32 / 41
【3章】攻守交代......と思いきや、ハルトのターンが終わらない
32.完全敗北
しおりを挟む
二人して馬車に乗り込んだすぐあと、ハルト様はわたくしのことをきつく抱きしめてきました。コルセットをしているので、正直ちょっとだけ苦しいです! ……が、これは彼の強い愛情ですから! わたくしも必死に抱き返しました。
「クラルテ……」
頬を撫でられ、あまりの気持ちよさに目をつぶります。すると、すぐに唇に柔らかな感触が重なりました。チュ、チュと小さなリップ音が狭い馬車に響いて、頭が沸騰しそうです。
「ハルト様……」
キスの合間に互いの名前を呼び合います。いいですね、こういうの! ずっとずっと憧れてました。
…………いえ、本当はこんな浮かれムードじゃないんです。すごくしっとりした雰囲気なんですけど、こういうノリじゃないと本当にたえられないんですよ。恥ずかしすぎて! 逃げ出したくなっちゃうんです(馬車なんで逃げ場なんてないんですけどね)!
そのくせ、ハルト様に求められてる感じがして、すっごくすっごく嬉しいですし。
へんです。矛盾だらけです。わかってますけど、自分じゃどうしようもないんですよ。主導権を握られちゃってるんで。握り返すしか逃れる道はないってことなのでしょう。
「さっき……」
「はい?」
「ザマスコッチ子爵となにを話していたんだ?」
「え?」
気づいたら、ハルト様は熱っぽい瞳でわたくしのことを見下ろしていました。おまけに、半分ぐらい押し倒されておりまして、わたくしは今プチパニックです! 心臓、バクバクいってますし! お返事しなきゃと思っているのに、思考がうまくまとまりません。
そもそもハルト様にザマスコッチ子爵のことを話したっけ――と思ったところで、先程ロザリンデさんに対して思わせぶりなセリフを残していったことを思い出します。
本当はもっと違う形でお伝えしたかったんですけど、こればかりは仕方ない。だって、ロザリンデさんを牽制したかったんですもの! 完膚なきまでに叩き潰したかったんですもの! ハルト様はわたくしの旦那様ですもの! ちょっかいなんてかけてほしくないですもの! ……なんだか思い出したらムカムカしてきました。わたくしはハルト様に向き直ります。
「実は、火災保険なるものの勧誘話をされまして」
「うん」
それだけじゃないだろう? と詰め寄られつつ、わたくしはゴクリとつばを飲みます。
なんでしょう? ハルト様の様子がいつもの数倍おかしいです。ワイルドというか、セクシーというか! 彼を愛するわたくしには目に毒な状況です。若干怖いと思いつつ、それを心のどこかで楽しんでいる自分がいるといいましょうか……これは困りましたね。
「クラルテ?」
ハルト様がわたくしの名前を呼びます。
顔近い! 非常にまずい状況です。ドキドキしすぎて心臓が飛び出しちゃいそう!
とかなんとか思っていたら、噛みつくみたいなキスをされて、いよいよ頭が回らなくなってきました。全身が燃えるみたいに熱いですし、色々大丈夫でしょうか?
「クラルテ」
「~~~~ついでに口説かれかけたんですよ! ちゃんとかわしましたけどね!」
ハルト様を押し返しつつ、わたくしはちょっぴり声を張ります。ムッと眉間にシワを寄せたハルト様を抱きしめながら、わたくしは彼を抱きしめました。
「それより、わたくしだってちょっぴり傷ついてるんですよ。ハルト様がロザリンデさんと会話を交わしていたこと」
言いながら、思わずため息が漏れ出ます。
あーーあ、本当は拗ねるつもりなんてなかったのに……ハルト様に触発されてついつい本音を言ってしまいました。
だって、あれは完全なもらい事故ですから。ハルト様はロザリンデさんと話すつもりなんてなかったってわかってますもの。わかっていても、いい気はしないもんなんです!
