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第2話 黒髪エルフを監視します!

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今なんて言った?
風俗店にいるって言ったのか。
あの黒髪エルフが風俗店にいるだと。
それって…。

「超最高じゃないか!」

「は?」

「あなたは、なにを言っているんですか」

なんだこの巫女服女神は、いや女神様は。
最高じゃないか。
俺をわざわざ風俗店にまで導いてくれ、そのうえ美人エルフのスカートを
めくらせてくれるというのか。
これはジンクス族とか倒す前に俺の心臓が、もたなそうだ。

「おい、赤井真斗」

女神様はなんてことを俺にさせようとしているのだ。
まあ女神様からの要望なら、仕方がないよな。
こんなこと考えてたらほんとうに心臓がもたないぜ。
ここは深呼吸でもするとしよう。

「すうぅ…………はぁぁー……」

「すうぅ…………はぁぁあうあああいたいたいたい!なんだこれは!痛い痛いいたたたた!頭があああああ!」

なんだこの痛みはこんな痛みを感じるのは初めてだ!
全く初めてのことが本当に多いな。しかしこの痛みはマジで地獄だ。

そんなことを考えながら痛みと格闘していると
その強烈な痛みと共に頭にこんな声が響いてきた。

「話を聞かなかった罰ですよ」

まさかこいつがやったのか、確か脳に直接話しかけてるって言っていたよな。
痛みまで与えられるとか聞いてないぞ。

「もう反省しましたか、今はあなたのするべきことをしてくださいよ。
もしまた話を聞かなかったら的外れなことを言った時は…」

「わかったから早く、この痛みから解放してええ」

俺は自分が情けなく感じるほどの声で女神にお願いした。
こんな屈辱は二度とあじわいたくないね。

そして女神はしょうがないから解放してるよと思ったような顔で
俺を痛みから解放してくれた。

「まあ今は黒髪エルフの
スカートをめくってもらうためにも
早く店のほうに行ってもらいたいのですが」

しょうがない、女神もこう言っていることだし行くか。
それにしても異世界に来て女の子のスカートをめくることになるなんて…。
こんなことはアニメや漫画じゃ、絶対にないぞ。


そんなことを考えているうちに俺は風俗店の前に来た。
ここで思い出したのだが俺ってまだ20歳だったよな。
こんな店に入って、からかわれたりしないだろうか。

よし、俺も男だ。こんなところでビビってちゃ異世界生活なんか
長くは続かん。

「ガチャ」

俺はさっそく店の中に入った。すると
ドアについていた鈴の音を聞いて店員さんがきた。
それまたかわいいエルフだった。

「一名様でよろしいですか?」

「は、はい一人です。あ、俺、いや…」

「…?」

やばいエルフの姉ちゃんが困ってる。なんとかしなければ。
こう見えても俺は童貞で女の人と喋ったことなんて中学の時の先生ぐらい
なんだからな。

「へー、いいこと聞きましたよ赤井さん。まあ思った通りだったから
なんか笑えてきますね」

この巫女服ビッチ野郎、後で殴りたい。

「あ、あのお名前を聞いてもよろしいでしょうか?」

おっと名前を聞かれているようだ。
ここはかっこいい名前を名乗りたいが慣れないこともありそうだし
本名を名乗ろう。

「名前は赤井真斗です。」

俺は童貞ながらも頑張った方だと思う。
だって、こんなエルフと二人だけで喋ったんだぞ。
こんな緊張することは二度としたくない。
いや、この後比べ物にならないくらいの任務があったのだった。

えっと指名の方はこの紙を見ればいいんだな。
あの黒髪の子はっと。あれ、なんだこの赤バツ。
この子以外にも何人かいるな。

「あの、すみません。この赤バツってどういう意味ですか。」

俺が聞くとエルフの姉ちゃんが優しく教えてくれた。
赤バツがついている子たちは人気がありすぎて今日は
指名ができないということらしい。
だから俺は仕方なく、おまかせで女の子をお願いして
黒髪エルフを店で監視することにした。

それはいいものの。
これは…。

「お兄さん、お若いですね。戦闘力お高いんですか。私にはジンクス族
を倒すお方のように見えます」

「あ、その、戦闘力とかはそんなに高いというわけでは…」

「え?私には本当にお高く見えますよ、しかも
ちょっとかっこいいし…」

お世辞にも程があるぞ。俺が異世界に来る前には
この女に絶対惚れるだろうが、俺はもうそんなチョロくないぞ。
まずなんて言ったんだ、こいつは。
戦闘力が高い?ばか言うな、俺の戦闘力が低すぎて
ギルドから追い出されたのになにが高いだ。
このクソビッチには戦闘力最低ラインのやつが
かっこよく見えると。

まあそんなこんな話しているうちに
黒髪エルフは休憩時間に入ったようだ。

よし今しかない。
俺はトイレに行くと言って嘘を言い、クソビッチを突き放した後
黒髪エルフが入っていった休憩室の前に来た。

ここまで来たら彼女のスカートをめくって
即逃げるだけ。

そして俺は休憩室の扉に手をかけた。

「さぁ、パンチラタイムのショータイム!」

そして明るい部屋の奥に黒髪エルフがいた。
そして俺は相手が気づく暇もなくスカートを!

めくった。

それと同時にスカートの中から
大量のお金が出てきた。
ついでにパンツの色は黒だった。最高のものを拝ませてくれてありがとうと
感謝するぜ女神様。
てゆうかお金が手に入るってこれのことなのか。
でも、なんでこんなにスカートから金が出てくるんだ。

不思議に思いながら黒髪エルフの顔を見ると
本当にきれいな顔でビビった。
しかもなんか涙目になっている気がする。
あ、俺がスカートめくったからか。

「きゃあああああ!!」

おい、この女叫びやがった。
まずいぞ他の奴がきたら
異世界来て早々に、ブタ小屋とかありえる。
それはなんとしてでも回避しなければ!

俺は彼女の口を塞いで、部屋の中にあるクローゼットに
素早く身を潜めた。

女は暴れているがひとまず安心だ。
これでバレたら洒落にならないけど。
そんなことを考えていると誰かの声が聞こえてきた。
それはここまで聞こえてくるぐらいだから相当でかいな。

「あんたら、ここに黒髪のエルフは来なかったか?俺たちのギルドの金を奪いやがったんだ。見かけたりしたんなら教えてくれ」

ん、黒髪のエルフ?
それってもしや…。

俺の今、横にいる生物の外見そっくりなのは気のせいだろうか。
そしてそいつの顔を見るとお化けでも見たのかってぐらいの
真っ青な表情をしていた。
よりによって、なんでこいつギルドの金盗んでやがるんだ。

さっきギルドの中に入っていったのは盗みのためだったのかよ!
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