僕の輝ける伴星

渡辺 佐倉

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本編

第三王子の扱い2

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いつもと違うと思った。

場所は何度も警備に携わったことのある公爵だかが持っているという建物だった。
建物の地図は完璧に頭に入っているし、主要な貴族の顔は警護対象になったことがあるので知っている。


知っている場所で、知っている顔だらけの中立っている。
けれど、今までと全然違うことが入場前から分かる。

「クラバットピン、似合っていますね」

さすがにいつもの魔法使いのケープで来るわけにもいかなかったので、一式準備してもらった。
使用人たちが「私たちの腕の見せ所ですね!!」と言っていたので髪の毛を整えるのを遠慮することもできなかった。

どんなに頑張ってもらっても、そこにいるのは平凡な容姿の魔法使いで申し訳なかったけれど、それでも楽しそうにしているので見守っていた。
出来上がったのは髪型と服装のみいけてる感じの残念な感じで。

それでもルイスとここまで二人で来てパーティをしているホールに入る前から視線を感じる。
それは王子を哀れむものではない。

いつもの夜会はこんな雰囲気だっただろうか。

哀れまれたり、嘲笑されたりするものはいくらでもいた。
金で爵位を買ったもの、没落していくもの。

それとは次元の違う視線を感じて思わずルイスを見る。
けれど、彼はその状態に驚いてもいないし、不思議がってもいない。

「呪いを受けた忌み子だ」

聞こえるか聞こえないかの声が聞こえた。

ルイスはそちらを見ようともしない。

「知っていましたか?
今日の髪型おそろいなんですよ」

その声をかき消すようにルイスが俺にそう言った。
それでルイスの髪型を見た。
俺と同じように、片側を上げる様にしてその反対側を下ろしている。
一人で見たときの髪型は、アシンメトリーなのに丁度鏡写しの様に二人そろうとシンメトリーになっている。
恐らく使用人たちが考えたのだろう。

彼が今聞こえてしまった言葉を打ち消すためにそんなことを言いだしたのはすぐにわかった。

「本当ですね。少しばかり恥ずかしいです」

俺がそう言うと、王子は嬉しそうに笑った。
それから「今日、というか基本的に外に出たときはつらい思いをすると思う」と静かに言った。

言われなきゃ、分からないが、多分先に言われても『それより、俺が男のことの方が馬鹿にされません?』って聞いてしまっていたと思う。
それに、多分これがこの人にとって日常で普通のことなんだろう。

俺は一度心の中をリセットするみたいに瞼を一度閉じて開く。

「言い返すのは?」
「一応今のところは無しで」

まだ、君一応平民だからね。
そう言って王子は笑った。
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