン内では他にも様々な人型の種族があるらしいが、今のところは人間だけしかアバターに選べないってのもあるな。その他の種族も楽しみである。
『「のんびりできそうな感じ」受諾いたしました。それでは、その要望通りに作成をこちらで行いますが、よろしいでしょうか?』
「はい」
あ、ついでにもうちょっと身長伸ばしてというべきだったか。顔は自分で言うのもなんだが整っているらしいけれども、他人から見るとなんか子供っぽい感じで庇護欲にそそられるとか…できればより大人ぽくなってほしいが、どうなるのか?
『それでは次に、職業を選択していただきます。こちらもランダムで設定できますが、説明を受けて自主選択も可能です』
「いくつあるの?」
『現在、5つの職業が設定可能です。一人につき1つまで初期の時点で設定できますが、今後のアップデートによって転職や職業のバージョンアップが想定されております。』
存在している職業が、『戦士』、『魔法使い』、『弓兵』、『僧侶』、『錬金術師』か。簡単な説明を受けると、きちんと各職業なりの特徴があるようだ。
―――――
『戦士』
・剣や斧などが基本だが、素手で戦う事も可能。
・攻撃力が高く、近・中攻撃が得意。
・防御面も高い反面、状態異常攻撃には注意。
『魔法使い』
・魔法を扱える。
・遠距離攻撃が得意。
・覚える魔法によっては僧侶ほどではないが回復もこなせるのだが、近接戦は苦手。
『弓兵』
・弓矢などを扱える。
・俊敏に動きやすい装備が多く、中距離攻撃や素早い動きが得意。
・毒や麻痺などの武器を使えれば、状態異常の攻撃もこなせるようになるのだが、器用貧乏になる可能性がある。
『僧侶』
・自身や仲間の回復が可能。
・単純に回復するだけではなく、その反対の状態異常攻撃も得意。
・回復魔法を使って持久戦も可能だが、あと一歩足りないこともある。
『錬金術師』
・武器や防具と言った品々を製作可能。
・NPC製品も色々と改造可能であり、物によっては更に性能を高めることが出来る。
・その反面、戦闘に関しては道具だよりになりがちで、尽きた時が運のつきになる。
―――――
色々とあり、どれもこれも得意不得意があってバランスはそれなりにある。
個人的には魔法使いと僧侶を選んで回復特化を目指したり、あるいは戦士と錬金術師で装備品を充実させつつ戦闘に挑むプレイも面白そうだとは思う。とは言え、のんびりマイペースに進めるのであれば、道具便りになりつつも、できない事を見極めやすそうな錬金術師だろうか?
「職業設定は錬金術師っと」
『確認いたしました。復唱いたしますが、アバター用の名は「ハル」で、容姿はランダム設定および要望「のんびりできそうな感じ」。そして職業設定は「錬金術師」ですね?』
ぽちっと職業を設定したところで、YESかNOという表示が出て来た。
最終確認のようで、迷いなくYESの回答を押す。
『データ、完全受理完了…‥‥アバター生成まで十数秒、お待ちください』
かたかたっと音がしつつ、ぐるぐると待機用のアイコンが動く。
そして言われたとおりに待つとあっという間に設定が完了したようだ。
『作成、完了いたしました。それでは改めまして‥‥‥‥ようこそ、アルケディア・オンラインへ!!』
女神の声が響くと同時に、周囲の景色がどこかの野原のような景色へと移り変わるのであった…‥‥
「本当に、仕事って疲れるよなぁ‥‥‥‥でもしないと、お金も入らないし、色々と大変だぁ‥‥‥」
ぐでーんっとソファでくつろぎながら、僕、青葉春はそうつぶやいた。
今年度から晴れて新卒となり、無事に就職できた。一応、就職先はブラックではないので良かったのだが、それでも一生懸命働く分、疲れはたまってゆく。
「でも、今日は疲れが吹っ飛ぶぞぅ!!新しいVRMMOを手に入れたからな!!」
いい大人ではあるが、それでも嬉しい事なのでついついはしゃいでしまう。
無理もない。就職して数カ月、貯めた貯金で初めて購入したものが、このVRMMO‥‥‥最近頭角を現し、ゲーム界の超新星爆発を引き起こしたというメーゼ・イワド社製のものなのだから。
購入した専用の装置は、見た目は宇宙服のヘルメットみたいな形状だが特に重くはない。
これを頭にかぶるだけで、いつでもどこでもVRMMOを楽しめるという話だが…‥‥その出来具合は、他企業のVRMMOとは群を抜いて異なっているという。
というのも、頭に装着するタイプのVRMMMOはこれまでもいくつかはあったが、体を動かして人に当たったりするせいで、室内にいる実感は抜けなかった。
だがしかし、メーゼ・イワド社製のVRMMMOはそうではない。
簡単に言えば意識だけを異世界へ飛ばすという表現で表せるような仮想現実の世界を楽しめるというのだ。
室内で体を動かさずに済み、思った通りに動くように。
それでいて風の涼しさや水の冷たさ、暑い砂漠に温かい春の気候といったものから、仮想現実なのにどういう仕組みなのか料理を作ってみると実際に味を口の中に感じ取ることが出来るという。
