4 / 57
【1章】夜会と、心の声と、王太子
4.道中【それも悪くない……かな】
しおりを挟む
屋敷から約一時間半、王宮への道のりはまるで地獄のようだった。仲睦まじく会話をする父親とイアマの向かいの席で、オティリエはまったく口を開くことができない。
「ねえお父様、どうしてオティリエも同じ馬車なの? 一緒にいてもひとことも口を利かないし雰囲気が悪くなるだけじゃない?」
「ああ、すまなかったねイアマ。この子のためだけに別に馬車を出すのはもったいないと思ったんだ……それに世間体というものもある。今日だけだから我慢してくれるかい?」
心の声で罵るよりも会話をしたほうが効果的にオティリエをいたぶることができると二人は知っているのだろう。これみよがしにオティリエを非難してくる。
(聞こえない、聞こえないんだから)
別に自分が夜会への参加を希望したわけではない。悪いのは彼女を呼び寄せた王妃であり、それにこたえた父親だ。今さら一緒に馬車に乗るのが苦痛だとか目障りだとか言われても、オティリエにはなんの責任もない。
「それにしても、今夜の夜会は楽しみだわ。ヴァーリック様にお会いできるってこともあるけど、妃殿下にお会いするのだってわたくしははじめただもの。お二人ともあまり夜会にはお見えにならないから」
「そうだな。こんな機会は滅多にない。ほとんどの高位貴族が今夜という機会に賭けているといっても過言ではない。それに、上手くすればオティリエの厄介払いができるかもしれんぞ?」
「え……?」
唐突に自分の名前を出されて、オティリエは思わず目を丸くする。
「厄介払いってどういうこと?」
「ほら。王宮にはいろんな仕事があるだろう?」
「もちろんそれは知っているわ。現にお兄様だって文官として働いていらっしゃるし、他にも騎士や侍女、下働きといった仕事があるのでしょう?」
「そのとおり。それだけ仕事が多岐にわたるのだから、もしかしたらオティリエ程度でもできることがあるんじゃないかと……紹介してもらえるかもしれないと思ってね。なにせ身分だけは高いのだから」
二人の会話を聞きながら、オティリエは瞳を輝かせる。
(そうか。もしも仕事が見つかったら、あの家を出れるかもしれないんだ……)
そんなことはこれまで考えてみたこともなかった。そもそも自室から出るのも一日に数回の引きこもり状態で未来に希望などまったく見いだせなかったし、打開策を考えるだけの心の余裕もなかったのだ。
(お姉様がいない場所に行けば、私を蔑む人間は誰もいなくなる……といいのだけど)
父親や使用人たちがどこまで魅了の影響を受けているのかはわからない。――彼らがあんなふうになったのはもう何年も前のことなのだから。
とはいえ、元々オティリエは彼らに嫌われていたというだけで、現在は魅了の影響をまったく受けていない可能性だってある。しかし――
【バカねぇ。叶わない夢なんて見ちゃって】
イアマの声が頭のなかで響く。オティリエはハッと顔を上げた。
「だけどそれってオティリエが誰かに有用だと思われなきゃいけないってことでしょう? 無理よ、そんなの。陰気で受けこたえもろくにできないし、夜会に出たところで立っているのがやっとってところでしょう? 誰もこの子に価値なんて見出さないわ」
残酷な言葉の刃がオティリエに現実を突きつける。
(お姉様の言うとおりだわ)
これまでの人生でオティリエの価値を認めてくれた人間がどれほどいただろう? たとえはじめは褒めてくれても、みなすぐにオティリエの前からいなくなってしまう。今回のマナー講師がいい例だ。
(私を必要としてくれる人なんて誰もいない)
仕事なんて見つかりはしないだろう。
「そうは言ってもイアマ、このままオティリエがずっと屋敷にいるよりもいいと思わないか?」
「そんなの、頃合いを見て金持ちの年寄りと結婚させればいいじゃない。そちらのほうがずっと家のためになると思うわ」
ケラケラと楽しそうに笑いつつ、イアマはオティリエをそっと見る。
(それも悪くない……かな)
多分。ここに居続けるよりはずっとマシだ。……そんなことはとても言えないと思いつつ、オティリエは心のなかでため息をついた。
(それにしても、王妃殿下っていったいどんなかたなんだろう?)
