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第1話 異世界に参上します!

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目が覚めると俺は心地よい日光を浴びながら
草原の木の下で横になっていた。

「ここはどこだ...」

それにしてもこんなに寝るのが気持ちよかったことなんて
初めてかもしれない。まあ、それもそうか。
初めての異世界だしな。初めてのことだってたくさんあるさ。

ん。
ちょっと待て。

「ここ異世界じゃねえか!」

何やってんだ俺。こんなところで呑気に寝ている場合じゃないぞ。
俺は異世界に転生したんだ。何かモンスター狩りとか。
冒険とか!
あのコスプ、いや巫女服女神に感謝だ。
なんとお礼を言ったらいいのだろうか。

よし、まずは街に行って冒険者ギルドに入るのが
王道だろう。まあ異世界転生のルートに王道もくそもないか。

そして俺は街に入った。
まず心の準備はできていたのだがそれを見た瞬間
鼻血1リットルは出そうなくらい心臓がバクバクした。
なんでかって?それは
エルフが美人すぎてやばいからだ。
なんだあの透き通った瞳と薔薇の香りがしてきそうな髪は。
もう、これだけで飯三杯はいける。

それにあのうさぎ耳、犬耳、猫耳。
これはまさか。そうそのまさかだ。
喜びたまえ!俺の前にアニメや漫画でしか拝めなかった
獣人がいるではないか。

もうここは天国以外の何物でもない。
って危ない。この街に来た本来の目的は
まず冒険者ギルドに入ることだ。

そして街を歩いていると冒険者ギルドがたくさんあることがわかった。
しかも名前が一つ一つギルドに付いている。
ラバンズギルド。ラースギルド。ナーブギルド。
どれが良いとか悪いとか正直、言って全然わからん。
まあここは何でもいいかと思っていたら、
俺はある一つのギルドに目を向けた。

いやギルドというよりそこに入っていく
エルフの女の子。これは何というのだろう。
一目惚れしたのかもしれない。清楚感が溢れる長い黒髪と
水より透き通っていると言っていいほどの瞳。あいつには他のエルフにはない
何かをもっている。

そして俺はそのギルドの中に入り
その子を探したが見つからなかった。
一体どこに行ったんだ?

まあそんなことを考えながら
ギルド登録へと向かった。

「あの、大変言いにくいのですが冒険者様の戦闘力が規定値に達していないため検査用の魔石が反応しません」

「は」

思わず口に出てしまった。いやいやだって
普通はここで規定値より遥か上の戦闘力で未来の英雄とか
ちやほやされる展開じゃないか。
なんでこんな…。

そして俺は外へ出て深呼吸した。
こんなところで落ち込んでても仕方ないしな。
まずは飯でも食うか。こっち来てからなにも食べてないしな。
そして俺はあることに気付いた。
金がない。なんだこれは死亡フラグなのか。俺はどうすればいい。
とにかくズボンのポケットやらに何かないかと調べた。
すると

「ん、なんだこれ」

それは赤い宝石の指輪だった。
断じて俺はこんなのを持った記憶がないが
これはものすごくいいチャンスだ。これを売れば絶対に金になる。
なんで入っていたのかは知らないが超ラッキー。
まあ売るだけなのもなんだし、付けてみるか。

「これで、よし」

俺には全然似合わない代物だな。
まるでイカからタコの足が生えてきている違和感と
俺が指輪をつけた違和感は同じぐらいだと言える。
自分で言うのもなんだが悲しいものだ。

「あの、いろいろな想像しているところ悪いんですけど
もう私のお話を聞いてもらっても、よろしいですか?」

「今、声が」

この声どこかで聞いたことのある声だ。

「どうも赤井さん、私はルイーズと呼びます
私のことは覚えていますよね?」

そうだ、あの時のコスプレイヤーの声だ。
ルイーズと呼ぶのか。
そういえば名前は初めて聞いたな。
しかし、なぜ声が聞こえるんだ。
近くにいるのか。

「近くになんかいませんよ。今、あなたがしている指輪から脳に直接
話をしているのです」

え、この指輪?ていうかなんで俺の考えていることがわかるんだ。

「それはあなたが指輪を付けているおかげで私にあなたの考えている事がすべて送られてくるわけですよ、こんなことまで言わなきゃ分からないなんて
これだから人間は」

考えていることがすべてわかるだと。
なにその便利機能、俺もほしい。

「そうですね、コスプレイヤーとか変な言葉が聞こえましたが、これは気のせいでしょうか?」

誠に申し訳ないと思っておりますのでどうかご許しを。

「まあ、わかりました、許しますよ。」

ところで俺はなにをすればいいんだ。戦闘力もなし、金もなしだぞ。
これでどうやって生きていけばいい。

「私にお任せください。戦闘力は私にはどうすることもできませんが
お金ならお任せを」

なんだ頼りになるな。戦闘力はいいとして、金じゃ、金じゃ。

「長い黒髪で青い瞳を持っているエルフのスカートを盛大にめくりなさい」

「は?」

いや、なんか聞き違いをしたのかもしれない。しかもさっきのエルフのことだよな。ギルドに入って行った…。
俺の聞き違いだ。そうだ、コスプレイヤーでもこんな卑劣なことはさすがに…。

「誰がコスプレイヤーですか!私が言った通りにすれば
あなたは今日明日の生活には困らない程度のお金が手に入ります」

なんでスカートをめくって金が手に入るのか理解できないのだが。

「私には見えるのです!」

「スカートの中がですか?ちなみにエルフちゃんのパンツの色は?」

本当に気になるから教えて欲しいものだ。
でもあの感じのエルフだと白か黒の二択だな。

「あなたの性癖には幻滅しますね」

女の子のパンツを見たいというのは男なら誰もが思っていることだ。
コスプレイヤーにはわからんだろう。

「まあ、パンツを見ればいいんだろう、任せろ」

「違うわい!スカートめくるだけですよ。
なに、パンツ見ることを目的としているんですか。」

「わかりました、わかりましたよ、
それでそのパンツエルフはどこにいるんですか。」

あの子ならギルドに入った後は見てないから
場所がわからん。

「ラブアンドエルフという店です」

なんだそれ、聞くからに風俗店みたいな名前だな。

「いや風俗店ですけど」

「は?」
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