ノンケの俺が年上ツンデレ調香師と一夜を共にしました！？

３章

打ち上げと一夜の過ち2

柳瀬の指先が顎に触れた時、俺は何も言わなかった。
自分の渇いた唇を柳瀬の舌が濡らしてきた時ですら、俺は抗わずにじっとしていた。
「星川さん……」
「ぅく……んっ、ふっ」
そのままキスを受け入れると、柳瀬は俺の後頭部を手でそっと掴んだ。それでもまだ何も言わずにいると、柳瀬は一度唇を離して噛みつくようなキスをしてきた。
（気持ちいい……）
柳瀬の少し厚めの舌が上顎をザラリと舐める。
ぞくりと尾てい骨のあたりが重くなるのを感じながら、段々と激しくなるキスにくらくらする。
「柳瀬ぇ・・・うぅ」
激しくなるキスに耐えられず、小さく頭を振って逃れようとしたが、後頭部を押さえる手に阻まれる。柳瀬は何度も角度を変えながら、縦横無尽に俺の咥内を犯す。
舌を絡ませたり吸われたりしながら、俺は頭の中が段々と白く霞んでいくのが分かった。
「ふっ……んっ、あっ」
（年下の癖に、いいようにされるなんて）
僅かに残ったプライドがこの状況をどうにかして優位に持っていけないかと画策する。だがそれも、柳瀬の瞳の奥に見える自分への欲情を見た途端消えてしまう。
（こんなキスは知らない……っ）
「んはぁ、あっ」
「……気持ちいですか？」
柳瀬が唇を離すと、どちらのものとも分からない唾液が二人の唇を繋いでいるのが見え、顔に熱が集まるのが分かる。
そんな俺の様子などお構いなしに離した唇を滑らせると、柳瀬はブラウスからわずかに覗く首筋に舌を這わせた。
「や、やめ……」
「大丈夫です。痕は残さないようにしますから」
時折、頬や顎に触れる髪にぞくぞくしていると、柳瀬が耳の形をなぞるように舐めあげた。その瞬間、快感に腰が揺れるのを感じる。
「そこ、は……やぁ」
「星川さん、耳が弱いんですか？」
ダメだと言っているのに、柳瀬は耳朶を軽く噛むと耳奥まで舌をねじり入れた。
じゅくりと舌が這いずり回る音がダイレクトに響き、自分の声が甘くなるのが分かる。
「ちがう……から、んっ」
「違うんですか？ならこっちは？」
柳瀬は咥内を好き放題にしながら、シャツの上から乳首を抓んだ。
反射的に腰が跳ねたことに気を良くしたのか、執拗に指の腹でこねながら柳瀬は口の端を上げた。
「ああ、乳首がいいんですね」
「んっ、や、そんなとこ触んな……」
「でも星川さんの乳首、触ってほしそうですよ」
そう言うと、柳瀬はブラウスのボタンを脱がし始めた。
（そこは……！）
「シャツ、やだ……っ」
「脱ぐの嫌なんですか？我儘ですね」
「や、んぁっ」

「……本当、たまんねぇ」
腰に当たる柳瀬の質量がぐんと増す。それを敏感に感じ取り、自身の下っ腹あたりが反応してマグマのように熱くなっていく。
「柳瀬、ちょっと待て、って……」
「待てません」
「ひっ、あぁ……それ、だめっ」
いつの間にか俺のスラックスとボクサーは下されていた。節の太い骨ばった指で性器に触れられると、自然に声が溢れる。
「まだ触ってないのに勃起してる。やっぱり映画見て勃ったんですね」
「それは違っ、んっ……ひぁっ」
（お前のせいでさらに勃起したなんて言えるか……！）
キスをしながらゆるりと上下に擦られると、突き抜けるような快感に腰が揺れる。
「もぉ、無理……いきたい、いくから……」
「なら一緒にいきましょう」
「一緒……？んあっ」
そう言うと、ズボンの前を寛げた柳瀬が、そのがっしりした身体に見合う大きさの自身を取り出すと、俺の性器と一緒に握った。
「あ、あぁ……」
「はっ……」
映画の音声と一緒にぬちぬちと水音が部屋に響く。羞恥心とお互いの熱さが相まって、段々と何も考えられなくなる。
同じ男だからか、的確に気持ちいい所を擦ってくる。ゆるりと上下に動かしたかと思えば、先端を激しく抜かれ、あっという間に頂点まで押し上げられる。
「ひぁっ……、もうやだぁ……っ」
（もう、出る……っ）
「俺も、限界……っ」
そう言うと、柳瀬はぬるつく性器を握りこれまで以上に激しく抜き始めた。乱暴な手つきに声が漏れるのを抑えきれない。
「あ、あ、もうどうにかなる……すご、い、いきたい……手、離して……ぅう」
「……くっ」
先端に柳瀬の指がぐっと押し入れられた瞬間、俺は下半身を痙攣させながらすべてを吐き出した。ほぼ同時に柳瀬も射精し、互いの腹を汚した。
「……はっ、あぁ……」
（気持ちよかった……）
射精後の倦怠感に身体が緩み、ソファに沈んでいく感覚に襲われる。
「もう、いいだろ……どいてくれ」
「……」
「柳瀬？」
吐き出したことで少し頭が冷静になったのか、今更ながら押し倒されたような格好に恥ずかしくなり柳瀬を押し返そうとする。だが、体格差のある柳瀬はピクリとも動かない。
「おい、どうし……」
「まだ、足りない」
「……え？」
ぼそりと呟くと、柳瀬は俺のスラックスとボクサーを一気にずり下した。途端、下半身にひやりとした空気を感じる。
「お、おい……っ」
「へぇ、綺麗な脚。男のくせに毛も薄いし、女みたいですね」
そういいながら、柳瀬は俺の足をするりと撫でる。途端、背筋に去ったはずの快感がぞくぞくと走る。
「これならいけそうです」
「まて柳瀬、お前なにするつもり……なっ⁉」
俺の言葉など意に介さないのか、無防備になった俺の足をがしりと掴むと強引に脚を割った。
（こいつ、完全に酔ってやがる……！）
「ああ、さっきは見えてなかったですけど、こっちの毛も薄いんですね」
ざらりとした下の毛の感触を楽しむかのように撫でる。時折、性器に当たる指にピクリと反応する俺を見ながら、柳瀬は薄く笑う。
「ふっ、星川さんまた勃ってきましたね」
「それは……お前が変な所、あっ、触るから……っ」
「変な所？例えば……ここですか？」
「あっ……やだぁ」
柳瀬の手が揶揄うように後孔に触れた。突然のことに何とか逃れようと腰を振るも、柳瀬が腰を掴み逃げられない。
「前に聞いたんです。男同士でヤるならここだって。だから出来ますよ」
「それは、知ってるけど……！おまえと、ヤるなんて……」
「ただの性欲発散ですよ。星川さん、恋人いないって八代さんに聞いたしお互い溜まってるでしょ？」
「お、俺は……で、でも、あっ……」
「駄々こねるわりに腰揺れてるじゃないですか」
「これは、別にそう言う事じゃ……んっ」
「それにここ、ひくひくしてる」
自身の指を舐めると、柳瀬はそっと後孔に指を入れた。異物感に全身の毛が逆立つのを感じる。
「あ、厭ぁ……」
「厭？でもここは嬉しそうに俺の指を離してくれないみたいですけど」
柳瀬は薄く笑いながら、ゆっくりと動かす。時折何かを探すように、指の腹で着くようにされると、どうしようもなくそこが疼いてくるのを感じる。
「あ、それっ……だめだって……」
「だめじゃないですよね。だって、ほら」
柳瀬の視線の先を見ると、自身が完全に立ち上がっているのが見えた。
（こんなにすぐ復活するなんてっ……）
「な、んで……んあっ⁉」
瞬間、目の前に星が舞った。
「ここが星川さんのいい所、ですね」
「い……やっ……ひぅ」
ばらばらと中で指を動かされ、腰が浮いていくのが分かる。何とか快感を逃そうとソファのひじ掛けに手をつき、身をねじって耐えようとしたが、柳瀬の指はそれを許さない。
「も、や……っあ」
「星川さんのここ、もう２本も咥えちゃってますよ。こんなに簡単に飲み込むなんて、もしかしてけっこう遊んでます？」
「ちが……んぁっ」
「へえ……まあいいですけど」
必死に首を振り否定する。今まで浅い場所で抜き差しされていた指がずるりと勢いよく引き抜かれた。戦慄く俺の顎を掴むと、柳瀬は掠れた声で迫った。
「いいですか？」
「なに……っ」
「全部俺のせいにしていいです。だから、頷いてください」
そう言うと柳瀬は俺の目をじっと見つめた。体の奥底にある熱は、もはや一人では消せないだろう。それを分かっていて柳瀬は言っているのだ。
（ずるい……）
いつも飄々として言い争うときぐらいしか顔に出さないこの男が、今、自分の痴態をみて欲情している。少し力を出せば柳瀬の力なら無理やり抱くこともできるはずなのに。
（だが、こいつはそんなことはしない。あいつとは違うんだ……）
瞼の裏に蘇る影をかき消しながら、俺は観念した。