父親の話によると王妃はアインホルン家の血縁者――父のいとこにあたるんだそうだ。アインホルンの血を引いている以上なにかしら能力を持っていそうではあるが、そういった噂は聞こえてこない。……もっとも、オティリエは他人との交流自体を断っているため、情報を手に入れるすべといえばこっそりと拝借した新聞ぐらいなのだが。
そうこうしている間に、馬車は市街地へと入っていった。王都の美しい街並みを眺めつつオティリエは静かに息を呑む。
「ちょっと! そういうの、田舎臭いって思われるからやめてよね」
「え? え……と」
「その『すごい! 綺麗!』みたいな表情よ。おのぼりさんって感じがしてみっともない。見ていてすごくイライラするわ。こんなんでも、あなたは私の妹なのよ? あなたがおかしな行動をすれば、私まで笑われてしまうわ。もっとアインホルン家の一員としての自覚を持ちなさい」
「……すみません、お姉様」
そんなことを言われても、オティリエにとってははじめて見る王都の街、外の世界なのだ。多少気分が高揚してしまうのは仕方がないことだろう。それでも、イアマと一緒にいる以上、そういった態度は微塵も出してはいけないらしい。今夜一日を乗り切れれば……そう思いつつ、オティリエの胃がキリキリと痛んだ。
「さあ、着いたぞ」
王宮に到着すると、オティリエは父親とイアマに続いて馬車を降りた。ずらりと並んだ貴族たちの馬車、大勢の人々に思わず圧倒されそうになる。
(ダメダメ。驚いたり感動したりしたら、またお姉様に怒られてしまうわ)
必死に平静を装いつつ、マナー講師に教わったとおりに立ち居振る舞う。すると周囲の――とりわけ男性からの視線を感じた。
【どこのご令嬢だ? ……儚げで守ってあげたくなるタイプだ】
【小さくて愛らしいな】
【紫色の瞳が神秘的で吸い込まれそうだ】
視線と同じ方角から心の声が聞こえてきて、オティリエはドキッとしてしまう。
「さすが、イアマはどこへ行っても人気者だな。早速男性陣の熱視線を感じるぞ」
「当然ですわ、お父様」
(……って! なにを勘違いしているの!? 私じゃなくてお姉様に決まっているじゃない!)
現にイアマは男性たちに向かって笑顔を振りまき、小さく手を振っている。彼女は魅了の能力など使わずとも男性を虜にすることができる美しい女性だ。オティリエとは根本的に違う。
(バカね。私なんて眼中にないのに)
密かに息をつきつつ、オティリエは父親たちの後ろを歩く。
【なんで手を振られているんだ? 俺が見ていたのはあの令嬢じゃないんだけどなぁ……】
そんな心の声が複数あがる。けれどそれは他の参加者たちの声にかき消されて、オティリエに届くことはなかった。
「ねえお父様、どうしてオティリエも同じ馬車なの? 一緒にいてもひとことも口を利かないし雰囲気が悪くなるだけじゃない?」
「ああ、すまなかったねイアマ。この子のためだけに別に馬車を出すのはもったいないと思ったんだ……それに世間体というものもある。今日だけだから我慢してくれるかい?」
心の声で罵るよりも会話をしたほうが効果的にオティリエをいたぶることができると二人は知っているのだろう。これみよがしにオティリエを非難してくる。
(聞こえない、聞こえないんだから)
