一匹狼の宝石採集記 〜異世界に召喚されたけど、授かったスキルのせいでパーティが組めません。仕方ないので、のんびり宝石でも集めます。〜

尾関 天魁星

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【第一章】新生活編

【第二話】ユニークスキル

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 勇気を出して、僕は前に進み出た。
 
 
「おお、さすが召喚者である。さぞ素晴らしい【スキル】をお持ちのことだろう」
 
 
 感心したように、神官の老人は言った。
 
 
 元々僕は、積極的な性格では決してない。
 
 
 小学生の頃から一人ぼっちで、友達は一人もいない。
 影の薄い、正真正銘の陰キャなのだ。
 
 
 しかし、異世界に召喚されたのは、僕にとって自分を変える良い機会だと思った。
 
 
 ここで有能なスキルを持っていれば、僕は英雄として充実した異世界生活を送れるのだ。
 
 
「それでは、ここへ」
 
 
 神官に促されたので、僕は祭壇から降りて石版の前に立った。
 
 
 後ろでは僕と同じ、召喚者たちが不安そうに見下ろし、神官たちは期待の目で僕を見ている。
 
 
「名前は、なんという」
 
 
「冬崎 雪華(ふゆさき ゆきか)です」
 
 
「ユキカ殿、ではこの石版に触れられよ」
 
 
 石版は、暖かい光を放っていた。
 
 
 僕は一度だけ深呼吸して、思い切って右手を石版に乗せた。
 
 
「おぉ・・・・・・」
 
 
 石版の光が一段と明るくなり、その場にいた全員が声を漏らした。
 
 
 そして石版の光が収まると、視界にウィンドウが映り、文字が表示された。
 
 
『【一匹狼】のユニークスキルを獲得しました。』
 
 
 視界の文字にはそう表示されていた。
 
 
 視界に文字や情報が表示されるのもテンプレ通りである。
 
 
 【ユニークスキル】というのは、名前からして僕だけが持つ唯一のスキルなのだろう。
 
 
 スキルの名前は分かったが、その効果は分からない。
 
 
「えっと、【一匹狼】って名前だったんですけど、効果はどうやって見るんですか・・・・・・?」
 
 
「ふむ、聞いた事がない【ユニークスキル】ですな。どんな効果を持つのか知りたい時は、心の中でスキルそのものを意識するといい」
 
 
 僕は言われた通りに、心の中でさっきのウィンドウをイメージしてみた。
 
 
 すると、簡単にウィンドウが表示された。
 
 
『ユニークスキル【一匹狼】
 このスキルを持つ者は、パーティを組むことが出来なくなる』
 
 
「・・・・・・」
 
 
 解説は、いたってシンプルだった。
 
 
 パーティが組めなくなる。
 
 
 つまり、仲間とチームを組んで戦うことが出来ないということだ。
 
 
「な、なんだこのスキルは・・・・・・」
 
 
 さっき触った石版にも同じような解説が書かれているようで、それを見た神官たちは驚愕していた。
 
 
「ユニークスキルというのは、大抵は持ち主やパーティが有利になるものだが、これでは不利になるだけではないか」
 
 
 神官の老人は、不服そうだ。
 
 
 神官たちはざわつき、他の召喚者たちは何が起こっているのか分かっていない様子だった。
 
 
 
 
 
 テンプレはテンプレでも、良くない方のテンプレだったのだ・・・・・・。
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