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逆行後
二度目23
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ノヴァ様は僕を抱き上げると、ノヴァ様の寝室に連れて行ってくれた。
彼の部屋は彼の匂いでいっぱいな気がした。
いつも、ずっとずっとただひたすら辛いだけだった発情期はノヴァ様がいるだけでずいぶんと違う。
体の中からじんわりとあふれ出る感覚はあるけれどそれでも一人で泣き叫びながら過ごしていたことを考えるとあまりにも違う。
ノヴァ様と目が合った瞬間お互いの匂いが濃くなったのが分かる。
ノヴァ様の瞳が情動に揺れているのが嬉しい。
あの美しい赤い瞳が今は僕だけを見ているのが嬉しい。
ノヴァ様の唇が僕の唇と重なる。
触れたところからジワリと熱くなる。
とろりとその部分からとけてしまう様な錯覚さえ起きる。
これが発情期なのかと思う。
「噛んでくれますか?」
「ああ、勿論。でも、先にもっと触れさせてください」
ノヴァ様はそう言うと、ちゅっちゅっと音をたてて僕の唇を何度も吸った。
それだけでじわじわと気持ちよさが広がってしまう。
「あっ……」
唇が一旦離れたときに、物欲しそうな声が出てしまう。
ノヴァ様はふっと嬉しそうに笑うと今度は深く口づけをしてきた。
息継ぎの仕方も分からないまま翻弄される。
僕の舌を舐めあげた後、ノヴァ様は僕の歯列を撫で上あごを舐めあげる。
そんな場所でも気持ちよくなってしまうことに少し驚く。
ノヴァ様の唾液が甘い。
注ぎ込むように飲み込まされると、鼓動が一層強くなった気がした。
「可愛い、ですね」
唇を離した後に不自然に言葉が切れた理由を僕はもう知っている。
僕に対してずっと丁寧な言葉遣いを心がけてくれていた彼のやさしさも知っている。
だけど――
「ぶっきらぼうな話かたでいいですよ」
彼の時々出るそういうしゃべり方は彼の素なのだろう。
あの話かたが僕は好きだった。
「でも、あなたは貴族様で」
「多分もう違います。
それに、僕たち番なんだから」
僕がそう言うとノヴァ様は深紅の瞳を見開いて、それからとろけるような笑顔を浮かべた。
それからベッドに押し倒されて性急にシャツを脱がされて、首筋に唇を落とされた。
「もう絶対に一生離してやらない」
ノヴァ様は僕の脇腹を撫でながらそう言った。
彼の部屋は彼の匂いでいっぱいな気がした。
いつも、ずっとずっとただひたすら辛いだけだった発情期はノヴァ様がいるだけでずいぶんと違う。
体の中からじんわりとあふれ出る感覚はあるけれどそれでも一人で泣き叫びながら過ごしていたことを考えるとあまりにも違う。
ノヴァ様と目が合った瞬間お互いの匂いが濃くなったのが分かる。
ノヴァ様の瞳が情動に揺れているのが嬉しい。
あの美しい赤い瞳が今は僕だけを見ているのが嬉しい。
ノヴァ様の唇が僕の唇と重なる。
触れたところからジワリと熱くなる。
とろりとその部分からとけてしまう様な錯覚さえ起きる。
これが発情期なのかと思う。
「噛んでくれますか?」
「ああ、勿論。でも、先にもっと触れさせてください」
ノヴァ様はそう言うと、ちゅっちゅっと音をたてて僕の唇を何度も吸った。
それだけでじわじわと気持ちよさが広がってしまう。
「あっ……」
唇が一旦離れたときに、物欲しそうな声が出てしまう。
ノヴァ様はふっと嬉しそうに笑うと今度は深く口づけをしてきた。
息継ぎの仕方も分からないまま翻弄される。
僕の舌を舐めあげた後、ノヴァ様は僕の歯列を撫で上あごを舐めあげる。
そんな場所でも気持ちよくなってしまうことに少し驚く。
ノヴァ様の唾液が甘い。
注ぎ込むように飲み込まされると、鼓動が一層強くなった気がした。
「可愛い、ですね」
唇を離した後に不自然に言葉が切れた理由を僕はもう知っている。
僕に対してずっと丁寧な言葉遣いを心がけてくれていた彼のやさしさも知っている。
だけど――
「ぶっきらぼうな話かたでいいですよ」
彼の時々出るそういうしゃべり方は彼の素なのだろう。
あの話かたが僕は好きだった。
「でも、あなたは貴族様で」
「多分もう違います。
それに、僕たち番なんだから」
僕がそう言うとノヴァ様は深紅の瞳を見開いて、それからとろけるような笑顔を浮かべた。
それからベッドに押し倒されて性急にシャツを脱がされて、首筋に唇を落とされた。
「もう絶対に一生離してやらない」
ノヴァ様は僕の脇腹を撫でながらそう言った。
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