けだものだもの

渡辺 佐倉

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本編15

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「これ、定期的に繰り返さないといけないんだよ?」


安藤さんが耳元で囁く。
それは嬉しいとかそんな響きは全くなく、どちらかと言うと憐憫に似た口調に聞えた。

何がそんなに悲しいのかは分からない。
多分安藤さんの常識と俺の中の感覚が違うのだろうという事は今までの色々なやり取りから分かっていた。

「気持ちよかったですよ」

なるべく優しく、できれば少しでも色気を含んでいればいいと思った。

「だから、何回されてもきっと嬉しい」

振り返ってそう言うと安藤さんは目を細めて、それから、「うん。何度でも噛んであげる」と言った。

じわり、とその言葉に下肢が熱くなる気がする。

安藤さんはべたべたになって、また兆している昂ぶりを撫でた後、脱がせかけだったズボンとトランクスを脱がせた。
安藤さんの指がしりのあわいに触れる。

安藤さんの香りは甘いを通り越して重たいような、下半身がずくずくと熱を持つようなにおいに変わっている気がする。

「安藤さんの匂い、こういう時はちょっと違うんですね」

性行為を誘うためのフェロモンなのだ。
その時に匂いの質が変わるのは当然なのだろうと思った。

安藤さんは、ふっ、と大きく息を吐くそれから俺の後孔に指を這わす。
そこはすでに愛液で濡れていて、彼の指を悦ぶ様に吸い付いている気さえする。

「番いになったからね。多分、それで匂いが違う風に感じられるんだろうね」

指を中に入れながら安藤さんは言う。
吐息交じりの嬌声を思わず上げてしまい返事が上手くできない。

この匂いは俺が番になったから感じられるものなら嬉しいと素直にそう思った。
それは安藤さんの言うところの獣の衝動かもしれないけど確かに嬉しかったのだ。

安藤さんの指が二本に増える。
中を広げる様に、それでいて俺の気持ちのいい部分を探すみたいに、中を安藤さんの指が撫でる。

俺はこんなことをするのは初めてだけど、彼のそのしぐさが優しいものだということ位分かる。
もっと乱暴に暴いてくれても別に俺は困らないのに、彼はこんな時でもなるべく理性的に優しい人間だとあろうとしてくれているみたいだった。

そんなこの人の事が好きだと思った。
その好きな人に触れられていると思うと、もっともっととはしたなく思ってしまう。
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