32 / 37
断る
しおりを挟む
※二人とも高校時代
「小西先輩って告白断る時どうしてるんすか?」
いきなりではないのかもしれないが友人があの人に聞いた言葉にギクリと体が固まる。
今までだってこれからだってこの人が誰かに好かれないなんて事あり得ないのだ。
「えー、告白をそもそもされないから分かんないよ。」
へらり、と笑っていうあの人に友人はそんな事ないでしょうと突っ込んでいる。
きっとはぐらかされたと判断したのだろう。告白されないなんてあり得ない人だから。
だけど、俺はそれが事実だと分かってしまう。
多分、告白出来る様な距離に人を近づけないのだろう。
それはもう、用意周到に。けれど、相手にそうだとは気づかせないように。
そうだ。そうだよな。
小西大地という男は人との距離感を掴むのが極端に上手い。
だから気が付いた時には距離をおかれた後だって事位ちゃんと理解していた筈だった。
けれど、いつの間にか自分がいつも、いつか捨てられるまで一緒にいたいときちんと振られる前提だったことに愕然とした。
自分には最後まできちんと向き合ってくれるに違いないとその位信頼していまっていた。
ズキリと疼く胸の奥を無視して「済みません。」と謝る。
それは隣にいたあの人にしか伝わらない程の小さな声で。
「うーん。恋人いるからあんまり告白とかもされたくないしね。」
笑いながら言ったあと、そっと手を取られて指から手の甲にかけて撫でられる。
どこまでお見通しなのかは知らないし聞きたくもない。
けれど、そっと耳元で「俊介以外、あり得ないから。」と言われて思わずうつむく。
「イチャイチャは帰ってからにしてくださいね。」
「えー、別になにもしてないよ。」
ハイこの話はお終いとばかりにあの人が笑う。
顔の整った人間の笑顔の威力はすごいらしく一瞬皆で息を飲んだ。
「それより、君たち期末試験は大丈夫なのー?」
「は!?それは先輩が手伝ってくれるってことですか?」
勉強会か、いつも親衛隊の子たちに教えてるんだけど来る?とあの人が聞いて友人たちが頭を下げているのをぼんやりと見ながら、別れるその日がなるべく先になることを祈った。
「小西先輩って告白断る時どうしてるんすか?」
いきなりではないのかもしれないが友人があの人に聞いた言葉にギクリと体が固まる。
今までだってこれからだってこの人が誰かに好かれないなんて事あり得ないのだ。
「えー、告白をそもそもされないから分かんないよ。」
へらり、と笑っていうあの人に友人はそんな事ないでしょうと突っ込んでいる。
きっとはぐらかされたと判断したのだろう。告白されないなんてあり得ない人だから。
だけど、俺はそれが事実だと分かってしまう。
多分、告白出来る様な距離に人を近づけないのだろう。
それはもう、用意周到に。けれど、相手にそうだとは気づかせないように。
そうだ。そうだよな。
小西大地という男は人との距離感を掴むのが極端に上手い。
だから気が付いた時には距離をおかれた後だって事位ちゃんと理解していた筈だった。
けれど、いつの間にか自分がいつも、いつか捨てられるまで一緒にいたいときちんと振られる前提だったことに愕然とした。
自分には最後まできちんと向き合ってくれるに違いないとその位信頼していまっていた。
ズキリと疼く胸の奥を無視して「済みません。」と謝る。
それは隣にいたあの人にしか伝わらない程の小さな声で。
「うーん。恋人いるからあんまり告白とかもされたくないしね。」
笑いながら言ったあと、そっと手を取られて指から手の甲にかけて撫でられる。
どこまでお見通しなのかは知らないし聞きたくもない。
けれど、そっと耳元で「俊介以外、あり得ないから。」と言われて思わずうつむく。
「イチャイチャは帰ってからにしてくださいね。」
「えー、別になにもしてないよ。」
ハイこの話はお終いとばかりにあの人が笑う。
顔の整った人間の笑顔の威力はすごいらしく一瞬皆で息を飲んだ。
「それより、君たち期末試験は大丈夫なのー?」
「は!?それは先輩が手伝ってくれるってことですか?」
勉強会か、いつも親衛隊の子たちに教えてるんだけど来る?とあの人が聞いて友人たちが頭を下げているのをぼんやりと見ながら、別れるその日がなるべく先になることを祈った。
21
お気に入りに追加
195
あなたにおすすめの小説

美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。

絶対にお嫁さんにするから覚悟してろよ!!!
toki
BL
「ていうかちゃんと寝てなさい」
「すいません……」
ゆるふわ距離感バグ幼馴染の読み切りBLです♪
一応、有馬くんが攻めのつもりで書きましたが、お好きなように解釈していただいて大丈夫です。
作中の表現ではわかりづらいですが、有馬くんはけっこう見目が良いです。でもガチで桜田くんしか眼中にないので自分が目立っている自覚はまったくありません。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/110931919)
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる