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【2章】オティリエの選択
12.形だけの謝罪とオティリエの選択
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階段を降りると、寝間着にガウンを羽織ったオティリエの父親が二人の前に現れた。
「こ、これは殿下! こんな格好で申し訳ございません。なにぶん先ほど目が覚めたばかりでして」
もみ手をしたあと、父親が勢いよく頭を下げる。そのあまりの勢いにオティリエは思わず目を見開いた。
【使用人たちが血相を変えて起こしに来るからなにごとかと思えば……まさか本当に殿下がお見えになっているとは思わなかった。しかし、情報が錯綜していて状況がまったくわからない。どうしてオティリエは殿下に抱き上げられているんだ?】
父親はヴァーリックとオティリエとを交互に見ながら困惑を隠せずにいる。ヴァーリックはほんのりと微笑んだ。
「構わないよ。昨夜は疲れただろう? こちらこそ、こんな時間に悪かったね」
「いえいえ、とんでもございません!」
ヘコヘコと頭を下げつつ、父親は心のなかでため息をつく。
【昨夜はイアマの機嫌が過去最高に悪かったからな……。馬車のなかで延々と恨み言を聞かされたせいで疲れたんだ。それもこれもすべてオティリエのせいだが】
そこまで考えて父親はオティリエをチラリと見る。
「あ、あの! 殿下、そろそろ降ろしてください。私はもう、大丈夫ですから」
父親の咎めるような視線があまりにもいたたまれない。
「そう?」
ヴァーリックは若干不服そうにしつつも、オティリエを降ろしてくれた。
「ところで、殿下はどうしてオティリエを……?」
「ああ、使用人たちからまだ聞いていない? イアマ嬢がオティリエ嬢にひどい仕打ちをしていてね。怪我をしていたから、こうして僕が連れてきたんだ」
「イアマが!?」
父親は真っ青な顔で目を見開く。
イアマがオティリエに対して冷たく当たるのはいつものことだ。けれど、それを他人に見られた経験はない。ましてやヴァーリックは王族だ。困惑するのは当然だろう。
「それは、あの……本当なんでしょうか? さすがにイアマも妹に怪我を負わせるようなことはしないはずで――なにかの間違いでは?」
「そう思いたい気持ちはわかる。けれど、本当のことだ」
ヴァーリックは小さくため息をつきつつ、オティリエの父親をじっと見つめた。
「僕は最初、応接室に案内されたんだよ? オティリエ嬢とあなたを呼んできます、って使用人たちから言われてね。けれど、待っているあいだに二階からものすごい音と罵声が聞こえてきて、いてもたってもいられなくて様子を見に行ったんだ。そうしたらオティリエ嬢が本棚の側で倒れていてね。……なんなら僕の記憶を読みとってみる? 僕がなにを見て、なにを聞いたか。そうしたら信じられるだろう?」
「そんな! 滅相もございません!」
父親はブルブル震えながら何度も何度も頭を下げる。それから「申し訳ございません」と口にした。
「――ねえ、侯爵は一体誰に、なにに対して謝っているのかな?」
ヴァーリックが尋ねる。父親はキョトンと目を丸くした。
「え? それは……当然殿下の発言を疑うようなことに対して謝罪を申し上げているのですが」
「侯爵……僕はそんなことはどうでもいいんだ。それよりも、君には他に謝るべき相手がいるだろう?」
これまで温厚だったヴァーリックの表情が途端に険しくなる。
【なんだ? 殿下は一体どうしてそんなに怒っていらっしゃるんだ? 一体……】
父親はしばらく考え込んだあと、ヴァーリックの視線の先にオティリエがいることに気づき、それからもう一度頭を下げた。
「オティリエ、その………すまなかった」
「……いえ」
オティリエが返事をする。胸がズンと重苦しくなった。
(お父様はなにもわかっていらっしゃらない)
形だけの謝罪になんの意味があるだろう? 彼はなぜオティリエに対して謝らなければならないのかまったく理解をしていない。ただただヴァーリックが望むから、彼の望みどおりの行動をとっているだけなのだ。
「……この件については後日じっくりと話を聞かせてもらうつもりだ」
「そうですか……。いや、しかし、殿下にはなんの関係もないお話でございますし、イアマには私からしっかりと言い聞かせますので」
「関係あるよ。僕はオティリエ嬢を迎えに来たんだから。使用人からそう聞かなかった?」
ヴァーリックが父親に冷たい視線を投げかける。父親はコクコクうなずきながら、ヴァーリックの顔色をチラチラうかがった。
「ああ、はい。たしかにそのようなことをお聞きしました。しかし、私には殿下がオティリエを迎えに来た理由がとんとわからなくて……」
父親が大きく首をひねる。オティリエ自身もヴァーリックの来訪の目的を未だに知らない。
(ヴァーリック様はどうして私を迎えにいらっしゃったの?)
