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逆行後
二度目7
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「勇者は神の加護をもらった人間だという話は知っていますか?」
「はい」
神に選ばれた人間が勇者でその勇者には証が現れるという。
神殿の神官であれば、その証が真のものなのか真贋が判定できる。
「じゃあ、具体的に神の加護とは何かは知っていますか?」
「それは話すことが出来ないと……」
僕が死ぬ前に聞きました。と言いたかったけれどあの時のことを表すいい言葉が出てこなかった。
僕が死ぬちょっと前は、さすがに言いにくい言葉だ。
だけどあの時ノヴァ様がそう言っていたのは覚えている。
「加護っていうのは基本少しだけ魔法が使いやすくなったり、並大抵の呪いにかからなくなったり、毒が効きにくくなったり、そういうものです」
ノヴァ様はそう言った。
隠す様なものではないと僕は思った。それに彼の話が本当ならノヴァ様は神様の力ではなく自分の力で魔王を倒したという事だ。
「それ以外に一つだけ神から祝福をもらっています」
ノヴァ様は笑顔を浮かべた。
その祝福で魔王を倒したと言いたいのだろうか。
「元々は使うつもりの無かった能力ですし、悪用もされたくなかった」
だから、誰にも言うつもりは無かった。そうノヴァ様は言った。
「俺が神から賜った祝福は――」
ノヴァ様の声が囁く様なものに変わった。
その声にゾクリとしびれるような錯覚がした。
「“やり直し”、人生を途中まで巻き戻す能力です」
頭の中でその言葉が何度も何度も、わんわんと鳴り響いている気がした。
目の前が真っ暗になった気がする。
今この時は、ノヴァ様がやり直したための巻き戻った世界だという事だろうか。
では何故僕が巻き戻り前の記憶を持っているのか。
分からないことだらけだ。
それにノヴァ様が何故時を戻したのかも分からない。
やり直しの能力は時間の巻き戻り時期を選べるのだろうか。
僕は思わず唇を二、三度開く。
けれどのどからは意味のある言葉は出てこない。
何から聞けばいいのかが分からない。
「僕のしたことは、意味のない、無駄なことだった……という事ですか?」
僕が最初に聞いたのはそんな言葉だった。
この力があればきっとノヴァ様はもっと上手くやっていたのではないだろうか。
「はい」
神に選ばれた人間が勇者でその勇者には証が現れるという。
神殿の神官であれば、その証が真のものなのか真贋が判定できる。
「じゃあ、具体的に神の加護とは何かは知っていますか?」
「それは話すことが出来ないと……」
僕が死ぬ前に聞きました。と言いたかったけれどあの時のことを表すいい言葉が出てこなかった。
僕が死ぬちょっと前は、さすがに言いにくい言葉だ。
だけどあの時ノヴァ様がそう言っていたのは覚えている。
「加護っていうのは基本少しだけ魔法が使いやすくなったり、並大抵の呪いにかからなくなったり、毒が効きにくくなったり、そういうものです」
ノヴァ様はそう言った。
隠す様なものではないと僕は思った。それに彼の話が本当ならノヴァ様は神様の力ではなく自分の力で魔王を倒したという事だ。
「それ以外に一つだけ神から祝福をもらっています」
ノヴァ様は笑顔を浮かべた。
その祝福で魔王を倒したと言いたいのだろうか。
「元々は使うつもりの無かった能力ですし、悪用もされたくなかった」
だから、誰にも言うつもりは無かった。そうノヴァ様は言った。
「俺が神から賜った祝福は――」
ノヴァ様の声が囁く様なものに変わった。
その声にゾクリとしびれるような錯覚がした。
「“やり直し”、人生を途中まで巻き戻す能力です」
頭の中でその言葉が何度も何度も、わんわんと鳴り響いている気がした。
目の前が真っ暗になった気がする。
今この時は、ノヴァ様がやり直したための巻き戻った世界だという事だろうか。
では何故僕が巻き戻り前の記憶を持っているのか。
分からないことだらけだ。
それにノヴァ様が何故時を戻したのかも分からない。
やり直しの能力は時間の巻き戻り時期を選べるのだろうか。
僕は思わず唇を二、三度開く。
けれどのどからは意味のある言葉は出てこない。
何から聞けばいいのかが分からない。
「僕のしたことは、意味のない、無駄なことだった……という事ですか?」
僕が最初に聞いたのはそんな言葉だった。
この力があればきっとノヴァ様はもっと上手くやっていたのではないだろうか。
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