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続々編3
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車に放り込まれたところまでは辛うじて覚えている。
けれど気が付いたら家に帰ってきていて都竹さんに「お手数をおかけしました。」という。
けれど、その後に言おうとした会社に戻ってくださいという言葉は口づけられてしまって紡げなかった。
「体調に問題は?」
淡々と聞かれる。
「多分単なる発情期ですよ。」
熱に浮かされた様になりながら答える。
「そうか。」
それだけ言うと、都竹さんはネクタイを外した。
思わずその姿に見惚れてしまう。
と、都竹さんと目が合う。
その瞬間、一段と都竹さんの匂いが濃くなった気がした。
クラリとする。酒は飲んだことがないが酔っている状況というのは多分こんな感じなのだろう。
再び抱きあげられて寝室へと向かう都竹さんに、最後の理性で訊ねる。
「会社はいいんですか?」
「問題ない。」
そう答えられてしまうと何も言えなかった。
◆
ベッドに寝かされたかと思うと体をうつ伏せにされてストールを取られてしまう。
それから。番の証の上から噛みつかれる。
「あの番はお前の友人か?」
低い声で言われて一瞬誰の事を言われているのか分からなかった。
けれどそれがあのオメガとそれから一緒にいたアルファの事だとわかり、モヤモヤする。
「……都竹さんはもっとオメガらしいオメガの方がよかったですか?」
自分以外の人間の事を考えないで欲しかった。特にオメガの事など忘れて欲しい。
それが本能から来るものなことはもう知っている。
都竹さんは吐息だけで笑った気配がして、もう一度項に噛みつかれた。
「こうやって噛みつかれて喜んでいるお前がオメガらしくない訳が無いだろう。」
そう言うと、そのままズボンを脱がしにかかる。
まるで、獣の様だと思う。
だけど自分も嫌って位興奮していて、その獣の様な行為をただ期待して待っているのだ。
「もう、やらぁっ……。」
ろれつが回らなくなって酷い嬌声ばかりあげる様になってどのくらい経つだろう。
都竹さんはその間ほぼ無言で俺を責め立てる。
体も心も快楽にドロリと溶けて力は入らず、なすがままだ。
部屋中に都竹さんの匂いが充満している。
それだけで下肢がズクリと疼く。
はしたない自分の事を都竹さんが覚えているのか覚えていないのかは知らない。
気にしだしてしまったところでどうにもならない。
「早く、ねえ、もうっ……。」
都竹さんが欲しくて欲しくてたまらなくて思わずねだると、口付けをされる。
口付けというよりも口内をむさぼられるというのに近い行為に上手く息が出来ない。
都竹さんの舌が自分の舌の根元を撫でる。そのまま唾液を飲まされて舌を絡ませる。
頭の中が自分の番の事でいっぱいになる。
碌に息継ぎも出来ないのに、都竹さんはそのまま一気に俺の事を貫いた。
衝撃に思わずのけぞる。
それも許さないという様に肩を押さえつけられて根元までくわえ込まされる。
その行為全てが快楽をよんでいて、多幸感に思わず吐精してしまう。
少しだけ残っている思考はいったばかりでインターバルが必要だと分かっているのに、体も心ももっともっとと都竹さんを求めている。
どちらにせよまともに言葉を紡げないのだ。「あっ……。」とか「やぁッ……。」とか喘ぎ声しか出ないのだ。
都竹さんにはいいともいやとも伝わりっこない。
都竹さんは有無を言わせず抽送を開始して俺は中からグチャグチャになるしか無かった。
◆
ぐったりとベッドに横たわる横で都竹さんは今日はいつもより穏やかな表情で俺の髪の毛を撫でている。
「……ご迷惑をおかけして済みませんでした。」
婚約者で一応番なのだけれど、それでも申し訳ない気持ちで一杯だった。
「連絡をしろと言ったのは俺だ。」
そっけなく言うのに都竹さんの表情は優し気だ。
その表情をみて胸の奥の方が締め付けられるように甘く疼く。
「遺伝上の運命って周りから分かるものなんですか?」
「運命と番になった場合はフェロモンで分かる。」
だけど俺からはしていないということだろう。だから安藤は都竹さんが来て驚いたのだ。
「俺からフェロモンが出ていないのは置いといて、都竹さんからは匂いがしてるってことですよね。俺も分かればいいのに。」
それは多分俺の為の匂いなのに俺には分からない。
悔しくないと言えば嘘になるだろう。
「そんなものを嗅いでしまったら、まともな生活は無理だったろうから、諦めろ。」
あと、何か勘違いしている様だが匂いはしている。都竹さんはそう言ってもう一度俺の頭を撫でた。
微量すぎてこうやって近くに居ないと分からない位だけれど番の証のフェロモンが出ているらしい。
自分では分からないけれど、都竹さんがそう言ってくれるならそれでいい。
「貴方にとっての運命が俺ならそれでいいです。」