別に自分が夜会への参加を希望したわけではない。悪いのは彼女を呼び寄せた王妃であり、それにこたえた父親だ。今さら一緒に馬車に乗るのが苦痛だとか目障りだとか言われても、オティリエにはなんの責任もない。
「それにしても、今夜の夜会は楽しみだわ。ヴァーリック様にお会いできるってこともあるけど、妃殿下にお会いするのだってわたくしははじめただもの。お二人ともあまり夜会にはお見えにならないから」
「そうだな。こんな機会は滅多にない。ほとんどの高位貴族が今夜という機会に賭けているといっても過言ではない。それに、上手くすればオティリエの厄介払いができるかもしれんぞ?」
「え……?」
唐突に自分の名前を出されて、オティリエは思わず目を丸くする。
「厄介払いってどういうこと?」
「ほら。王宮にはいろんな仕事があるだろう?」
「もちろんそれは知っているわ。現にお兄様だって文官として働いていらっしゃるし、他にも騎士や侍女、下働きといった仕事があるのでしょう?」
「そのとおり。それだけ仕事が多岐にわたるのだから、もしかしたらオティリエ程度でもできることがあるんじゃないかと……紹介してもらえるかもしれないと思ってね。なにせ身分だけは高いのだから」
二人の会話を聞きながら、オティリエは瞳を輝かせる。
(そうか。もしも仕事が見つかったら、あの家を出れるかもしれないんだ……)
そんなことはこれまで考えてみたこともなかった。そもそも自室から出るのも一日に数回の引きこもり状態で未来に希望などまったく見いだせなかったし、打開策を考えるだけの心の余裕もなかったのだ。
(お姉様がいない場所に行けば、私を蔑む人間は誰もいなくなる……といいのだけど)
父親や使用人たちがどこまで魅了の影響を受けているのかはわからない。――彼らがあんなふうになったのはもう何年も前のことなのだから。
とはいえ、元々オティリエは彼らに嫌われていたというだけで、現在は魅了の影響をまったく受けていない可能性だってある。しかし――
【バカねぇ。叶わない夢なんて見ちゃって】
イアマの声が頭のなかで響く。オティリエはハッと顔を上げた。
「だけどそれってオティリエが誰かに有用だと思われなきゃいけないってことでしょう? 無理よ、そんなの。陰気で受けこたえもろくにできないし、夜会に出たところで立っているのがやっとってところでしょう? 誰もこの子に価値なんて見出さないわ」
残酷な言葉の刃がオティリエに現実を突きつける。
(お姉様の言うとおりだわ)
これまでの人生でオティリエの価値を認めてくれた人間がどれほどいただろう? たとえはじめは褒めてくれても、みなすぐにオティリエの前からいなくなってしまう。今回のマナー講師がいい例だ。
(私を必要としてくれる人なんて誰もいない)
仕事なんて見つかりはしないだろう。
「そうは言ってもイアマ、このままオティリエがずっと屋敷にいるよりもいいと思わないか?」
「そんなの、頃合いを見て金持ちの年寄りと結婚させればいいじゃない。そちらのほうがずっと家のためになると思うわ」
ケラケラと楽しそうに笑いつつ、イアマはオティリエをそっと見る。
(それも悪くない……かな)
多分。ここに居続けるよりはずっとマシだ。……そんなことはとても言えないと思いつつ、オティリエは心のなかでため息をついた。
(それにしても、王妃殿下っていったいどんなかたなんだろう?)
