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第二章
スイートルームで甘い夜
しおりを挟む「妃菜ちゃん、ワインがいい? それともシャンパン?」
「じゃあ……ワインで」
ゆらくんがグラスにワインを2人分注いでいる音がする。私は部屋の中にあるソファに座っているだけだけど……ドキドキして心臓の音が抑えられない。
「妃菜ちゃんはこの部屋どう思う……?」
「……え?」
「旅館の若女将として見て……このスイートルーム、どう?」
今いるこの部屋は、ホテルKAGAMIの最上階にあるスイートルームだ。あの告白の後、ゆらくんに連れられてきた場所だ。スイートルームというだけあって広いラグジュアリーな空間には上品な家具が配置されていて、窓から見える夜景はとても綺麗で美しい。
「室内も豪華で、綺麗で特別感があってテンションあがります! 家具って外国からの輸入品ですよね? それも素敵で……」
「良くわかったね。外国の家具メーカーと契約してね取り入れてみたんだよ」
「女の子が喜びそう。夜景も綺麗だし」
櫻庵には3階までしかないからこんなに高い階からの夜景は本当に素敵で憧れもある。
「泊まるのもいいですけど、こういうところで女子会とかしたら楽しそうですよね」
「その手もあるな……新しい」
「櫻庵でも、宿泊じゃない女子会プランがあって好評で……」
去年から櫻庵でも始めた女子会プランで、リピーターも多いんだよね。
「仕事の話ばっかりですね」
「あぁ、ごめん……いろいろ嬉しすぎて」
「ふふっ……ゆらくんと仕事の話したことないから楽しいよ」
ゆらくんも仕事好きなんだなぁ……でも、もし私と一緒になったら櫻庵で働いてもらうってお祖父様が言っていた。
「ゆらくん、あのさ……もし私と結婚することになったら、仕事――」
「大丈夫。俺は、櫻庵で妃菜ちゃんと一緒に働くよ。元々、次男だからホテルは継げないんだよ」
「でも」
「妃菜ちゃん、俺は妃菜ちゃんとお見合いする前に加賀美を出る覚悟はしていたんだよ」
そんな……。
「妃菜ちゃん、大丈夫だよ。そんなに落ち込まないで」
ゆらくんに頭を撫でられて見上げると、彼の唇と唇が重なった。
「……っん……」
私はほんの少し前のことを思い出して身体中が熱くなるのを感じた。
「可愛い」
「な、何言ってるの!」
「その顔、前の婚約者にもしていたと思うと妬けるな」
「大丈夫ですよ。妬くところがないです」
うん、本当にゆらくんがするような嫉妬の部分がないのだ。
「私、いま初めてキスしました」
「……え?」
「私、手を繋いだことすらありません」
そう、私は婚約者がいただけで恋愛経験が全くないのだ。私が異性として見ていなかったのもあるが、あちらも私を意識したことなかったんじゃないかと思う……だって、お互い好きとかの感情なかったんだから。
「えぇ!? デートとかは……」
「出かけたのは誕生日にディナーくらいですかね」
「……じゃ、じゃあ俺が初めての相手?」
「そうです……全く恋愛経験がなくて」
私が落ち込みがちにそう言うと、ゆらくんは対照的に何故か嬉しそうに小さく微笑んだ。
「……わ、笑わないでよ。今まで仕事が一生懸命だったんだから」
「笑ってないよ、嬉しかっただけ……妃菜ちゃんの初めて貰えるのは嬉しい」
「は、は、初めてって……」
「妃菜ちゃんの反応いつ見ても可愛いよな」
ゆらくんはそう言うと、「こっち向いて?」と色っぽく耳元で囁くと顎をグイッと上げて唇を重ねた。
「……んっ……」
吐息が漏れて恥ずかしくて下を向くと耳をゆびで撫でられてビクッとする。
「もっと可愛い顔見せて」
「……っ! んんっ」
ゆらくんを見上げると目が合う。すると、引き寄せられたかのように唇が重なる。初めは触れるようなキスだったが、だんだんと濃厚で深いキスに変わってくる。
「今日は手を出すつもりはなかったが」
普段とは違う色気溢れる声で言うゆらくんにドキンっと心臓が音を立て、バクバクと波打ちはじめる。その音が耳の奥で響く。
「――我慢できない」
そう続けて言ったゆらくんは私を抱き上げると、ベッドルームに横抱きされながら連れて行かれる。ベッドの上に着地し冷たいシーツと触れた。
「ゆ、らくん……ま、待って」
心臓が激しく高鳴っている。それに被せるように声を振り絞り言ったのに、簡単に唇を奪われてしまった。
「待たない」
ゆらくんは指で耳の輪郭に触れ耳元で息を吹きかけられる。
「……ひゃぅ!」
私が声を上げた瞬間、ゆらくんの舌が耳の輪郭や耳たぶ、耳の中を這っていく。
「んんっ」
それを両耳舐められ、耳から首筋を舌が這われ段々と下に降りてきた。
「……ぁふ……っん」
ゆらくんは膨らんでいる部分に触れ、着ていたワンピースドレスのチャックを下ろすと丁寧に脱がされ下着の上から再び触れられゆっくりと胸の膨らみを掴まれ手を動かした。
「ゆ、らくっ……やっダメっ」
「ダメじゃないだろう?」
「ああっ……」
私が甘い声を上げるとブラジャーのホックを外したプチっという音が聞こえた。取られるのを阻止しようと手を出すけどゆらくんの方が早くスルッと取られてしまった。締め付けられていたものが無くなり自由になり、何も身に付けてない胸を掴んだ。
「んっ……ぁ……ゆ、らくっ」
甘い声が部屋に響く中、ゆらくんは胸の頂を指で弾かれ私は甘い声を我慢できない。
「……ぁ………んんっ」
ゆらくんは舌を使い私の胸の頂を刺激してくる。甘い声を止めることはできない。そして、片方の手を使い下腹部を指でなぞった。下着の上から指で触れる。
「あっ……やっ、やめっ」
「身体は嫌じゃないみたいだよ……ほらこんなにトロトロだ」
ゆらくんは私の下着を下ろすと指で左右に擦る。すると、ピチャピチャと淫音が聞こえた。
「やっ……言わないでっ」
私はそう言ったが、聞いてはくれず指だけではなく舌でも刺激される。
「……っ……」
息が上がっている私にゆらくんは私の上に覆い被さると彼の熱い部分が私の中に入ってくるのがわかる。ゆっくりと腰を動かされた。
「……っんぁ……あっ……」
ゆらくんの吐息と肌が重なる音、私の甘い声が部屋のなかに響き渡る。
「ゆらくんっ……あっ」
「妃菜ちゃん可愛い。その顔、そそられる」
ゆらくんはそう言うと同時に奥へ突き上げると、そのまま抱きしめられる。快感が私を襲い、頭の中が真っ白になった。
――目が覚めると、外は明るかった。起きあがろうと目を擦り上体を起こそうとした。だけどお腹辺りを誰かに捕まえられていて身動きが取れない。
「……妃菜ちゃん、起きたの?」
「ひゃぁ!」
いきなり耳元で話しかけられ、思わず声を上げてしまった。
「可愛い声」
「な、何言ってるの! 離して!」
「えー……やだ。そんな格好で、起きるの?」
……へ? こんな、格好……? ゆらくんの言うことが理解できず自分の体を見ると私は何も身に付けていなかった。
「……っ~~」
恥ずかしくてどうすればいいか分からなくてシーツに包まろうとすると、ゆらくんに手首を掴まれてしまいそれが出来なかった。
「昨日全部見たんだから今更隠さなくてもいいだろ?」
「そ、そういうことっ言わないで!」
「なんで? 昨日はあんなに可愛かったのに」
だから、そういうことは言わないでってば! それに今は朝だからシーツが少し捲れただけで丸見えだ。私がオドオドしているのをいいことに後ろから回されている手が上に上がり、胸の膨らみに触れた。
「今日はお休みだしチェックアウトも15時までだからそれまではゆっくり過ごそう」
そう言ったゆらくんは本当にその時間ギリギリまで離してくれなかった。
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