「すまない」
ハルト様は言いながら、わたくしの頬にキスをします。何度も何度も。あやすみたいに。
「なんだかわたくし、ごまかされてます?」
まるで、やましいことがあるみたいじゃないですか? わたくしはムッと唇を尖らせます。
「違う。……嬉しかったんだ。クラルテが俺のために怒ってくれたこと」
ハルト様はそう言って、穏やかに目を細めて笑います。……表情を見ていたら、それが彼の本心だってすぐにわかって、なんだか泣けてきてしまいました。
「そんなの当たり前ですよ! わたくし、ハルト様のことが大好きですもの! あんなふうに言われたら嫌ですもの! 傷つきますもの! 本当はもっと……もっと、色々言ってやりたかったんです!」
ダメです……こらえようと思っていたのに、涙がこぼれてきてしまいました。女の泣き顔ってのはおそろしくブサイクなものですし、当然ハルト様に見せたくなんてありません。彼にはいつも笑顔のわたくしを見ていてほしいのに……。
「クラルテ」
ハルト様がわたくしに口づけします。よしよしってたくさん頭を撫でながら。合間に愛を囁かれて。涙は引っ込みましたが、完全に酸欠状態です! プハッと息を吸い込んで、わたくしは落ち着きを取り戻します。もうなにがあっても動じないぞと、そう意気込んだときでした。
「今夜は一緒に眠りたい――――って言ったらどうする?」
「ぇえ!?」
想定外! こればっかりは想定外ですよハルト様!
一緒に眠るって! つまり、そういうことですよね? ただの添い寝じゃありませんよね!?
ついこの間まで順序がどうとか色々、諸々おっしゃっていたじゃありませんか! 押しかけた当初、わたくしが冗談(半分本気)で『一緒に寝ましょ!』って言ったら、真っ赤に頬を染めていた純情なハルト様はどこに行っちゃったんですか!?
パニックのあまりなんにも口にできないわたくしを見下ろしつつ、ハルト様は頬に口づけます。
「――嫌ならい」
「嫌じゃないです!」
あっ、しまった。
ずるい。ずるいです。卑怯です。気づいたら負けてました!
だって、嫌だなんて言えるわけがないじゃありませんか! 相手はハルト様ですよ! わたくしの大好きな人ですよ! そもそも嫌じゃありませんし。戸惑ってるだけですし。色々と悔しくはありますけれども……。
「そうか」
ハルト様がそう言ってふにゃりと笑いました。ダメです、可愛い! ものすごく可愛い笑顔です! 完全に心臓を打ち抜たれたわたくしは、ハルト様に抱きつきます。今、身体に力が入りません。骨抜き状態ってやつですね。
(あーーあ、わたくしの完敗です……)
勝ちたかったのにな。
すっごく悔しいのに――とっても嬉しそうなハルト様を見つめながら、わたくしは思わず笑ってしまったのでした。
「クラルテ……」
頬を撫でられ、あまりの気持ちよさに目をつぶります。すると、すぐに唇に柔らかな感触が重なりました。チュ、チュと小さなリップ音が狭い馬車に響いて、頭が沸騰しそうです。
「ハルト様……」
キスの合間に互いの名前を呼び合います。いいですね、こういうの! ずっとずっと憧れてました。
…………いえ、本当はこんな浮かれムードじゃないんです。すごくしっとりした雰囲気なんですけど、こういうノリじゃないと本当にたえられないんですよ。恥ずかしすぎて! 逃げ出したくなっちゃうんです(馬車なんで逃げ場なんてないんですけどね)!
そのくせ、ハルト様に求められてる感じがして、すっごくすっごく嬉しいですし。
へんです。矛盾だらけです。わかってますけど、自分じゃどうしようもないんですよ。主導権を握られちゃってるんで。握り返すしか逃れる道はないってことなのでしょう。
「さっき……」
「はい?」
「ザマスコッチ子爵となにを話していたんだ?」
「え?」
気づいたら、ハルト様は熱っぽい瞳でわたくしのことを見下ろしていました。おまけに、半分ぐらい押し倒されておりまして、わたくしは今プチパニックです! 心臓、バクバクいってますし! お返事しなきゃと思っているのに、思考がうまくまとまりません。
そもそもハルト様にザマスコッチ子爵のことを話したっけ――と思ったところで、先程ロザリンデさんに対して思わせぶりなセリフを残していったことを思い出します。
本当はもっと違う形でお伝えしたかったんですけど、こればかりは仕方ない。だって、ロザリンデさんを牽制したかったんですもの! 完膚なきまでに叩き潰したかったんですもの! ハルト様はわたくしの旦那様ですもの! ちょっかいなんてかけてほしくないですもの! ……なんだか思い出したらムカムカしてきました。わたくしはハルト様に向き直ります。
「実は、火災保険なるものの勧誘話をされまして」
「うん」
それだけじゃないだろう? と詰め寄られつつ、わたくしはゴクリとつばを飲みます。
なんでしょう? ハルト様の様子がいつもの数倍おかしいです。ワイルドというか、セクシーというか! 彼を愛するわたくしには目に毒な状況です。若干怖いと思いつつ、それを心のどこかで楽しんでいる自分がいるといいましょうか……これは困りましたね。
「クラルテ?」
ハルト様がわたくしの名前を呼びます。
顔近い! 非常にまずい状況です。ドキドキしすぎて心臓が飛び出しちゃいそう!