父親の話によると王妃はアインホルン家の血縁者――父のいとこにあたるんだそうだ。アインホルンの血を引いている以上なにかしら能力を持っていそうではあるが、そういった噂は聞こえてこない。……もっとも、オティリエは他人との交流自体を断っているため、情報を手に入れるすべといえばこっそりと拝借した新聞ぐらいなのだが。
そうこうしている間に、馬車は市街地へと入っていった。王都の美しい街並みを眺めつつオティリエは静かに息を呑む。
「ちょっと! そういうの、田舎臭いって思われるからやめてよね」
「え? え……と」
「その『すごい! 綺麗!』みたいな表情よ。おのぼりさんって感じがしてみっともない。見ていてすごくイライラするわ。こんなんでも、あなたは私の妹なのよ? あなたがおかしな行動をすれば、私まで笑われてしまうわ。もっとアインホルン家の一員としての自覚を持ちなさい」
「……すみません、お姉様」
そんなことを言われても、オティリエにとってははじめて見る王都の街、外の世界なのだ。多少気分が高揚してしまうのは仕方がないことだろう。それでも、イアマと一緒にいる以上、そういった態度は微塵も出してはいけないらしい。今夜一日を乗り切れれば……そう思いつつ、オティリエの胃がキリキリと痛んだ。
「さあ、着いたぞ」
王宮に到着すると、オティリエは父親とイアマに続いて馬車を降りた。ずらりと並んだ貴族たちの馬車、大勢の人々に思わず圧倒されそうになる。
(ダメダメ。驚いたり感動したりしたら、またお姉様に怒られてしまうわ)
必死に平静を装いつつ、マナー講師に教わったとおりに立ち居振る舞う。すると周囲の――とりわけ男性からの視線を感じた。
【どこのご令嬢だ? ……儚げで守ってあげたくなるタイプだ】
【小さくて愛らしいな】
【紫色の瞳が神秘的で吸い込まれそうだ】
視線と同じ方角から心の声が聞こえてきて、オティリエはドキッとしてしまう。
「さすが、イアマはどこへ行っても人気者だな。早速男性陣の熱視線を感じるぞ」
「当然ですわ、お父様」
(……って! なにを勘違いしているの!? 私じゃなくてお姉様に決まっているじゃない!)
現にイアマは男性たちに向かって笑顔を振りまき、小さく手を振っている。彼女は魅了の能力など使わずとも男性を虜にすることができる美しい女性だ。オティリエとは根本的に違う。
(バカね。私なんて眼中にないのに)
密かに息をつきつつ、オティリエは父親たちの後ろを歩く。
【なんで手を振られているんだ? 俺が見ていたのはあの令嬢じゃないんだけどなぁ……】
そんな心の声が複数あがる。けれどそれは他の参加者たちの声にかき消されて、オティリエに届くことはなかった。
36
お気に入りに追加
2,315
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました
成実
恋愛
前世の記憶を思い出し、お菓子が食べたいと自分のために作っていた伯爵令嬢。
天候の関係で国に、収める税を領地民のために肩代わりした伯爵家、そうしたら、弟の学費がなくなりました。
学費を稼ぐためにお菓子の販売始めた私に、私が作ったお菓子が大好き過ぎてお菓子に恋した公爵令息が、作ったのが私とバレては溺愛されました。
駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜
あーもんど
恋愛
『私は恋に生きるから、探さないでそっとしておいてほしい』
という置き手紙を残して、駆け落ちした姉のクラリス。
それにより、主人公のレイチェルは姉の婚約者────“悪辣公爵”と呼ばれるヘレスと結婚することに。
そうして、始まった新婚生活はやはり前途多難で……。
まず、夫が会いに来ない。
次に、使用人が仕事をしてくれない。
なので、レイチェル自ら家事などをしないといけず……とても大変。
でも────自由気ままに一人で過ごせる生活は、案外悪くなく……?
そんな時、夫が現れて使用人達の職務放棄を知る。
すると、まさかの大激怒!?
あっという間に使用人達を懲らしめ、それからはレイチェルとの時間も持つように。
────もっと残忍で冷酷な方かと思ったけど、結構優しいわね。
と夫を見直すようになった頃、姉が帰ってきて……?
善意の押し付けとでも言うべきか、「あんな男とは、離婚しなさい!」と迫ってきた。
────いやいや!こっちは幸せに暮らしているので、放っておいてください!
◆小説家になろう様でも、公開中◆
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
【完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる