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第十七章
君を愛しているのは俺だけでいい。
しおりを挟む「……さっむ!」
折角、軽く遠出をしたからと先月オープンした大きなショッピングモールに行って
買い物をして
ご飯を一緒に食べて、
寒いのにまた海に私たちはやってきた。
「そりゃ、もうすぐ12月だもん。寒いに決まっとるじゃんか。なんで、海……?」
「……話したいことあったから」
「話なら家でもできるじゃん。」
わざわざ海に来て話をするなんて、大事な話なのかなぁ…?
「……俺、日向会を引退しようと思うんだ。」
「え……なんで?前は高校卒業するまで辞めないって」
「そのつもりだったんだけど……俺、」
彼は海面に映る月を見つめ、微笑んでからまた話し出す。
「…俺、日向が全てだった。日向にいると自分らしくいられて俺にとってはかけがえのない居場所で守りたい場所だし大好き。それは変わらないこと……
でもそれ以上に、日向よりも大好きで守りたい存在が出来たから。それは陽愛。
これから先、何があっても揺るがない気持ち」
「……でも、私のこと大切にしてくれてるの分かってる。けどなんで、辞めるの?辞める理由なんて「あるよ」」
彼は私の言葉を遮ると、私を抱きしめる。
「……俺が続ける限りは俺の彼女の陽愛が狙われる。陽愛は俺の弱点だから。
けど、俺が日向じゃなくなったら狙われたりしなくなる。俺は、陽愛を守りたい。」
彼は少し体を離すと静かに膝まずいて、白色の小さな箱を取り出した。それを見ただけでその箱の中身がなんなのか分かってしまった。
……女の子が憧れる、ドラマのワンシーンみたいなシチュエーション。
その中の物は、きっと━︎━︎━︎━︎━︎━︎…
彼が箱をパカっと開けるとそこにはひとつの指輪が光っていた。
「朝倉 陽愛さん…俺と、結婚してください。」
告げられた瞬間、涙が出てきて止まりそうにない。すごく嬉しいはずなのに……
人は幸せ絶頂になると、涙が出て止まらなくなるのかな…?
そう思ってしまうくらいに私は……。
「……そんなに嫌だった?」
「違うのっ……すごく嬉しいよ。けど、なんか涙が止まらないの」
「……じゃあ、結婚してくれる?」
「うん!陽平くんと結婚する。」
そう彼に告げれば、指輪をはめてくれた。その指輪には、ある花のモチーフで作られている。
「向日葵……」
「陽愛と言えば太陽だろ?でも太陽は無くて、だから向日葵にした。
これから先は俺の隣で俺だけの道しるべになって欲しい」
彼の言葉が身に染みる。本当にすごい。
すごく温かい気持ちになった。
「道しるべになれるかどうかは分からないけどね、私は陽平くんの側に隣にいたい。これから先もずっと一緒に生きていきたい。」
私は、彼に抱きつくと彼に向かって叫んだ。
「陽平くんっ!大好きっ…!」
すると彼も叫ぶ。
「俺も大好き。絶対、幸せにするから覚悟しとけよ。」
覚悟…もうしてるよ、
「じゃあ、行こうか。」
「え⁈どこに?」
「んー秘密。」
……陽平くんと幸せになる覚悟。
陽平くんと一生涯、生きていく覚悟。
今日までたくさんのことがあった。
悲しいことも辛いこと、苦しいこと
愛おしいと思える彼にも出会えた。
それはかけがえのない宝物。
それだけはこれから先も変わらない事実。
きっとこの先辛く苦しいことがあったって大丈夫。だってもう…ひとりぼっちじゃないから。
隣には大好きな彼がいる。
かけがえのない仲間もいる。
だから大丈夫だよ、過去の自分。
私、今すっごく幸せだから。
2人、手を繋いで歩く。彼がくれた指輪が月明かりにキラキラと光っていた。
「陽愛、愛してるよ。」
「私も、陽平くんのこと…愛してる。」
きっと、いや絶対に隣に彼が居てくれたら私の未来【あした】は輝くはずだから……。
fin.
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