‥‥‥まぁ、それはこれまで発売されてきたものの評判だが、今回新たに発表されたものも期待されている。
数年前から少しづつβテストされており、一週間ほど前にようやく大衆に向けて発売をされた『アルケディア・オンライン』。なんでもすでに先行して遊んだユーザーによるネット情報だと、自由度を増やしつつ、のんびりと生活もできるし、モンスターとも戦闘できるVRMMMOなのだとか。
ワクワクとしつつ、仕事疲れですぐにできないが…‥‥幸い、翌日は休日だったので朝早くからやってみることにした。
「それじゃ、最初に説明書を読んで確認していこう。」
念のためにベッドに横になって安全性を確保してから、すぽっと頭からヘッドセットを被る。
感覚的にはヘルメットの装着だが、首元辺りに電源とタイマーがセットされているようだ。
というのも、こういうVRMMOに関して遊ぶと、時間の流れを忘れていることがあって現実での食事をとり忘れていたり、遅刻してしまうケースが報告されていたそうなので、その防止のためにきちんとタイマーを前もってセットしてやめられるようになっているそうだ。
ついでに運動不足にもならないように、仮想現実内での体の動きはヘッドセットから微弱な電流が流され、筋肉に影響を与えて現実でも運動をしたかのようにもなるらしいが‥‥‥まぁ話は後にして、今は遊ぶことを考えよう。
といっても、遊ぶ時間を考えると帰宅してから2~3時間ぐらいかな…‥‥休日だと長く出来そうだけど、それでも長時間はトイレ休憩なども必要だし、ずっとログインはできない。
なので、パーティとか組める形式だと相手の都合もあるので、基本的にはソロになるだろう。
「とりあえず、まずは電源をつけてっと」
説明書も一通り読み終えたのでトイレ休憩を予測してタイマーをセットし、電源をつけた瞬間、周囲の景色が切り替わった。
「おおおおお?」
どうやら仮想現実内に入ったようだが‥‥‥‥直ぐに音声が響き渡った。
『ようこそ!!アルケディア・オンラインの世界へ!!』
機械音声ではなく、人間の女性のような声。
見れば白い球体のようなものが目の前に浮かんでおり、そこから声が発せられたらしい。
「おー…‥‥こんな感じなのか」
『はい!!そういう感じです!!』
僕のつぶやきに対して、律義に返答してくる。
ある程度ならば、事前にネットでネタバレにならない程度の情報を集めていたが、それでもこうやって体験してみるとこの時点でどこかの世界に漂っている感じがあり、現実世界にいない感覚がすごい。
後はどうやら事前のβテストによってある程度の反応も予想されているようで、作られたガイドというか、最初の案内用のAIが動き、いつでも直ぐに答えられるようだ。
カクカクシカジカと目の前の球体から説明を受けたが、設定的にはアルケディア・オンラインの女神のようなものらしく、ログインしてきたプレイヤーたちに最初の手ほどきをしてくれるらしい。女神という割にはただの光る球体にしか見えないが…‥人によって見え方が異なるらしく、その理由は不明。ネット情報だと多分その人の持つ神のイメージが影響しており、装置でスキャンした際にある程度の齟齬が無いようにされているのだとか。
とにもかくにも年齢制限、描写設定、音量、その他諸々の話もしつつ、このアルケディア・オンラインの仕組みなどを詳しく教えてもらう。
「つまり、きちんとレベルやスキルなどの概念もありつつ、基本的に自由に発生してくるものもあるってこと?」
『はい。最初に選ばれる職業である程度のスキルを与えられるのですが、その後から修得できるのは、アルケディア・オンラインでの行動次第で独特なものが多いのです』
アルケディア・オンラインはキャラ制作の際に職業を設定するが、その際に得られる基本的なものとしてスキルと呼ばれるものがあるらしい。例えば『戦士』であれば最初は『初心者の武器の心得』というスキルがあるそうだが、剣を多く使えば『剣術の基礎』、斧を使えば『斧術の基礎』といった具合に変化も起きるそうだ。
また、スキルはただ最初からあるだけではなく、料理を行えば『料理人の基礎』、裁縫を行えば『裁縫の基礎』などを習得したり、何かしらの称号なども獲得できるらしい。
つまり、楽しめば楽しむほど、その人がどう過ごしてきたのかというのもわかりつつ、自分だけのスキルなども修得し、深くはまり込めばはまり込むほど独特になっていくようだ。ゲーマー等であれば、全部の習得を目指す人も出そうである。
なお、このゲーム内で得られたスキルに関しては現実世界にもある程度フィードバックすることも可能だと言うが、そのあたりの具体的な説明は長くなりそうなので省いてもらう。
「とはいえ、そんなに複雑なことができるのかなぁ?」
普通のゲームであれば、設定された分しか出せないとは思うのだが…‥‥メーゼ・イワド社のコンピュータはこれまでのものとは異なっており、どんなことも対応できるらしい。
