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第1章
◇隣国に行ってお仕事探し
しおりを挟む森から出ると私はまず仕事を探そうと職業案内所に向かった。
だが、私は今まで聖女しかしたことがない。聖女だったなんて名乗るわけにもいかず、なかなか仕事は簡単には見つからなかった。
「王都に行けばなんとかなるかなー……一応はお金あるし」
保証人はいないけど、なんとかなるはずだと信じて王都行きの馬車に乗った。大国だけあって王都までは丸二日かかったけど王都へ行くことができた。
王都に到着し私は腹ごしらえのためにカフェに入った。
「いらっしゃい、好きな席に座ってね。これメニューだから決まったら呼んで」
「ありがとうございます」
席に座ると店内を見る。大衆食堂のような場所なのかな、と思いながらメニューを見る。節約のために一番安いやつを見つけてそれを頼む。
「はーい、ちょいと待っててね」
料理が来るまで私はここに来る前にもらってきた求人票をペラペラと見る。できれば住み込みがいいから宿泊施設とかかな、なんて頭の中で巡らせていると「お待たせ」と店主さんが料理を持ってきてくれた。
「はい、たまごサンドね。お前さん、仕事探してるのかい?」
「あっ、はい。まだ来たばかりなんですけど中々なくて」
「そうか。お嬢さんさえ良ければだが、ここで働かないかい? ちょうど従業員を雇おうと考えていたところでね、住み込みで三食付き」
住み込みで、朝も昼も晩もご飯が付いてる!?なんて好条件!
「どうだい? まぁ給料は少ないかもしんないけどね」
「ありがとうございます! ぜひ働かせてください」
「こっちこそありがとう。じゃあ、話はこれ食べてからにしようね」
店主さんはそう言って他のお客さんの方に行ってしまったので私はたまごサンドを食べ始める。卵はふわふわで甘くてとても美味しかった。
その後、お昼の時間が終わった頃。
私は店主さん――もとい、ステラさんにお店の二階に案内された。
「先月までは娘が使ってた部屋なんだよ、少し狭いけど」
「いえ。住む場所があるだけでありがたいので……逆にこんな素敵な部屋を貸していただいてもいいんでしょうか」
狭いと言うけど教会と比べたらとても広い。教会の部屋二個分はあるんじゃないかと思うくらいで贅沢なんじゃないかと思ってしまうくらい。
「いいんだよ。娘は嫁いでってね、だから使ってくれた方がこの部屋も喜ぶさ」
「そうなんですね、ありがとうございます。あのいつから働いてもよろしいでしょうか」
「あーそうだね。今日はゆっくりして明日から頑張ってくれればいいよ。あれが制服だからね、じゃあ何か有れば下に来てな」
そう言ってステラさんはこの部屋から出て行った。
「……服、なさすぎ」
鞄を開けて服とかをチェストに入れようと思ったのに肝心の服が無かった。それも当然だ。今までは聖女としてのドレスにローブを付けていたし、外に出ることもなかったから外向き用のもない。
今日はゆっくりする予定だったのだけど、服屋にでも行こうかな。近くにあるかステラさんに聞いてみようとショルダーバッグを肩に掛けて下に降りる。
「ステラさん」
「はーい……あら、ミシュリーヌ。どこかに出かけるのかい?」
「はい。服がないので服を買いに行こうかと……服屋さん近くにありますか?」
迷子にならない距離がいいんだけど。
「あぁ、あるよ。一緒に行こう、服屋は私の幼なじみがやってんだ」
「ありがとうございます、何から何まで……」
ステラさんは、その幼なじみさんがしている服屋さんに連れて行ってくれた。服屋さんに入ると可愛らしい人がいて、いろんなワンピースや靴、下着などを勧めてくれてそれを何点か購入してから帰宅した。
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