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君へと繋がる2
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何日かたった。
バイトもかたが付いたし、目的の物も出来上がった。
笑っちゃう位歪な出来だけれどサイズだけは予定通りだ。
教えてくれたジュエリーデザイナーの女性はこれなら10年使っても大丈夫と太鼓判を押してくれたけれど、やっぱり普通に購入したほうがよかったんじゃないかと思う。
どちらにしろ次に会う時に持って行こうと決めた。
そんな時、スマートフォンにメッセージ通知が入る。
クラスメイトからで、用事がある様な無い様なもごもごと打ちこまれたメッセージ。
何か用事?と返すと、5分ほど間があってから俺の勘違いかもしれないけどと前置きしてから送られてきた内容はあの人が女性と二人で仲よさげにしているというものだった。
元々、友人が多い人だ。
だから、単なる友達だろうと思いたかった。
けれど、直後クラスメイトから送られてきた写真には親密そうに触れ合うあの人と知らない女性の姿が写っていた。
まあ、確認してみる。
簡潔な返事をした後、あの人に電話をかける。
2コール、3コール。あの人は出ない。
いっそ何も見なかった事にして忘れよう。そう思ったときだった。
「もしもし?」
あの人が電話に出てしまった。
「済みません。今どこにいますか?」
「ん?何か用事?」
「あの、女の人と……。」
なんて聞いたらいいのか分からなかった。
浮気してますか?なんて本当に疑いがあったとしても聞けない。
「……ああ、そういう事か。」
ややあってからあの人はそれだけ呟く様にしていった。
「俊介は俺がどうしていてもわざわざ言わないと思ってた。
そんなに気になるなら今すぐ俺のところに来てみたら?」
その言葉に息を飲む。
「いや、悪い。言いすぎた。」
俺が何も返さないからだろうか。あの人はすぐに謝ってくる。
「本当にそこに行ってもいいんですか?」
自分でも自分の思考状況がまともじゃないと気が付いていた。
あの人にはあの人の生活があるのに全てを無視して小西先輩の元に行きたくて仕方が無い。
「俊介の好きにして大丈夫だよ。」
あの人はそれだけ言うと電話を切ってしまった。
見下ろすと、自分の指から垂れさがる糸が見えた。
一時期は憎んでさえいたそれ。
瘤になっている部分は二人の証の様で愛おしいとさえ思っているが、糸は糸を見て触れることができる自分をあまり肯定的にとらえることは未だにできていない。
だから、糸は逃げるために使ったことはあっても、あの人の元へ行くために使ったことは無い。
約束もしないで勝手に押しかけて拒絶されることも怖かった。
だから自分からこの糸をたどった事は、最初に繋がる先があの人だと気が付いた一度きりだ。
一瞬迷って、唾を飲み込んだ。
その音がやけに大きく響いて心臓の音もバクバクと聞こえてくる。
糸がたぐれる分、繋がっている先へ向かうのはあの人がそうしてくれた時より労力はかからない。
自分の事を考えるより、今はあの人の事を考えていたかった。
一歩、一歩糸の先へ向かって足を進める。
やがて走り始める。
あの人が今都心にいることはクラスメイトからの連絡でも分かっていた。
一番近い時間に出発する電車に飛び乗る。
早くあの人のところへ行きたくてたまらなかった。
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