こたえを求めてオティリエがヴァーリックを見つめると、目の前に手が差し出される。
「オティリエを僕の補佐官として迎え入れたいんだ」
「え?」
聞き返したのはオティリエだった。
それは他人の心の声が聞こえるオティリエにもまったく思いがけない言葉で。彼女はヴァーリックを見つめつつ、驚きに目を瞬いている。
「補佐官、ですか? この私が?」
「そう。この家を出て、僕のために力を貸してほしい。どうだろう?」
ヴァーリックが優しく微笑む。オティリエの胸がドキドキと高鳴った。
(補佐官? 私が殿下の? ……本当に?)
彼の役に立ちたいと願ったのはつい昨日のこと。信じられない気持ちでヴァーリックを見つめれば、彼はコクリと大きくうなずく。たとえ心の声が聞こえずとも、彼にはオティリエの気持ちが――彼についていきたいと思っていることがわかるのだろう。オティリエの頬が真っ赤に染まっていく。ヴァーリックはそっと目を細めた。
「し、しかし殿下! 恥ずかしながらオティリエは凡庸で――大した教育を受けさせておりません。申し訳ございませんが殿下のお役には立たないかと」
「凡庸、ねえ。……なるほど。侯爵は僕の人を見る目を信用できないのかな?」
「い、いえ! その……そういうわけではございませんが、しかし!」
オティリエの父親が慌てふためく。
【まずい……『大した教育は受けさせていない』と言うのは大嘘だ。オティリエにはまったくと言っていいほど教育を受けさせていない。しかし、そんな内情を殿下には知られたくはない。ただでさえ不興を買っている状態なのに、これ以上は……】
彼はあれこれ考えたのち、気まずそうに視線をそらした。
「殿下の人を見る目はたしかです。本当に、素晴らしい慧眼だと思います。しかし、私はオティリエよりもイアマのほうが殿下の即戦力になれると思うのです。あの子にはありとあらゆる教育を受けさせましたから」
「即戦力、ねえ……」
「そうです。しかし、もしも殿下がオティリエを補佐官にと本気でお望みなら、この私のすべてをかけてオティリエを教育をいたしましょう。なれど、そのためにはもうしばらくお時間をいただきたい。どうか、どうかご一考いただけないでしょうか?」
父親が大きく頭を下げる。オティリエは思わずうつむいてしまった。
(たしかに、お父様の言うとおりだわ)
今のままではオティリエはヴァーリックの力にはなれないだろう。彼女自身、元々は『もっと自分の能力を磨いてからヴァーリックに会いに行こう』と思っていたのだ。ヴァーリック自身が会いに――迎えに来てくれたからといって、それをそのまま受け入れていいのだろうか? 今の彼女では、ヴァーリックの力になるどころか、足手まといになるのではないだろうか?
