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逆行後

二度目2

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どうすれば彼に会えるだろうかと考える。

タイムリミットは僕がオメガと儀式で判明するまでの短い期間だ。
貴族の令息としての役割もある。

闇雲に出かけたいと言ったところで願いはかなわないだろう。

それから、本当にここが10年ほど前の世界なのか、それとも僕が見ている夢なのかを確認したかった。

実際に外にでてノヴァ様を探せる機会は少ないだろう。
僕がオメガと判明したときに、紅蓮の勇者としてのノヴァ様の話を聞いたことは無かった。

それであれば、もしかしたらノヴァ様はまだ勇者ではないのかもしれない。


僕はとりあえず、この国の地理を調べてノヴァ様の出身地を絞り込むこと、それから勇者というものがどういうものなのかを調べようと思った。
ノヴァ様は自分の勇者としての力については話せないと言っていた。
けれど、そう言われてもあの時の僕は一般的な勇者が何なのかもよくわかっていなかった。

特別な力を授かった英雄なのだという事以外何も知らない。

もっとちゃんと彼のことを知りたいと思った。
あの時ちゃんと彼の話を聞いていたら、勝手にアルファと勘違いしていたことに気が付けたかもしれないのだ。

彼がアルファだと僕も勝手に思い込んでしまっていた。
だからあの時ああなってしまったことは僕にも罪がある。そういう風に思った。

この国の地理についての本は家庭教師の先生に言うと、勉強熱心な子供と思われたのだろう。すぐに準備してくれた。

勇者についての本は、英雄にあこがれる時期なのだろうと兄にからかわれつつも我が家の書庫にあることが分かった。

二冊の本とにらめっこしながら一つ一つの可能性を洗い出して、そしてつぶしていく。

勇者というのは神の啓示を受けた者で、その啓示に合わせて特別な祝福を受けた者らしい。
祝福以外にも高い能力を発現し、そのアルファは国に幸福をもたらすそうだ。

基本的に勇者はものすごく魔法の才のある英雄で、それ以外にも特別な力を持っている。

彼は神の祝福が何だったのかを僕に秘密にしたのだとわかった。
そしてあの時の言い方だと、誰にも明かしていないのだろうという事も分かる。

その力であの場を切り抜けてくれているといいと思う。

この本には勇者は基本的にアルファであると書かれている。
彼が本当にベータだったのか、と疑問に思うことは無かった。きっとこの本が間違っているのだろうと思う。

あの場で誰も彼が本当にベータなのかを確認しなかったのだから、そういう事なのだろう。
アルファはアルファ同士で分かる何かがあると父が自慢げに話していたことも覚えている。

ノヴァ様はこの先、神から啓示を受ける。
そしてその時瞳の色があの美しい色に変わる。

彼はきっとその話を教会に届け出たのだろう。

教会の無い村で農民として生きていたら、いくら「自分は神からの啓示を受けた」と言ってもきっと無視されてしまうだろう。

彼の力に気が付ける教会関係者が近くにいるか、外との関係が持てる村。
外との関係が太い村は寒村とは言わない気もする。

あの日、紅茶を飲みながら話した雑談を思い出しながら、この国の地図から一つ一つ村を確認していく。
彼の言葉に訛りはあったか。
彼の好んでいたものは何だったか。

気が付けばノヴァ様のことばかり考えていた。
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