僕の輝ける伴星

渡辺 佐倉

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本編

ぬいぐるみ1

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◆ ◆ ◆

その変な贈り物が届いたのは毒物混入事件があってから数日後のことだった。
魔法使いはわざわざこんな風に人伝てで贈り物はしない。

王子宛てのものは普通王宮に贈る。

この家宛てという時点で怪しいとなって隔離された小包を前に防御用の魔法を展開する。
他の魔法使いを呼ばないのは俺を信頼している証と思っていいのだろうか。

そう思いながら、その怪しい小包を開けていく。

特に罠も呪いも毒もなにも無かった。
小包に入っていたのは、赤い宝石の様な石の目をした白いウサギのぬいぐるみが入っていた。

「ぬいぐるみ?」

なんでこんなものがと思う。
この家には小さな子供はいない。

使用人の子宛ての小包が誤って混ざったとも考えにくい。

「あら、やっと受け取ったのね」

ぬいぐるみが突然ぴょんと起き上がってこちらを見るように顔を向けてそう言った。

魔法の発動は一切関知できなかった。
それにこの声……。

「もしかして聖女か!」

ぬいぐるみに向かって言うと「あら、よくわかったわね」と聖女が答えた。

「こんな、いかにも女の子が喜びそうな術ばかりなのよ、聖女の奇跡ってやつは……。
ホント嫌になる」
「なら、ウサギじゃなくてもっと気持ち悪いモンスターのぬいぐるみとかにしたらどうだ?」
「そういう事じゃなくて!!」

聖女が「あなたホントなんもわかってないわね」と言った。
この術はすごいと思う。
遠隔操作でぬいぐるみを動かしながら周りに聖女の結界まで張って外部からの盗聴等に備えている。

女の好むようなものが嫌なら見た目を変えればいいと思うのだけれど、どうやらそういう話ではないらしい。

「で、用件は?」

この話は平行線にしかならなさそうだったので用件を聞く。

ぬいぐるみは俺をみて、それから隣にいたルイスを見た。

「もう、命は狙われた?」

聖女は当たり前の様にそう聞いた。
絶対の確信があってそう聞いている。という言い方だった。


「君が私たちの命を狙ったという犯罪告白かい?」

ルイスが聖女に聞く。

「まさか。そんなことをすれば私は聖女の力を失いますよ」

それは過去の伝承からも明らかでしょう? と聖女は言った。
ルイスがこちらを見る。少なくとも俺が過去調べたことのある聖女関連の資料からは悪しきことに手を貸した聖女はその力を失っていたので、ルイスに向かってうなずく。

「ふうん。じゃあ、君は何故私たちにそれを?
気をつけろって警告をしてくれているつもりかい?」
「私たちと同じ目に合ってるかの確認ですよ」

聖女は面白そうにそう言った。
その言葉はまるで、彼女たちも命を狙われている様な言い方だった。
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