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4章
気付かない想い
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「さて、これからどうするか……」
外は21時を少し回ったところ。
いつもならまだクラブにいる時間だからか、まだ家に帰る気分にはならず、俺はクラブの出口で悩んでいた。
(今日は女もいないから、ホテルに行くわけにもいかないしな)
「……から、行かないって!」
「はぁ?ここまで来たんだからお前だってその気だったんじゃねえのかよ」
(なんだ?カップルの喧嘩か?)
目を向けると、ラブホテルの前で人目も憚らず押し問答している2人組の姿があった。
一方はフードを被っていて顔は見えないが、腕を掴まれている様子からかなり嫌がっているようだ。対する相手の男は後ろ姿からもがっちりとした体格のように見える。
かなり人目を引いているのだが、場所が場所だけに誰も口を挟むことができないようだ。
(無理やり連れ込むなんて良くないな)
そう思いながら、俺はガードレールを跨ごうとした。
「離せって!」
「いいから入れって!ここじゃ人目が付くだろうが!」
ぐいと腕を引かれ、掴まれた方がたたらを踏む。
その瞬間、フードが頭からぱさりと落ちた。
現れたのは、夜闇の中でも輝くプラチナブロンドと見覚えのあるきりりと吊り上がった黄金の瞳。
「星川さん……?」
(なんで、こんな所に)
思わず跨いだ格好のまま体が固まる。警告を鳴らすように頭の隅でガンガンと音が鳴り響く。
「逃げんなよ」
「滝沢……」
そう言うと、滝沢は観念した様子の星川さんの腕を掴んだままホテルの中に入っていく。
その様子を、俺はただ見つめることしかできなかった。
「は、はは……」
道行く人たちが、急に笑い出した俺を不審そうな顔で見る。
(そう、だよな。ヨリを戻したなら、ここに来るのも不思議じゃない)
(俺の連絡だって恋人との時間を邪魔されたくなかったんだろう……)
「そんなもんだよ、な」
あの人とは、何でもないはずなのに。
どうして、酷く裏切られたような気持ちに駆られるのだろうか。
(こんなにイライラするのはなんでだ)
腹の奥のドロドロとしたものが、怒りで溢れそうになる。
「……俺には、関係ない」
俺は逃げるように背を向けると再び歩き出した。
今はただこの場を離れたい、そう思った。
(関係ない、関係ないんだ)
そう自分に反芻させながら、俺は夜の喧騒の中をあてもなく歩く。
あわよくば、このよく分からない気持ちが全て夜に溶けていけばいいのにと思いながら。
外は21時を少し回ったところ。
いつもならまだクラブにいる時間だからか、まだ家に帰る気分にはならず、俺はクラブの出口で悩んでいた。
(今日は女もいないから、ホテルに行くわけにもいかないしな)
「……から、行かないって!」
「はぁ?ここまで来たんだからお前だってその気だったんじゃねえのかよ」
(なんだ?カップルの喧嘩か?)
目を向けると、ラブホテルの前で人目も憚らず押し問答している2人組の姿があった。
一方はフードを被っていて顔は見えないが、腕を掴まれている様子からかなり嫌がっているようだ。対する相手の男は後ろ姿からもがっちりとした体格のように見える。
かなり人目を引いているのだが、場所が場所だけに誰も口を挟むことができないようだ。
(無理やり連れ込むなんて良くないな)
そう思いながら、俺はガードレールを跨ごうとした。
「離せって!」
「いいから入れって!ここじゃ人目が付くだろうが!」
ぐいと腕を引かれ、掴まれた方がたたらを踏む。
その瞬間、フードが頭からぱさりと落ちた。
現れたのは、夜闇の中でも輝くプラチナブロンドと見覚えのあるきりりと吊り上がった黄金の瞳。
「星川さん……?」
(なんで、こんな所に)
思わず跨いだ格好のまま体が固まる。警告を鳴らすように頭の隅でガンガンと音が鳴り響く。
「逃げんなよ」
「滝沢……」
そう言うと、滝沢は観念した様子の星川さんの腕を掴んだままホテルの中に入っていく。
その様子を、俺はただ見つめることしかできなかった。
「は、はは……」
道行く人たちが、急に笑い出した俺を不審そうな顔で見る。
(そう、だよな。ヨリを戻したなら、ここに来るのも不思議じゃない)
(俺の連絡だって恋人との時間を邪魔されたくなかったんだろう……)
「そんなもんだよ、な」
あの人とは、何でもないはずなのに。
どうして、酷く裏切られたような気持ちに駆られるのだろうか。
(こんなにイライラするのはなんでだ)
腹の奥のドロドロとしたものが、怒りで溢れそうになる。
「……俺には、関係ない」
俺は逃げるように背を向けると再び歩き出した。
今はただこの場を離れたい、そう思った。
(関係ない、関係ないんだ)
そう自分に反芻させながら、俺は夜の喧騒の中をあてもなく歩く。
あわよくば、このよく分からない気持ちが全て夜に溶けていけばいいのにと思いながら。
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