とかなんとか思っていたら、噛みつくみたいなキスをされて、いよいよ頭が回らなくなってきました。全身が燃えるみたいに熱いですし、色々大丈夫でしょうか?
「クラルテ」
「~~~~ついでに口説かれかけたんですよ! ちゃんとかわしましたけどね!」
ハルト様を押し返しつつ、わたくしはちょっぴり声を張ります。ムッと眉間にシワを寄せたハルト様を抱きしめながら、わたくしは彼を抱きしめました。
「それより、わたくしだってちょっぴり傷ついてるんですよ。ハルト様がロザリンデさんと会話を交わしていたこと」
言いながら、思わずため息が漏れ出ます。
あーーあ、本当は拗ねるつもりなんてなかったのに……ハルト様に触発されてついつい本音を言ってしまいました。
だって、あれは完全なもらい事故ですから。ハルト様はロザリンデさんと話すつもりなんてなかったってわかってますもの。わかっていても、いい気はしないもんなんです!
「すまない」
ハルト様は言いながら、わたくしの頬にキスをします。何度も何度も。あやすみたいに。
「なんだかわたくし、ごまかされてます?」
まるで、やましいことがあるみたいじゃないですか? わたくしはムッと唇を尖らせます。
「違う。……嬉しかったんだ。クラルテが俺のために怒ってくれたこと」
ハルト様はそう言って、穏やかに目を細めて笑います。……表情を見ていたら、それが彼の本心だってすぐにわかって、なんだか泣けてきてしまいました。
「そんなの当たり前ですよ! わたくし、ハルト様のことが大好きですもの! あんなふうに言われたら嫌ですもの! 傷つきますもの! 本当はもっと……もっと、色々言ってやりたかったんです!」
ダメです……こらえようと思っていたのに、涙がこぼれてきてしまいました。女の泣き顔ってのはおそろしくブサイクなものですし、当然ハルト様に見せたくなんてありません。彼にはいつも笑顔のわたくしを見ていてほしいのに……。
「クラルテ」
ハルト様がわたくしに口づけします。よしよしってたくさん頭を撫でながら。合間に愛を囁かれて。涙は引っ込みましたが、完全に酸欠状態です! プハッと息を吸い込んで、わたくしは落ち着きを取り戻します。もうなにがあっても動じないぞと、そう意気込んだときでした。
「今夜は一緒に眠りたい――――って言ったらどうする?」
「ぇえ!?」
想定外! こればっかりは想定外ですよハルト様!
一緒に眠るって! つまり、そういうことですよね? ただの添い寝じゃありませんよね!?
ついこの間まで順序がどうとか色々、諸々おっしゃっていたじゃありませんか! 押しかけた当初、わたくしが冗談(半分本気)で『一緒に寝ましょ!』って言ったら、真っ赤に頬を染めていた純情なハルト様はどこに行っちゃったんですか!?
パニックのあまりなんにも口にできないわたくしを見下ろしつつ、ハルト様は頬に口づけます。
「――嫌ならい」
「嫌じゃないです!」
あっ、しまった。
ずるい。ずるいです。卑怯です。気づいたら負けてました!
だって、嫌だなんて言えるわけがないじゃありませんか! 相手はハルト様ですよ! わたくしの大好きな人ですよ! そもそも嫌じゃありませんし。戸惑ってるだけですし。色々と悔しくはありますけれども……。
「そうか」
ハルト様がそう言ってふにゃりと笑いました。ダメです、可愛い! ものすごく可愛い笑顔です! 完全に心臓を打ち抜たれたわたくしは、ハルト様に抱きつきます。今、身体に力が入りません。骨抜き状態ってやつですね。
(あーーあ、わたくしの完敗です……)
勝ちたかったのにな。
すっごく悔しいのに――とっても嬉しそうなハルト様を見つめながら、わたくしは思わず笑ってしまったのでした。
2
お気に入りに追加
518
あなたにおすすめの小説
亡国公女の初夜が進まない話
C t R
恋愛
嘗て公女だったシロールは、理不尽な王妃の命令で地下牢に閉じ込められていた。
彼女が投獄されている間に王国は帝国に攻め込まれ、滅亡した。
地下から救い出されたシロールに、帝国軍トップの第三皇子が命じた。
「私の忠臣に嫁いでもらう」
シロールとの婚姻は帝国軍の将軍である辺境伯の希望だと言う。
戦後からひと月、隣国へと旅立ったシロールは夫となった辺境伯ラクロと対面した。
堅物ながら誠実なラクロに、少しずつシロールの心は惹かれていく。
そしてめくるめく初夜で二人は、――――?