「……そうだね」
ヴァーリックが言う。悔しさのあまり、オティリエはグッと唇を噛んだ。
(わかっていたはずなのに。……私自身、そのほうがいいって思っているはずなのに)
それでもオティリエの心がズンと沈んでしまう。もしも自分に言い返すだけの力があったら――そんなことを思ってしまう。
と同時に、彼女の父親が「では!」と嬉しそうに微笑んだ。
「君の提案について、きちんと考えてみたよ。だけどね、たとえ即戦力にはならなくても、僕はオティリエ嬢をこの家に置いておきたくないんだ」
「え……?」
オティリエと父親が同時につぶやく。ヴァーリックはオティリエに向かって微笑みかけた。
「殿下……」
オティリエが静かに涙を流す。ヴァーリックは彼女の涙をそっと拭った。
「大丈夫。君の能力は僕が磨く。だから安心して。僕と一緒に行こう」
改めて、目の前に差し出された手のひらをオティリエが見つめる。
正直言って、今はまだヴァーリックの役に立てる自信があるわけではない。今はよくとも、いつかヴァーリックに幻滅されるのではないか――そんな不安も存在する。
(それでも)
オティリエはヴァーリックの手を握る。
彼とともに行きたい――側にいたい。役に立ちたいとオティリエは願う。
「決まりだ」
ヴァーリックは満足気に微笑むと、オティリエの肩をポンと叩いた。
「こ、これは殿下! こんな格好で申し訳ございません。なにぶん先ほど目が覚めたばかりでして」
もみ手をしたあと、父親が勢いよく頭を下げる。そのあまりの勢いにオティリエは思わず目を見開いた。
【使用人たちが血相を変えて起こしに来るからなにごとかと思えば……まさか本当に殿下がお見えになっているとは思わなかった。しかし、情報が錯綜していて状況がまったくわからない。どうしてオティリエは殿下に抱き上げられているんだ?】
父親はヴァーリックとオティリエとを交互に見ながら困惑を隠せずにいる。ヴァーリックはほんのりと微笑んだ。
「構わないよ。昨夜は疲れただろう? こちらこそ、こんな時間に悪かったね」
「いえいえ、とんでもございません!」
ヘコヘコと頭を下げつつ、父親は心のなかでため息をつく。
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そこまで考えて父親はオティリエをチラリと見る。
「あ、あの! 殿下、そろそろ降ろしてください。私はもう、大丈夫ですから」
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「そう?」
ヴァーリックは若干不服そうにしつつも、オティリエを降ろしてくれた。
「ところで、殿下はどうしてオティリエを……?」
「ああ、使用人たちからまだ聞いていない? イアマ嬢がオティリエ嬢にひどい仕打ちをしていてね。怪我をしていたから、こうして僕が連れてきたんだ」
「イアマが!?」
父親は真っ青な顔で目を見開く。
イアマがオティリエに対して冷たく当たるのはいつものことだ。けれど、それを他人に見られた経験はない。ましてやヴァーリックは王族だ。困惑するのは当然だろう。
「それは、あの……本当なんでしょうか? さすがにイアマも妹に怪我を負わせるようなことはしないはずで――なにかの間違いでは?」
「そう思いたい気持ちはわかる。けれど、本当のことだ」
ヴァーリックは小さくため息をつきつつ、オティリエの父親をじっと見つめた。
「僕は最初、応接室に案内されたんだよ? オティリエ嬢とあなたを呼んできます、って使用人たちから言われてね。けれど、待っているあいだに二階からものすごい音と罵声が聞こえてきて、いてもたってもいられなくて様子を見に行ったんだ。そうしたらオティリエ嬢が本棚の側で倒れていてね。……なんなら僕の記憶を読みとってみる? 僕がなにを見て、なにを聞いたか。そうしたら信じられるだろう?」
「そんな! 滅相もございません!」
父親はブルブル震えながら何度も何度も頭を下げる。それから「申し訳ございません」と口にした。
「――ねえ、侯爵は一体誰に、なにに対して謝っているのかな?」
ヴァーリックが尋ねる。父親はキョトンと目を丸くした。
「え? それは……当然殿下の発言を疑うようなことに対して謝罪を申し上げているのですが」
「侯爵……僕はそんなことはどうでもいいんだ。それよりも、君には他に謝るべき相手がいるだろう?」
これまで温厚だったヴァーリックの表情が途端に険しくなる。
【なんだ? 殿下は一体どうしてそんなに怒っていらっしゃるんだ? 一体……】
父親はしばらく考え込んだあと、ヴァーリックの視線の先にオティリエがいることに気づき、それからもう一度頭を下げた。
「オティリエ、その………すまなかった」
「……いえ」
オティリエが返事をする。胸がズンと重苦しくなった。
(お父様はなにもわかっていらっしゃらない)
形だけの謝罪になんの意味があるだろう? 彼はなぜオティリエに対して謝らなければならないのかまったく理解をしていない。ただただヴァーリックが望むから、彼の望みどおりの行動をとっているだけなのだ。
「……この件については後日じっくりと話を聞かせてもらうつもりだ」
「そうですか……。いや、しかし、殿下にはなんの関係もないお話でございますし、イアマには私からしっかりと言い聞かせますので」
「関係あるよ。僕はオティリエ嬢を迎えに来たんだから。使用人からそう聞かなかった?」
ヴァーリックが父親に冷たい視線を投げかける。父親はコクコクうなずきながら、ヴァーリックの顔色をチラチラうかがった。
「ああ、はい。たしかにそのようなことをお聞きしました。しかし、私には殿下がオティリエを迎えに来た理由がとんとわからなくて……」
父親が大きく首をひねる。オティリエ自身もヴァーリックの来訪の目的を未だに知らない。
(ヴァーリック様はどうして私を迎えにいらっしゃったの?)
