一から百まで

渡辺 佐倉

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体を支えられて水を飲む。

それで少し体の熱がひいた気もするし、思ったよりも喉が渇いていたことにも気が付いた。

それから、初めての時と一緒で温かく濡らしたタオルで体を丁寧に拭かれる。
あまりに丁寧過ぎて「あー、適当でいいけど。」と言って百目鬼に変な顔をされる。

浴衣は体液とローションでドロドロでもう一度着ることは無理そうだった。

着替えは明日着る分一枚しか持ってきていない。
百目鬼に渡された百目鬼のTシャツを着てパンツだけは替えで持ってきたものを履く。

予想はしていたけれど、百目鬼のサイズの方がデカくてTシャツが緩い。

まあ仕方がないかと思う。

部屋に備え付けられた置時計を見ると夜中の二時過ぎだった。
一体何時間行為に没頭していたんだよって気が付く。


体が重たい。だるい。
もう寝てしまいたい。

だけどもう少し、ゆるゆるとした気分のまま百目鬼を見ていたい。



水を飲んだ所為だろうか。それとも落ち着いたせいだろうか。
尿意を覚えて立ち上がろうとするが、足腰がきしむ。

「どうした?」

自分の浴衣は無事だったのか、着なおした百目鬼に声を掛けられる。

「トイレ。」

恥ずかしいとはその時はあまり思わなかった。
勝手に甘える前提で手を伸ばす。

まだ、事後の甘やかな雰囲気が残っていたのかもしれない。

百目鬼にトイレに連れて行ってもらって、外に待たせる。
備え付けの鏡に自分の顔が映って、目元が腫れていることに気が付く。

前回よりも、首元の鬱血痕が多い事にも。

首筋に触れて、それから、百目鬼の首にも跡を残してやればよかったと思う。

フラフラとしながら布団に戻って、手付かずの方の布団に横になる。
百目鬼は窓際の広縁《ひろえん》の椅子に座っている。

やっぱりまだ、足りなかったのだろうか。

「どうした?」

なんて声をかけていいのか分からず百目鬼を見ると、すぐに目があってしまい逆に声を掛けられる。
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