一から百まで

渡辺 佐倉

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言われてないといっても、言葉にされたこととそう大して変わらないだろうと思ってた。
バツンというゴムをが当たる音がして、百目鬼がコンドームをしたことが分かる。

「今日は俺が満足するまで、絶対にはなしてやらないからな。」

いつもより低い声で百目鬼が言う。
その音が腹の下の方で渦巻く様な気がする。

「まあ、体力はある方だから。」

好きにすればいい。
という言葉は嬌声で上書きされる。

百目鬼の切先が中を少しずつ拡げる。

ぞわぞわとして感触が背中から頭に抜ける。

「あっ、あ゛、ああ、あっ……。」

ミチミチと中が埋まってくごとに声がもれる。
はあ、はあ、という百目鬼の息遣いが聞こえる。

太い、とか固いとかよりも、熱い。
自分の中だって相当にジンジンとして熱いと思うのに百目鬼のちんこがあっつい。

クーラーを入れてるのに、じっとりと汗をかいている。
この前よりさらに奥に百目鬼の起立が埋め込まれる。

多分まっすぐに触れられる腸の一番奥まで百目鬼が俺の体を拓く。

圧倒的な感覚に背をのけぞる様にして、感覚を逃がそうとするのに、体を押さえつけられる。
尻に当っているじょりじょりとした感触はローションに濡れた百目鬼の陰毛だろう。
それで、百目鬼のものが根元まで入ったことを知る。

結合部に触れてみたくて、押さえつけられて不格好なまま後ろに手を伸ばす。

ギリギリまで広がった自分の孔とコンドームの境目を撫でて、興奮する。

「全部、入ったな。」

ふふっと笑った後言うと、百目鬼がギクリと固まった気がした。

ただそれは一瞬の事で、覆いかぶさった百目鬼は、俺の肩甲骨をじゅっと吸った。
チクリとした痛みと、その奥にあるほのかな官能。

何度もじゅうと音を立てて首や背中に吸い付く百目鬼に、その都度ビクリと震える自分の体。
吸われるたび、中を締め付けて、一々内壁で百目鬼の形を再確認してしまう。
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