半ばまどろみながら都竹さんに言うと、先程噛んだ項にそっと口付けを落とされた。
了
けれど気が付いたら家に帰ってきていて都竹さんに「お手数をおかけしました。」という。
けれど、その後に言おうとした会社に戻ってくださいという言葉は口づけられてしまって紡げなかった。
「体調に問題は?」
淡々と聞かれる。
「多分単なる発情期ですよ。」
熱に浮かされた様になりながら答える。
「そうか。」
それだけ言うと、都竹さんはネクタイを外した。
思わずその姿に見惚れてしまう。
と、都竹さんと目が合う。
その瞬間、一段と都竹さんの匂いが濃くなった気がした。
クラリとする。酒は飲んだことがないが酔っている状況というのは多分こんな感じなのだろう。
再び抱きあげられて寝室へと向かう都竹さんに、最後の理性で訊ねる。
「会社はいいんですか?」
「問題ない。」
そう答えられてしまうと何も言えなかった。
◆
ベッドに寝かされたかと思うと体をうつ伏せにされてストールを取られてしまう。
それから。番の証の上から噛みつかれる。
「あの番はお前の友人か?」
低い声で言われて一瞬誰の事を言われているのか分からなかった。
けれどそれがあのオメガとそれから一緒にいたアルファの事だとわかり、モヤモヤする。
「……都竹さんはもっとオメガらしいオメガの方がよかったですか?」
自分以外の人間の事を考えないで欲しかった。特にオメガの事など忘れて欲しい。
それが本能から来るものなことはもう知っている。
都竹さんは吐息だけで笑った気配がして、もう一度項に噛みつかれた。
「こうやって噛みつかれて喜んでいるお前がオメガらしくない訳が無いだろう。」
そう言うと、そのままズボンを脱がしにかかる。
まるで、獣の様だと思う。
だけど自分も嫌って位興奮していて、その獣の様な行為をただ期待して待っているのだ。
「もう、やらぁっ……。」
ろれつが回らなくなって酷い嬌声ばかりあげる様になってどのくらい経つだろう。
都竹さんはその間ほぼ無言で俺を責め立てる。
体も心も快楽にドロリと溶けて力は入らず、なすがままだ。
部屋中に都竹さんの匂いが充満している。
それだけで下肢がズクリと疼く。
はしたない自分の事を都竹さんが覚えているのか覚えていないのかは知らない。
気にしだしてしまったところでどうにもならない。
「早く、ねえ、もうっ……。」
都竹さんが欲しくて欲しくてたまらなくて思わずねだると、口付けをされる。
口付けというよりも口内をむさぼられるというのに近い行為に上手く息が出来ない。
都竹さんの舌が自分の舌の根元を撫でる。そのまま唾液を飲まされて舌を絡ませる。
頭の中が自分の番の事でいっぱいになる。
碌に息継ぎも出来ないのに、都竹さんはそのまま一気に俺の事を貫いた。
衝撃に思わずのけぞる。
それも許さないという様に肩を押さえつけられて根元までくわえ込まされる。
その行為全てが快楽をよんでいて、多幸感に思わず吐精してしまう。
少しだけ残っている思考はいったばかりでインターバルが必要だと分かっているのに、体も心ももっともっとと都竹さんを求めている。
どちらにせよまともに言葉を紡げないのだ。「あっ……。」とか「やぁッ……。」とか喘ぎ声しか出ないのだ。
都竹さんにはいいともいやとも伝わりっこない。
都竹さんは有無を言わせず抽送を開始して俺は中からグチャグチャになるしか無かった。
◆
ぐったりとベッドに横たわる横で都竹さんは今日はいつもより穏やかな表情で俺の髪の毛を撫でている。
「……ご迷惑をおかけして済みませんでした。」
婚約者で一応番なのだけれど、それでも申し訳ない気持ちで一杯だった。
「連絡をしろと言ったのは俺だ。」
そっけなく言うのに都竹さんの表情は優し気だ。
その表情をみて胸の奥の方が締め付けられるように甘く疼く。
「遺伝上の運命って周りから分かるものなんですか?」
「運命と番になった場合はフェロモンで分かる。」
だけど俺からはしていないということだろう。だから安藤は都竹さんが来て驚いたのだ。
「俺からフェロモンが出ていないのは置いといて、都竹さんからは匂いがしてるってことですよね。俺も分かればいいのに。」
それは多分俺の為の匂いなのに俺には分からない。
悔しくないと言えば嘘になるだろう。
「そんなものを嗅いでしまったら、まともな生活は無理だったろうから、諦めろ。」
あと、何か勘違いしている様だが匂いはしている。都竹さんはそう言ってもう一度俺の頭を撫でた。
微量すぎてこうやって近くに居ないと分からない位だけれど番の証のフェロモンが出ているらしい。
自分では分からないけれど、都竹さんがそう言ってくれるならそれでいい。
「貴方にとっての運命が俺ならそれでいいです。」
半ばまどろみながら都竹さんに言うと、先程噛んだ項にそっと口付けを落とされた。
了
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