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「どうしましたか?」
オーウェンさんに聞かれる。
「これ……」
貼られた紙に指を指す。
オーウェンさんは不思議な顔をしている。当たり前だ。
月の呼び方もその月が1年にどう推移していくのかもこの世界のものとは全然違う。
少し季節について話したけれど、あまり思い出したく無くていつこちらの世界に呼ばれたのかは話していない。
「これ、俺が召喚されたより後の日付なんですよ」
俺が言うと、オーウェンさんはひゅっと息を飲む。
「これ以外に日付の分かる様なものはあるかい?」
目は真剣だった。
元の世界とつながっているかもしれない。
何か、何かあるのかもしれない。
その細い糸につながりたくて思い出す。
「雑誌と新聞!!」
普段あまり利用しないし、オーウェンにそういうものは求められなかったため忘れていたが、図書館には確か新聞といくらかの雑誌が置いてあった。
夏休みの宿題の毎日の天気を書き忘れて図書館に新聞を見に来たことがあった。
確かと思い出してみた先に専用の棒の様な器具で挟まれた新聞があった。
確認する。
それからオーウェンさんに「俺がはじめてあなたとあった日から今日まで何日ありましたか!!」と聞いた。
俺があの勇者召喚に巻き込まれた日は一生忘れない。
それから神殿から出された日までは短かったため間違えることも無い。
何日かなんて数えて居なければ分からない気がしたけれど、オーウェンさんならという気もした。
「え? 125日だけど……」
当たり前の様に答えてくれる。
計算をする。
新聞を持つ手が震えている。
「これ、今日の新聞です」
勿論こちらと故郷が同じ日の進みとして考えた場合だけれど。
書かれている内容は国会議員が不倫をしていたというよくある記事ででもこの内容を俺は知らなかった。
オーウェンさんが俺の背中をそっと撫でる。
「慎重にやっていこう」
オーウェンさんはそう言った。
「もしあちらの世界とここに確かな繋がりがあった場合、……下手なことをして途切れさせたくはない」
まずは明日もう一度来て新聞の内容が切り替わることを確認しよう。
「ちなみに、図書館に忘れ物をした場合どうなる?」
オーウェンさんが俺に聞いた。
「それは普通に職員さんが気が付いたら、カウンター横の忘れ物入れに入れられると思います」
「見つからなかったら」
「多分そのままです」
実際ここは職員さんがいないから引っ越し用品も確認のために置いたパンもそのままだった。
その話もした。
オーウェンさんはうなずく。
「じゃあ、一旦ここをでて調査の準備をしよう」
オーウェンさんはそう言って俺と図書館の外へ出た。
オーウェンさんがその時に忘れ物をしたことを俺は知らなかった。
オーウェンさんに聞かれる。
「これ……」
貼られた紙に指を指す。
オーウェンさんは不思議な顔をしている。当たり前だ。
月の呼び方もその月が1年にどう推移していくのかもこの世界のものとは全然違う。
少し季節について話したけれど、あまり思い出したく無くていつこちらの世界に呼ばれたのかは話していない。
「これ、俺が召喚されたより後の日付なんですよ」
俺が言うと、オーウェンさんはひゅっと息を飲む。
「これ以外に日付の分かる様なものはあるかい?」
目は真剣だった。
元の世界とつながっているかもしれない。
何か、何かあるのかもしれない。
その細い糸につながりたくて思い出す。
「雑誌と新聞!!」
普段あまり利用しないし、オーウェンにそういうものは求められなかったため忘れていたが、図書館には確か新聞といくらかの雑誌が置いてあった。
夏休みの宿題の毎日の天気を書き忘れて図書館に新聞を見に来たことがあった。
確かと思い出してみた先に専用の棒の様な器具で挟まれた新聞があった。
確認する。
それからオーウェンさんに「俺がはじめてあなたとあった日から今日まで何日ありましたか!!」と聞いた。
俺があの勇者召喚に巻き込まれた日は一生忘れない。
それから神殿から出された日までは短かったため間違えることも無い。
何日かなんて数えて居なければ分からない気がしたけれど、オーウェンさんならという気もした。
「え? 125日だけど……」
当たり前の様に答えてくれる。
計算をする。
新聞を持つ手が震えている。
「これ、今日の新聞です」
勿論こちらと故郷が同じ日の進みとして考えた場合だけれど。
書かれている内容は国会議員が不倫をしていたというよくある記事ででもこの内容を俺は知らなかった。
オーウェンさんが俺の背中をそっと撫でる。
「慎重にやっていこう」
オーウェンさんはそう言った。
「もしあちらの世界とここに確かな繋がりがあった場合、……下手なことをして途切れさせたくはない」
まずは明日もう一度来て新聞の内容が切り替わることを確認しよう。
「ちなみに、図書館に忘れ物をした場合どうなる?」
オーウェンさんが俺に聞いた。
「それは普通に職員さんが気が付いたら、カウンター横の忘れ物入れに入れられると思います」
「見つからなかったら」
「多分そのままです」
実際ここは職員さんがいないから引っ越し用品も確認のために置いたパンもそのままだった。
その話もした。
オーウェンさんはうなずく。
「じゃあ、一旦ここをでて調査の準備をしよう」
オーウェンさんはそう言って俺と図書館の外へ出た。
オーウェンさんがその時に忘れ物をしたことを俺は知らなかった。
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