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当たり前の様に宗吾さんの手が僕の頬に触れる。
撫でられた場所が熱い気がする。

お腹は空いてない。
だから、触れ合う必要も本当は無い。

けれど、宗吾さんはそれをするのが当然という仕草で僕の頬を撫でて、それから僕に口付けを落とした。

心臓がバクバクと音を立てている。
思わず、自分自身の胸に手を当てて音を確かめてしまう。

それを見て宗吾さんは僕の手を取って、それから宗吾さんの胸に僕の手を強く押しつけた。

宗吾さんの胸も僕と同じように、ドキドキとしているのが服越しでも分かる。

「ね、一緒だろ?」

宗吾さんが切なそうな笑顔を浮かべる。
その表情が好きだと思った。

多分僕も似たような表情をしている。

「もう一度、キスしていい?」

宗吾さんが僕に聞く。
言葉で聞かなくても答えなんて分かってるだろうに。

宗吾さんを見上げると、もう一度キスをされた。
相変わらず、とても大事なものを扱うときの様な感じだ。

だけど、今はそこに愛情が込められているのを知っている。
僕にも愛情が込められていることを宗吾さんも知っている。


「もう一度……」

今度は僕が言うと宗吾さんは僕の体を抱き寄せて今度は、深い口づけをくれた。

相変わらず体は熱い。
お腹も減っていない。

だけど、彼にもっと撫でられたいと思った。
触れられたいと思った。僕も宗吾さんに触れてみたいと思った。

上手く言葉にできない。
宗吾さんが、僕の頭を撫でる。

それから「ベッドに行こうか」と言った。

多分宗吾さんも同じなのだと分かる。

「はい」

声にも甘ったるい熱がこもってしまう気がする。
これからするであろう行為に期待をしている。

それは空腹を満たすものではない事は、僕が一番よく分かっている。
食事の為ではない行為。

一度だけ失敗してしまったときの様な不安は、もう無かった。
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