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私には知らない事です

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「マーガレット!!これはどういう事だ!!」

怒ったオリヴァーが私に怒鳴りつける。
私は何について突然激昂されたのか私には分からなかった。

それできっと、実家から静観しろと言われたのがもしかしてこの件なのかもしれないと思った。

「一体全体何の事ですか?」

実家が援助をやめたか、援助に対する見返りを求めたのか。そんなところだろうと私は思った。

「は? ここまできてまさかシラをきるのですか?」

付いてきた義姉がそう言った。
彼女と私の実家は全くの無関係だ。

彼女が何かを言う様な話ではないのに何故連れてきたのか。

その理由はオリヴァーが次に言った言葉で分かった。
けれど、それは私にとっても驚くべき内容だった。

「我が家門に魔法使いの力がもうないという通達が来たんだぞ!!」

そんなくだらないことをするのはお前だけだろう! そうオリヴァーが怒鳴った。
当たり前だけれどそんなものは知らない。
この人を陥れて私になんの得があるというのか。

私の夫はそんな事も分からないのか。

「魔法使いの力が無いって言われてしまって、私の子はどうすればいいの」

悲痛な叫び声を義姉が上げた。
けれど、正直そんな事を言われても私は何も知らないし、そんな事をできる力があるのであれば端から政略結婚もしていない。

まるで悲劇のヒロインの様に泣く義理姉に白けた気持ちになる。
これを静観しろというのが実家の命令なのだろうか。

そもそも、どう考えても実家にそんな力はない。

うちは魔法使いの力が無いから、新興貴族で、だからこそ伝統のある貴族とのつながりが必要なのだ。
それこそ、金を湯水のように使ってでも欲しいのは魔法使いのコミュニティとの繋がりなのだ。

そこに私の意見等入る余地はない。

その伝統との繋がりを実際に何も与えてはくれない夫のオリヴァーに対して思うところは勿論あるけれど、それでもそれが義務だからと思っていた。

一番の義務である、魔法使いの子供を孕むことはできていないけれど、伝統的な貴族に嫁いで魔法使いと縁を作った。
それが周りからないがしろにされていると分かってしまっているから問題なのであって、別にこの家を魔法使いではないとすることによる利益が全くない。

「その通達はどこから……」
「王宮と公爵家の連名になっている」
「それこそ、うちの実家では無理ではないですか……」

金の力で動くものであれば何とかなっても王宮と公爵家は無理だ。
無理でなければ最初から私をこのうちと政略結婚をさせず公爵家なり王家なりにアプローチしている。

「じゃあ、なんで私達がこんな目にあうっていうのよ!!」

義姉がまた耳障りな声で叫んだ。
私が知ってるわけないでしょう。

何故私に八つ当たりをこの人達はしているのだろう。
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