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どこかに二人で出かけることがこんなにも楽しみに思う日が来るとは思わなかった。
「そんなに彼と会うのが楽しみかい?」
宗吾さんに言われる。
今日はハウスキーパーさんの誘いで二人で出かける。
「はい。宗吾さんの事を自慢できるので」
本当はまだ少しだけ、この人に自分は不釣り合いなのではないかと思う。
少しずつ色々なことを知る度に宗吾さんは何も持っていない僕には相応しくないと思ってしまう。
だけど、そんな事をどれだけ思ってもどうしようもないことも知っている。
少なくとも、宗吾さんの執着は一生変わらないものらしいから。
それであればと、ぽつぽつと宗吾さんの事をハウスキーパーさんに話すと彼は「あー、もう!! 惚気はいいから!!」と言っていた。
それから、少しだけ悩んで「俺のとっておきの場所に二人で来るといいよ」と言った。
他の淫魔の知り合いもいるから。と言われて、少し悩んで宗吾さんと二人でお邪魔することにした。
「別にお前はどっちでもいいよ」と宗吾さんは言われていたけれど、ちょうど休みだからと二人で出かけることにした。
指定された場所は、郊外にある一軒家だった。
正確にはその家に隣接している畑。
そこで、ジャガイモの収穫をするという。
「畑仕事って結構いいもんだよ」
とハウスキーパーさんは言っていた。
それに、ハウスキーパーさんと二人きりになった時にそっと教えてくれた。
「人間の食べ物って、まあ、俺たちには正直全く必要のないものなんだけどさ」
ハウスキーパーさんはニヤッと笑う。
それから「だけど、パートナーの食べるものを自分が作ってるっていうのは結構優越感があるよ」と言った。
「ギブアンドテイクっぽくてちょっと気に入ってるんだ」
だから、一度見に来るといいよとハウスキーパーさんは笑っていた。
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