花橘の花嫁。〜香りに導かれし、ふたりの恋〜

伊桜らな

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序章

プロローグ

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「――香、満ちました」
 私、櫻月さくらつき紗梛さなは綸子生地に青の橘と菊、梅の模様のくすんだ水色の着物を着て礼をし挨拶をした。
 参加してくださった方に来てくださったお礼を伝えながらお見送りをする。
「ありがとうございました」
「今日の“春雪しゅんせつ香”とても良かったわ。さすが、あやさんね」
「ありがとうございます、次は梅雨頃に開催する予定なのでその時に招待状を書きますね」
 皆が帰って行き、お片付けに戻ろうと屋敷に入る。先ほどまで香席をしていた部屋の片付けをして香間を出る。
 すると、何か懐かしい音がした。なんの音か分からずキョロキョロさせる。
「勘違い、か」
 そう独り言を呟いて自室に戻ろうとした時、後ろから声をかけられる。
「……君は、櫻月紗梛か?」
 私の名を呼んだ男性は、とても麗しく美しい人だった。そして私にこう言った。


「――君は、華乃宮毘売の生まれ変わりだ」
 
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