そんなものを応用したゲームを、大衆の娯楽としてよく出せるなと思ったが、特に気にする必要もないか。何かに利用される可能性はあるけど、悪い方向には出されまい。
『それではそろそろ、アバター設定をお願いいたします!!このアルケディア・オンラインの中で、あなた自身になるものなので、ゆっくりと想像しながらどうぞ!!』
アルケディア・オンライン内で過ごす、自分自身の肉体となるアバター。
説明によると現実世界の肉体をスキャンしてそっくりに作る事も可能と言えば可能らしいが、流石に個人情報の観点からある程度改造するようにされているらしい。
実際に出してもらうと、確かに鏡で見る自分の肉体だが…‥‥事前にちょっと改造されており、髪や目の色合いなどが変わっている。
ああ、その前にしっかりと自身のネームも入れないとね。ここは簡単に僕の名前からとって『ハル』と設定しよう。後で変更も可能らしいが、自分で分かりやすくしておこう。
「あ、カラー以外にも身長や体形なども変えられるのか」
自分でカスタム設定もできるし、考えるのが面倒ならばランダム設定というのもある。
なので思い切って、ランダム設定にした。
自分で作ってもいいけど、このランダム設定はそれなりに要望を投げれば、ある程度叶えてくれるそうなので楽と言えば楽である。
ちなみに要望としては『のんびりできそうな感じで』と。社会人として忙しく過ごすし、ここはゆったりと過ごせそうなのが良いからなぁ…‥‥アルケディア・オンライン内では他にも様々な人型の種族があるらしいが、今のところは人間だけしかアバターに選べないってのもあるな。その他の種族も楽しみである。
『「のんびりできそうな感じ」受諾いたしました。それでは、その要望通りに作成をこちらで行いますが、よろしいでしょうか?』
「はい」
あ、ついでにもうちょっと身長伸ばしてというべきだったか。顔は自分で言うのもなんだが整っているらしいけれども、他人から見るとなんか子供っぽい感じで庇護欲にそそられるとか…できればより大人ぽくなってほしいが、どうなるのか?
『それでは次に、職業を選択していただきます。こちらもランダムで設定できますが、説明を受けて自主選択も可能です』
「いくつあるの?」
『現在、5つの職業が設定可能です。一人につき1つまで初期の時点で設定できますが、今後のアップデートによって転職や職業のバージョンアップが想定されております。』
存在している職業が、『戦士』、『魔法使い』、『弓兵』、『僧侶』、『錬金術師』か。簡単な説明を受けると、きちんと各職業なりの特徴があるようだ。
―――――
『戦士』
・剣や斧などが基本だが、素手で戦う事も可能。
・攻撃力が高く、近・中攻撃が得意。
・防御面も高い反面、状態異常攻撃には注意。
『魔法使い』
・魔法を扱える。
・遠距離攻撃が得意。
・覚える魔法によっては僧侶ほどではないが回復もこなせるのだが、近接戦は苦手。
『弓兵』
・弓矢などを扱える。
・俊敏に動きやすい装備が多く、中距離攻撃や素早い動きが得意。
・毒や麻痺などの武器を使えれば、状態異常の攻撃もこなせるようになるのだが、器用貧乏になる可能性がある。
『僧侶』
・自身や仲間の回復が可能。
・単純に回復するだけではなく、その反対の状態異常攻撃も得意。
・回復魔法を使って持久戦も可能だが、あと一歩足りないこともある。
『錬金術師』
・武器や防具と言った品々を製作可能。
・NPC製品も色々と改造可能であり、物によっては更に性能を高めることが出来る。
・その反面、戦闘に関しては道具だよりになりがちで、尽きた時が運のつきになる。
―――――
色々とあり、どれもこれも得意不得意があってバランスはそれなりにある。
個人的には魔法使いと僧侶を選んで回復特化を目指したり、あるいは戦士と錬金術師で装備品を充実させつつ戦闘に挑むプレイも面白そうだとは思う。とは言え、のんびりマイペースに進めるのであれば、道具便りになりつつも、できない事を見極めやすそうな錬金術師だろうか?
「職業設定は錬金術師っと」
『確認いたしました。復唱いたしますが、アバター用の名は「ハル」で、容姿はランダム設定および要望「のんびりできそうな感じ」。そして職業設定は「錬金術師」ですね?』
ぽちっと職業を設定したところで、YESかNOという表示が出て来た。
最終確認のようで、迷いなくYESの回答を押す。
『データ、完全受理完了…‥‥アバター生成まで十数秒、お待ちください』
かたかたっと音がしつつ、ぐるぐると待機用のアイコンが動く。
そして言われたとおりに待つとあっという間に設定が完了したようだ。
『作成、完了いたしました。それでは改めまして‥‥‥‥ようこそ、アルケディア・オンラインへ!!』
女神の声が響くと同時に、周囲の景色がどこかの野原のような景色へと移り変わるのであった…‥‥
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