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愛の誓いなんていりません
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「私がリツを愛し続けるという言霊をかけてください」
うっとりと言われる。
出来なくはないけれど、リツに対してはほとんど気休めにしかならない上、人間というのは勘違いしやすいものだ。
一度、好きかもと思ってしまった気持ちは言霊の効果がなくなっても引きずる。
抱いてしまった感情を完全に捨て去ることは難しい。
「やめておいた方がいい」
そうですか、とウィリアムがすぐに引いたのでリツは内心ほっとした。
けれど、次の言葉でリツは思わずウィリアムをまじまじと見てしまう。
「それでは、私があなたに一生の愛を誓わせてください」
「は?」
言われた言葉の意味が分からずリツは低い唸り声の様な声を上げる。
あり得ない。何を言っているんだこの人は。
御子に権力上のそんな価値があるとは思えない。
先ほど聞いた質問にもそんな内容は無かった。
万が一、リツが言霊を使った瞬間彼が恋に落ちてしまったのだとしても、そこで一生の愛を誓うなんてどう考えてもおかしい。
重すぎる。どう考えても気持ちに対して言葉が重すぎるのだ。
「いや、いりませんよ」
リツは城に戻るつもりは無い。
蟲をみて戻ってきたあと聞いた話だと、この世界は四つの大きな国とそれ以外の小さな国が点在している。
他の国と協調するため、それから、百万はくだらないという数がいるらしい蟲を倒すためにやれることは多い。
明日、実際に蟲に寄生された人に会うのだ。
ほとんど学ぶ時間も無くここにきてしまったとはいえ、手はつくしたい。
「御子様。護衛を数名つけることをお許しください」
ウィリアムは諦めてくれたらしく、それ以上この話はしなかった。
他の言霊使いの存在を知って、リツが取るに足らない人間だと知った時彼はどうなるのだろう。
その心の準備もしておかないといけない。
けれど、色々なことが起こりすぎてその部分まで思考が回らない。
リツが曖昧に頷くとウィリアムは「御子様がいて下さるだけで国に安寧がもたらされるといいます」と言った。
まずはゆっくりとお過ごしください。
甘ささえ感じてしまう笑顔で笑いかけられて、リツは仕方がなく笑顔を返した。
うっとりと言われる。
出来なくはないけれど、リツに対してはほとんど気休めにしかならない上、人間というのは勘違いしやすいものだ。
一度、好きかもと思ってしまった気持ちは言霊の効果がなくなっても引きずる。
抱いてしまった感情を完全に捨て去ることは難しい。
「やめておいた方がいい」
そうですか、とウィリアムがすぐに引いたのでリツは内心ほっとした。
けれど、次の言葉でリツは思わずウィリアムをまじまじと見てしまう。
「それでは、私があなたに一生の愛を誓わせてください」
「は?」
言われた言葉の意味が分からずリツは低い唸り声の様な声を上げる。
あり得ない。何を言っているんだこの人は。
御子に権力上のそんな価値があるとは思えない。
先ほど聞いた質問にもそんな内容は無かった。
万が一、リツが言霊を使った瞬間彼が恋に落ちてしまったのだとしても、そこで一生の愛を誓うなんてどう考えてもおかしい。
重すぎる。どう考えても気持ちに対して言葉が重すぎるのだ。
「いや、いりませんよ」
リツは城に戻るつもりは無い。
蟲をみて戻ってきたあと聞いた話だと、この世界は四つの大きな国とそれ以外の小さな国が点在している。
他の国と協調するため、それから、百万はくだらないという数がいるらしい蟲を倒すためにやれることは多い。
明日、実際に蟲に寄生された人に会うのだ。
ほとんど学ぶ時間も無くここにきてしまったとはいえ、手はつくしたい。
「御子様。護衛を数名つけることをお許しください」
ウィリアムは諦めてくれたらしく、それ以上この話はしなかった。
他の言霊使いの存在を知って、リツが取るに足らない人間だと知った時彼はどうなるのだろう。
その心の準備もしておかないといけない。
けれど、色々なことが起こりすぎてその部分まで思考が回らない。
リツが曖昧に頷くとウィリアムは「御子様がいて下さるだけで国に安寧がもたらされるといいます」と言った。
まずはゆっくりとお過ごしください。
甘ささえ感じてしまう笑顔で笑いかけられて、リツは仕方がなく笑顔を返した。
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