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「あっぁ……あぁああっ!!」
散々指で慣らしたそこへ、自分の張り詰めた欲望を突き立てた。
「くっ!」
慣らしたといっても、彼は今日初めて男を受け入れるはず。入口こそ解けていたそこは、奥が狭く俺を思い切り締め付けた。
「伊沢くんっ、もう少し緩められる…?」
「ンあぁ! あっ、でき……できなっ、あっ、怖っ」
初めての感覚に伊沢くんの躰は余計に萎縮する。震える手は俺ではなく、シーツに縋り付いた。それが酷くカンに触った。
「そんな物に縋らないでいよ。大丈夫、怖くないから。気持ち良いことばっかりだからね? ほら、ゆっくり呼吸して。真似できる?」
うつ伏せていた彼の躰をひっくり返し、自分の躰に腕をまわさせる。何とか目を合わせてお手本を見せれば、まるで子供みたいに瞳を涙で濡らし、俺の真似をしようと必死で口を開閉した。だけど、それでも、彼の視線はどこか反抗的だ。
「もう……何この子ぉ……めちゃくちゃ可愛いんだけどぉ」
はふはふと、一生懸命ゆっくり呼吸をしようとする彼の唇を、無情にも俺のもので塞いでやった。
「んぅ!?」
そのまま、思い切り腰を突き上げる。
「んうぅうーっ!!」
何度も、何度も、何度も容赦なく突き上げる。その合間、逃げ惑う舌を追い回し、噛み付いて、吸い上げて。散々味わった唇を解放してやれば、あとは内側から与えられる快楽にヨダレを垂らして喘ぐだけになった。
恐怖なんて、感じる間を与えるのも惜しい。
「あっ! あっ! あぁあっ!」
「きもちぃ?」
「あうっ、う! あっ! ひっ!」
答えを返してこないのに、その代わりとでも言うかのように彼の足が俺の腰に回った。
「なにそれ……たまんないなぁ……」
胸の中に広がり続ける熱が、俺の心を激しく燃やす。
知らなかった。誰かとこうして繋がることが、こんなにも気持ちが良いことだったなんて。
プレイはプレイ、セックスはセックスと割り切ってきた自分が、気づけば相手の意志を無視して強いスイッチをかけ、プレイを逸脱しセックスに励んでいる。いや、これはもうセックスですらない、強姦だ。
組み敷いた相手は意識混濁状態。スイッチが切れればきっと彼は俺を糾弾するだろう。それを見越して、彼の弱みとなるよう既にこの様子をビデオに録画している。
どれだけ俺を責め立てたとしても、訴えると罵ったとしても、俺はこの子を手放す気はさらさらない。
「ははっ、誰だよこれ」
何をしてでも手に入れようと動く自分に笑いが漏れた。こんなにも必死な自分を、見たことがなかったから。
「ごめんね、伊沢くん。俺も予想外なんだよ」
「ひあっ!!」
一際強く突き上げれば、腰骨が当たって鈍い痛みが広がった。それさえ快楽に変換されてしまう躰になった彼のそこから何も出なくなるまで、延々。俺はその内側を楽しんだ。
意識を失って横たわる彼の首に、とっておきの首輪を嵌めてやった。俺と、この首輪を作ったアイツにしか開けることのできない鍵がついた、漆黒の首輪。
今まで誰の首にも嵌める事のなかったそれは、ついに使わず終わると思っていた。
プレイは楽しい。たくさんの子達が進んで俺の相手をしてくれた。同じドムでさえ、性を変えてまでプレイをしたいと言ってくれるのだ。相手に困ることは一度もなかった。だがそれでも、首輪を嵌めてまで自分の手元に囲いたいと思う相手は現れなかった。今日、この時までは。
「よく似合う。きっとこれは、君のために作られた首輪だったんだね」
真っ赤に染まった禍々しい大輪の花が咲くその上で、どこにも逃がすまいと縛り付ける、執着と独占欲の黒。これを見た彼は、一体どんな反応を見せてくれるだろうか。泣いて、喚いて、俺を罵るだろうか。それとも怒り、暴れ、俺を殴るだろうか。
「きっと君は後者だね」
暴れ、俺を殴る彼の姿を想像すると笑いが込み上げた。だって、そんな君も驚くほど可愛いから。
「俺は、どんな君でも愛せる自信があるよ」
いいや、寧ろ君しか愛せないんだろう。俺はきっと、君を愛するためだけに生まれてきたんだ。
どんなに激しいプレイをしても、躰を重ね合っても、心の奥底まで熱が届くことはなかったのに。いつもどこか凍てついていたのに。
心が揺さぶられたのは、燃え尽きるような熱を持ったのは、今日が初めてだった。
ただ目があっただけなのに、凍てついていたそこはマグマのようにドロドロに溶けて流れ出し、俺を、彼を押し流し呑み込んでいく。
まさか自分の中に、こんなにも熱い感情が眠っていたなんて。
「ごめんね、逃がしてあげられなくて」
自由にしてあげられないかもしれない。
一生苦しめることになるかもしれない。
幸せにしてあげられないかもしれない。
それでも。
それでも俺は、君を離してやれない。死んでも、離してやらない。
逃がしたくない。誰にも触らせたくない。独占したい。パートナーとしても、ただの一人の、男としても。
「ずっと俺の側にいて、伊沢くん……」
反応のない唇にそっとキスを落とせば、首輪の鍵が音を立てて揺れた。
生まれたばかりの感情に振り回され、苦しむことになるこの俺を、嘲笑うかのように。