※シリアスと見せかけたラブコメ
※R回→☆
※R18よりのR15
※全23話
■作品転載、盗作、明らかな設定の類似・盗用、オマージュ、全て禁止致します。
好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?
いわゆる悪役令嬢の、その後
C t R
恋愛
嘗て日本人だった「私」は乙女ゲームの悪役令嬢になっていた。
卒業式当日、婚約者である王太子とヒロインとその仲間達によって断罪され、王都を追放される。
いよいよ日本の「思い出」を駆使して準備してきた、私のその後の人生が始まる――。
※一人称
※短めで駆け足
※ラブの要素やや薄め
■作品転載、盗作、明らかな設定の類似・盗用、オマージュ、全て禁止致します。
【完結】27王女様の護衛は、私の彼だった。
華蓮
恋愛
ラビートは、アリエンスのことが好きで、結婚したら少しでも贅沢できるように出世いいしたかった。
王女の護衛になる事になり、出世できたことを喜んだ。
王女は、ラビートのことを気に入り、休みの日も呼び出すようになり、ラビートは、休みも王女の護衛になり、アリエンスといる時間が少なくなっていった。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
あなたが選んだのは私ではありませんでした 裏切られた私、ひっそり姿を消します
矢野りと
恋愛
旧題:贖罪〜あなたが選んだのは私ではありませんでした〜
言葉にして結婚を約束していたわけではないけれど、そうなると思っていた。
お互いに気持ちは同じだと信じていたから。
それなのに恋人は別れの言葉を私に告げてくる。
『すまない、別れて欲しい。これからは俺がサーシャを守っていこうと思っているんだ…』
サーシャとは、彼の亡くなった同僚騎士の婚約者だった人。
愛している人から捨てられる形となった私は、誰にも告げずに彼らの前から姿を消すことを選んだ。
❲完結❳傷物の私は高貴な公爵子息の婚約者になりました
四つ葉菫
恋愛
彼は私を愛していない。
ただ『責任』から私を婚約者にしただけ――。
しがない貧しい男爵令嬢の『エレン・レヴィンズ』と王都警備騎士団長にして突出した家柄の『フェリシアン・サンストレーム』。
幼い頃出会ったきっかけによって、ずっと淡い恋心をフェリシアンに抱き続けているエレン。
彼は人気者で、地位、家柄、容姿含め何もかも完璧なひと。
でも私は、誇れるものがなにもない人間。大勢いる貴族令嬢の中でも、きっと特に。
この恋は決して叶わない。
そう思っていたのに――。
ある日、王都を取り締まり中のフェリシアンを犯罪者から庇ったことで、背中に大きな傷を負ってしまうエレン。
その出来事によって、ふたりは婚約者となり――。
全てにおいて完璧だが恋には不器用なヒーローと、ずっとその彼を想って一途な恋心を胸に秘めているヒロイン。
――ふたりの道が今、交差し始めた。
✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢
前半ヒロイン目線、後半ヒーロー目線です。
中編から長編に変更します。
世界観は作者オリジナルです。
この世界の貴族の概念、規則、行動は実際の中世・近世の貴族に則っていません。あしからず。
緩めの設定です。細かいところはあまり気にしないでください。
✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢
あなたに忘れられない人がいても――公爵家のご令息と契約結婚する運びとなりました!――
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
※1/1アメリアとシャーロックの長女ルイーズの恋物語「【R18】犬猿の仲の幼馴染は嘘の婚約者」が完結しましたので、ルイーズ誕生のエピソードを追加しています。
※R18版はムーンライトノベルス様にございます。本作品は、同名作品からR18箇所をR15表現に抑え、加筆修正したものになります。R15に※、ムーンライト様にはR18後日談2話あり。
元は令嬢だったが、現在はお針子として働くアメリア。彼女はある日突然、公爵家の三男シャーロックに求婚される。ナイトの称号を持つ元軍人の彼は、社交界で浮名を流す有名な人物だ。
破産寸前だった父は、彼の申し出を二つ返事で受け入れてしまい、アメリアはシャーロックと婚約することに。
だが、シャーロック本人からは、愛があって求婚したわけではないと言われてしまう。とは言え、なんだかんだで優しくて溺愛してくる彼に、だんだんと心惹かれていくアメリア。
初夜以外では手をつけられずに悩んでいたある時、自分とよく似た女性マーガレットとシャーロックが仲睦まじく映る写真を見つけてしまい――?
「私は彼女の代わりなの――? それとも――」
昔失くした恋人を忘れられない青年と、元気と健康が取り柄の元令嬢が、契約結婚を通して愛を育んでいく物語。
※全13話(1話を2〜4分割して投稿)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる