Earth Rhagades

Leiren Storathijs

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プロローグ

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「ここは……」

 西暦三五〇〇年、アンドロイドと人間が供ゾンする世界にて突如と発生した、地球全体を巻き込む程の異常現象【大亀裂】によって、ほぼ全ての文明と人類が滅んだ。

 ただ一つアンドロイドだけを残して。

 ただそんな大災害でも奇跡的に危機を逃れた人間がいくらかいた。彼の名はザック。
 彼は大災害を生き残った人類の内の一人である。

 ザックは一瞬にして家族も友人も、思い出も何もかもが消えた、更地となった地球の大地で一人立ち尽くしていた。
 今の心に絶望や怒りはなく、ただただ虚無だけが残っていた。滅んだ地球に疑念を思い浮かべる暇もなく、唐突に消えたからだ。

 しかしそんな虚無も時間が立つに連れて、雪崩のように無数の記憶がザックの頭の中へ流れ込む。
 これは最早絶望という言葉では片付けられない。目の前に広がる光景と次々に思い出す記憶を脳で処理仕切れず、ザックはただ叫ぶことしか出来なかった。

「ぁ……ぁ……あ! うあああああああッッ!!!」

 この叫びにどのような意味があるのか、どのような感情があるのかさえ分からない。ザックはただ頭の中がぐちゃぐちゃになり、声を上げ続ける。

◇◇◇◇◇◇

 声が枯れるまで叫んだ。頭の中のものを全て吐き出したかのようにザックは生きる意味を失い、地面に崩れると光の消えた瞳で空を仰ぐ。

「ここにはもう何も残っていない……なら俺には生きる意味なんて無いだろう」

「不審因子を発見。危険度:低。分析結果、人間と判断。人間は必要性の低い生物の為、排除します」

 すると、無機質で男声とも女声とも言えない機械的な声が響く。
 鉄と鉄の部品で巧妙に作られた人型を成した機械。頭部の大きな一眼レンズは、赤く光りながらザックを見下ろす。
 そして機械は静かにザックへと言い渡すと、黒い銃口をザックの頭に密着させる。

「殺すなら……はやく殺してくれ……」

 ザックにはもう生きる希望が無い。機械に銃口を突きつけられても、微笑み、死を受け入れる姿勢に入る。
 もし何か残っていれば、もし誰か生きていたなら少しは希望があったかもしれない。

 しかし世界は滅んだのだ。一つの奇跡があったとしても、それはあまりにも虚し過ぎる。奇跡は奇跡でも、意味のない奇跡はどうにもならないのだ。

 だが、そんなザックの望みは簡単に切り裂かれた。

 殺される。そう思った瞬間、ザックの目の前の機械の頭が地面に転がった。
 機械の首を一撃で切断したその正体とは。

「アンドロイド……?」

 全身銀色の隙間のない一つのパーツで組み込まれた人型の機械が佇んでいた。

「まだ人間の生き残りがいたんだな……」
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