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翌朝私が目を覚ますと義直さんはすでに起き上がってこちらを見ていました。
旦那様より後まで寝ているなんて、と慌てて体を起こすと「疲れていたんでしょうし、大丈夫ですよ」と笑われてしまう。
その言葉を聞いて、義直さんが私のために床から出ないでいてくれたのだと気が付きました。
じわりと、顔の表面が熱い気がする。
「おはようございます」
義直さんに言われて、二人で布団をたたんで押し入れにしまう。
それから朝ごはんを二人分。
おにぎりを握ってそれから、お味噌汁。
逆に気分を害してしまうかしらと思ったけれど義直さんは「ありがとうございます。いただきます」と言っただけでした。
「今日は節子さん、女中が来ますから家の事を聞いてください」
私は頷きました。
「それから――」
義直さんは左手でつかんだおにぎりを食べ終えてから言いました。
「夕方、少しいいですか?」
義直さんは静かに言いました。
私が頷くと目をゆるりと細めて満足そうに笑った義直さんは、私が言葉を話せない事に苛立った様子もありません。
静かな室内で二人でゆっくりと食事をしました。
そんな風に、ゆっくりと誰かとの時間が過ぎていくのを感じたのは久しぶりだったかもしれません。
誰かの私の事を邪魔そうにする視線も、舌打ちも、何もない静かで穏やかで、大切な時間の様に思える時間。
手を合わせて、それから箱膳に一旦食器をしまう。
水場の話も聞かなければいけない。
義直さんは節子さんを私に紹介してくれて、私の事情を簡単に話してくれた後、「しばらく書斎にいます」と言いました。
旦那様より後まで寝ているなんて、と慌てて体を起こすと「疲れていたんでしょうし、大丈夫ですよ」と笑われてしまう。
その言葉を聞いて、義直さんが私のために床から出ないでいてくれたのだと気が付きました。
じわりと、顔の表面が熱い気がする。
「おはようございます」
義直さんに言われて、二人で布団をたたんで押し入れにしまう。
それから朝ごはんを二人分。
おにぎりを握ってそれから、お味噌汁。
逆に気分を害してしまうかしらと思ったけれど義直さんは「ありがとうございます。いただきます」と言っただけでした。
「今日は節子さん、女中が来ますから家の事を聞いてください」
私は頷きました。
「それから――」
義直さんは左手でつかんだおにぎりを食べ終えてから言いました。
「夕方、少しいいですか?」
義直さんは静かに言いました。
私が頷くと目をゆるりと細めて満足そうに笑った義直さんは、私が言葉を話せない事に苛立った様子もありません。
静かな室内で二人でゆっくりと食事をしました。
そんな風に、ゆっくりと誰かとの時間が過ぎていくのを感じたのは久しぶりだったかもしれません。
誰かの私の事を邪魔そうにする視線も、舌打ちも、何もない静かで穏やかで、大切な時間の様に思える時間。
手を合わせて、それから箱膳に一旦食器をしまう。
水場の話も聞かなければいけない。
義直さんは節子さんを私に紹介してくれて、私の事情を簡単に話してくれた後、「しばらく書斎にいます」と言いました。
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