END
散々指で慣らしたそこへ、自分の張り詰めた欲望を突き立てた。
「くっ!」
慣らしたといっても、彼は今日初めて男を受け入れるはず。入口こそ解けていたそこは、奥が狭く俺を思い切り締め付けた。
「伊沢くんっ、もう少し緩められる…?」
「ンあぁ! あっ、でき……できなっ、あっ、怖っ」
初めての感覚に伊沢くんの躰は余計に萎縮する。震える手は俺ではなく、シーツに縋り付いた。それが酷くカンに触った。
「そんな物に縋らないでいよ。大丈夫、怖くないから。気持ち良いことばっかりだからね? ほら、ゆっくり呼吸して。真似できる?」
うつ伏せていた彼の躰をひっくり返し、自分の躰に腕をまわさせる。何とか目を合わせてお手本を見せれば、まるで子供みたいに瞳を涙で濡らし、俺の真似をしようと必死で口を開閉した。だけど、それでも、彼の視線はどこか反抗的だ。
「もう……何この子ぉ……めちゃくちゃ可愛いんだけどぉ」
はふはふと、一生懸命ゆっくり呼吸をしようとする彼の唇を、無情にも俺のもので塞いでやった。
「んぅ!?」
そのまま、思い切り腰を突き上げる。
「んうぅうーっ!!」
何度も、何度も、何度も容赦なく突き上げる。その合間、逃げ惑う舌を追い回し、噛み付いて、吸い上げて。散々味わった唇を解放してやれば、あとは内側から与えられる快楽にヨダレを垂らして喘ぐだけになった。
恐怖なんて、感じる間を与えるのも惜しい。
「あっ! あっ! あぁあっ!」
「きもちぃ?」
「あうっ、う! あっ! ひっ!」
答えを返してこないのに、その代わりとでも言うかのように彼の足が俺の腰に回った。
「なにそれ……たまんないなぁ……」
胸の中に広がり続ける熱が、俺の心を激しく燃やす。
知らなかった。誰かとこうして繋がることが、こんなにも気持ちが良いことだったなんて。
プレイはプレイ、セックスはセックスと割り切ってきた自分が、気づけば相手の意志を無視して強いスイッチをかけ、プレイを逸脱しセックスに励んでいる。いや、これはもうセックスですらない、強姦だ。
組み敷いた相手は意識混濁状態。スイッチが切れればきっと彼は俺を糾弾するだろう。それを見越して、彼の弱みとなるよう既にこの様子をビデオに録画している。
どれだけ俺を責め立てたとしても、訴えると罵ったとしても、俺はこの子を手放す気はさらさらない。
「ははっ、誰だよこれ」
何をしてでも手に入れようと動く自分に笑いが漏れた。こんなにも必死な自分を、見たことがなかったから。
「ごめんね、伊沢くん。俺も予想外なんだよ」
「ひあっ!!」
一際強く突き上げれば、腰骨が当たって鈍い痛みが広がった。それさえ快楽に変換されてしまう躰になった彼のそこから何も出なくなるまで、延々。俺はその内側を楽しんだ。
意識を失って横たわる彼の首に、とっておきの首輪を嵌めてやった。俺と、この首輪を作ったアイツにしか開けることのできない鍵がついた、漆黒の首輪。
今まで誰の首にも嵌める事のなかったそれは、ついに使わず終わると思っていた。
プレイは楽しい。たくさんの子達が進んで俺の相手をしてくれた。同じドムでさえ、性を変えてまでプレイをしたいと言ってくれるのだ。相手に困ることは一度もなかった。だがそれでも、首輪を嵌めてまで自分の手元に囲いたいと思う相手は現れなかった。今日、この時までは。
「よく似合う。きっとこれは、君のために作られた首輪だったんだね」
真っ赤に染まった禍々しい大輪の花が咲くその上で、どこにも逃がすまいと縛り付ける、執着と独占欲の黒。これを見た彼は、一体どんな反応を見せてくれるだろうか。泣いて、喚いて、俺を罵るだろうか。それとも怒り、暴れ、俺を殴るだろうか。
「きっと君は後者だね」
暴れ、俺を殴る彼の姿を想像すると笑いが込み上げた。だって、そんな君も驚くほど可愛いから。
「俺は、どんな君でも愛せる自信があるよ」
いいや、寧ろ君しか愛せないんだろう。俺はきっと、君を愛するためだけに生まれてきたんだ。
どんなに激しいプレイをしても、躰を重ね合っても、心の奥底まで熱が届くことはなかったのに。いつもどこか凍てついていたのに。
心が揺さぶられたのは、燃え尽きるような熱を持ったのは、今日が初めてだった。
ただ目があっただけなのに、凍てついていたそこはマグマのようにドロドロに溶けて流れ出し、俺を、彼を押し流し呑み込んでいく。
まさか自分の中に、こんなにも熱い感情が眠っていたなんて。
「ごめんね、逃がしてあげられなくて」
自由にしてあげられないかもしれない。
一生苦しめることになるかもしれない。
幸せにしてあげられないかもしれない。
それでも。
それでも俺は、君を離してやれない。死んでも、離してやらない。
逃がしたくない。誰にも触らせたくない。独占したい。パートナーとしても、ただの一人の、男としても。
「ずっと俺の側にいて、伊沢くん……」
反応のない唇にそっとキスを落とせば、首輪の鍵が音を立てて揺れた。
生まれたばかりの感情に振り回され、苦しむことになるこの俺を、嘲笑うかのように。
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