一から百まで

渡辺 佐倉

文字の大きさ
上 下
47 / 101

47

しおりを挟む
翌朝、腰は大分よかったけれどランニングには行かなかった。

月曜日からサボるのもな。と学校へ行く支度をする。

噛み跡は、ガーゼを貼った。
打ち身の類は日常茶飯事のため、母も妹もあまり気にしない。

父にはばれてしまうかもしれないけれど、今日は運よく顔を合せなかった。

百目鬼は朝から部活だろう。

学校についてクラスメイトからも適当に聞かれるが、本棚が崩れたでそれ以上聞かれない。

別に昨日までとは何も変わらない。
ただ、でかでかと百目鬼の名前と県大会優勝の文字が書かれた


昼ごはんも今までと別に何も変わらなかった。

「部活でなんか言われなかったか?」

昨日の剣幕はさすがに何か言われたか? と思ったけれど百目鬼は「いや。」と答えただけだった。
学校でこれ以上突っ込んで聞く様な話でもない。

学校は夏休みへの気配で浮足だっていて俺や百目鬼の事なんて皆忘れている。

「そういや、夏休みはやっぱり柔道部の練習なのか?」

県大会の後には全国大会があるのだろう。
どの位部活やるんだ? と聞いただけだった。

「終業式の翌日から一週間、県の合同合宿があって泊まり込みだな。」

当たり前の様に返されてぽかんとする。

「毎年やってるんだ。
今年は割と近いから移動は楽だ。」

で、8月の中旬全国大会があるらしい。

「へえ。そりゃあいいな。」

武道に打ち込める一週間なんて、最高だ。

「じゃあ、楽しんできて。」

あのさ。
百目鬼が言い出しにくそうに、もごもごとする。

なんだ? と思ってゆっくりと聞いた内容が、スマホの番号を教えて欲しいで思わず少し笑ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

処理中です...