こたえを求めてオティリエがヴァーリックを見つめると、目の前に手が差し出される。
「オティリエを僕の補佐官として迎え入れたいんだ」
「え?」
聞き返したのはオティリエだった。
それは他人の心の声が聞こえるオティリエにもまったく思いがけない言葉で。彼女はヴァーリックを見つめつつ、驚きに目を瞬いている。
「補佐官、ですか? この私が?」
「そう。この家を出て、僕のために力を貸してほしい。どうだろう?」
ヴァーリックが優しく微笑む。オティリエの胸がドキドキと高鳴った。
(補佐官? 私が殿下の? ……本当に?)
彼の役に立ちたいと願ったのはつい昨日のこと。信じられない気持ちでヴァーリックを見つめれば、彼はコクリと大きくうなずく。たとえ心の声が聞こえずとも、彼にはオティリエの気持ちが――彼についていきたいと思っていることがわかるのだろう。オティリエの頬が真っ赤に染まっていく。ヴァーリックはそっと目を細めた。
「し、しかし殿下! 恥ずかしながらオティリエは凡庸で――大した教育を受けさせておりません。申し訳ございませんが殿下のお役には立たないかと」
「凡庸、ねえ。……なるほど。侯爵は僕の人を見る目を信用できないのかな?」
「い、いえ! その……そういうわけではございませんが、しかし!」
オティリエの父親が慌てふためく。
【まずい……『大した教育は受けさせていない』と言うのは大嘘だ。オティリエにはまったくと言っていいほど教育を受けさせていない。しかし、そんな内情を殿下には知られたくはない。ただでさえ不興を買っている状態なのに、これ以上は……】
彼はあれこれ考えたのち、気まずそうに視線をそらした。
「殿下の人を見る目はたしかです。本当に、素晴らしい慧眼だと思います。しかし、私はオティリエよりもイアマのほうが殿下の即戦力になれると思うのです。あの子にはありとあらゆる教育を受けさせましたから」
「即戦力、ねえ……」
「そうです。しかし、もしも殿下がオティリエを補佐官にと本気でお望みなら、この私のすべてをかけてオティリエを教育をいたしましょう。なれど、そのためにはもうしばらくお時間をいただきたい。どうか、どうかご一考いただけないでしょうか?」
父親が大きく頭を下げる。オティリエは思わずうつむいてしまった。
(たしかに、お父様の言うとおりだわ)
今のままではオティリエはヴァーリックの力にはなれないだろう。彼女自身、元々は『もっと自分の能力を磨いてからヴァーリックに会いに行こう』と思っていたのだ。ヴァーリック自身が会いに――迎えに来てくれたからといって、それをそのまま受け入れていいのだろうか? 今の彼女では、ヴァーリックの力になるどころか、足手まといになるのではないだろうか?
「……そうだね」
ヴァーリックが言う。悔しさのあまり、オティリエはグッと唇を噛んだ。
(わかっていたはずなのに。……私自身、そのほうがいいって思っているはずなのに)
それでもオティリエの心がズンと沈んでしまう。もしも自分に言い返すだけの力があったら――そんなことを思ってしまう。
と同時に、彼女の父親が「では!」と嬉しそうに微笑んだ。
「君の提案について、きちんと考えてみたよ。だけどね、たとえ即戦力にはならなくても、僕はオティリエ嬢をこの家に置いておきたくないんだ」
「え……?」
オティリエと父親が同時につぶやく。ヴァーリックはオティリエに向かって微笑みかけた。
「殿下……」
オティリエが静かに涙を流す。ヴァーリックは彼女の涙をそっと拭った。
「大丈夫。君の能力は僕が磨く。だから安心して。僕と一緒に行こう」
改めて、目の前に差し出された手のひらをオティリエが見つめる。
正直言って、今はまだヴァーリックの役に立てる自信があるわけではない。今はよくとも、いつかヴァーリックに幻滅されるのではないか――そんな不安も存在する。
(それでも)
オティリエはヴァーリックの手を握る。
彼とともに行きたい――側にいたい。役に立ちたいとオティリエは願う。
「決まりだ」
ヴァーリックは満足気に微笑むと、オティリエの肩をポンと叩いた。
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