「……いいから、やれよ。柳瀬」
「星川さん……」
ゆっくりと頷くと、性急に俺のズボンを足から引き抜いた。――直後、先ほどよりも比べ物にならないぐらい熱くて逞しいものが、俺の後孔にあてがわれる。
「いきます……」
「あ、あ……うぅぅ」
ゆっくりと侵入してくる柳瀬に息を詰める。久しぶりの感触に思わず柳瀬の背にしがみつく。
「……っう、痛っ……」
「すみません、でも止められない」
そう言うと柳瀬は両手で俺の腰骨を掴むと、奥まで一気に挿れきった。
「あぅ……っ！」
目の前で星がチカチカと瞬く。体が真っ二つに裂けたのではないかと思うほど圧倒的な存在は、燃えるように熱い。
「動いて……いいですか？」
「ああ……っんっ」
最奥まで届いていた柳瀬がゆっくりと動き出す。内壁を柳瀬の物で擦られ、肌が粟立つ。奥を突かれるたびに、背筋をはいあがっていくぞくぞくとした快感に少し萎えていた性器がゆっくりと顔を上げる。
「気持ちいですか？」
「あっ……あぅ……んっ」
「こっちを見れば分かりますね」
「や、あぁ……」
柳瀬は腰を擦りつけるようにして奥を突きながら、片手で性器を扱く。前に与えられる快感と後ろの快感が同時に来て、俺は本能的に後ろに下がった。
「ダメですよ、逃げないで」
「ひっ……ぅあ……」
腰を掴まれ逃げ出せないようにすると、罰だというように奥を突いてくる。
「あぁ……待って、ちょっと休ませ、て……」
「星川さんも男なら分かるでしょ。こうなったら止められません」
「あ……そん、な」
柳瀬の性器が気持ちいい所を擦るたびに、甘い痺れが脳天まで駆け上がる。挿れた時はただただ圧迫感に潰されそうになっていたのに、慣れた身体は心地よさだけを感じとりたまらなくさせる。
「やな、せ……あ、うぁ……」
「はっ……星川さんっ」
柳瀬が触れるところすべてが敏感になったようだ。柳瀬が動くたびに、快感の波がうねりながら押し寄せてくるのだ。
「あ、ぁああ……もうっ……」
快感から少しでも逃れるように柳瀬の背中に爪を立てる。痛いはずだろうに、柳瀬は意に介さない様子で腰を深く打ち付けてくる。
「うぅ……、くっ……あぁ」
「星川さんの中凄い吸い付いてきてる。女とは全然違う……」
柳瀬は雄の目で俺を見つめながら、唇を重ねた。
「ふぁ……んっ、おんな、と、比べん、な……あぁあっ！」
酔いと快感に目頭が熱くなる。柳瀬に触られている前からは絶えず密が溢れ出し、どくどくと何かがこみ上げてくる。
「もう……いくっ……あぁー……」
「俺も……っ」
「ひっ―――っああああっ！」
「……っ！」
ひと際深く突き上げられた瞬間、頭は真っ白になった。それと同時に柳瀬のものが中に注がれたのが分かる。絶頂感に酔いしれていると、柳瀬のもので下腹部がずしりと重くなる。
（ゴム……してなかったな）
「なか……でて、る……んっ」
「す、みません……ハァ、我慢できなくて……」
「いいから……早く抜いて」
（これ以上はダメだ……）
中に出された液にぞくりと熱情を拾いながら、俺は柳瀬に言った。

だが。
「えっ……なん、でっ」
「もう一回、しましょう」
胎の中で質量を増す柳瀬に戦慄く。そして完全に勃ち上がったもの再び動かしながらニヤリと笑った。
「ま、待て……これ以上はもう……っあ」
「ダメです」
（そ、そんな……⁉）
先ほどよりも水音が響く室内で組み敷かれながら、俺は年下に恥も外聞もなく泣き乱された。思考も理性もすべて吹き飛び、快感だけに支配される。
「星川さん……っ！」
「んっ……あっ、ダメ……うぅ」
（こんなの覚えたら、もう、元に戻れない）
頬に落ちた汗を舌で掬わることすら快感になる。
「はぁ……星川、さんっ」
（なんだか、こいつが可愛く見えてきた……かも）

２度目の射精に腹が膨れるのを感じながら、俺は快楽の海に意識を手放したのだった。