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ナツヤスミが始まる
しおりを挟む真島晴臣。小学四年。
去年の九月から不登校気味。
理由なんて無い。そう、理由なんて、無い。
お父さんが「夏休みになったら、晴臣の大好きなカブトムシとかクワガタが沢山いる自然の中のお家に泊まりに行ってみよう」なんて言っていた。
インターネットで調べたんだって。
明日から夏休み。
今日は終業式だった。
僕は行って無いけれど。
学校に行くよりも、家で遊んでいた方がずっとずっと楽しいし、お父さんが言っていた「自然の中のお家」なんて凄くワクワクする。
カブトムシもクワガタも好き。
木登りとか川遊びとか、もっと好き。
大好きな事が沢山ありそうな夏休みのお泊まりに、僕の胸は久しぶりに高鳴っていた。
「晴臣、明日から楽しみだな」
「うん!」
「父さんも子供の頃は木登りとか川遊びしたなぁ。川の水は冷たくて、今年の夏は猛暑だから最高だろうな」
「川とかあるかなー?」
そう言うとお父さんはスマホを見ながら
「んー……お!あるみたいだぞ。"囲里村"って言うんだけどな、森も川もあるらしい。あんまり人もいないみたいだから夜も花火とか気にせず出来るぞ、晴臣花火も好きだろ?」
「花火!すきだよ!」
「いや~、こんな所に宿泊施設があるとは思わなかったよ。囲里村か……聞いた事ないけど良さそうな所だな!見てみろ、こんな感じだって」
お父さんが僕にスマホを見せてきたので、覗き込むと"カコイザトムラ"のホームページがあった。
うん、良さそうな所。自然の写真沢山あるし、泊まる家は少しオンボロそうだけど夏休みずっと家にいるよりはマシ。凄く楽しみ!
「お父さんも暫く夏休みだなー!晴臣、夏休みはそこで沢山父さんと遊ぼうな!」
「うん!お昼は虫取りして、川遊びして、釣りしたり、夜は花火で!………
その時気づけばよかった。
ホームページの中の写真全部に、よく見ると違和感がある事を。
それは心がザワザワと鳴るような違和感。
それは、恐怖。
気づけば良かった。
後に僕は、そう思う事になる。
囲里村のナツヤスミが、明日から始まる。
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