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【第二話】異世界の実情
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俺が聞く姿勢を整えると、中年の男性は名乗り始めた。
「申し遅れました、わたくしは忠翔と申します。この国の上級役人を務めております」
上級役人が何をする仕事なのかは分からないが、名前からして要職なのだと分かる。
名乗りはしなかったが、他の人達も似たような肩書きなのだろう。
「俺は冬崎雪斗って言います。仕事は普通の会社員です」
俺の自己紹介はそれだけだった。
特技も趣味もほとんど無いからだ。
強いて言えば、ゲームやアニメが好きなことくらいだ。
「それでは、わたくしからこの世界について簡単にご説明します」
こうして、忠翔からの説明が始まった。
彼の話しを要約すると、この異世界は人間が住む【人間界】と、魔族が住む【魔界】の二つが存在しているそうだ。
異世界作品などでよくある設定である。
二つの世界と言っても、違う時空に存在しているわけではなく、一つの大陸で隣合って存在しているのだという。
大陸の中央部には東西を横切るように高い山脈や広大な砂漠、大河などがあって、南北を分けているらしい。
その北側が【魔界】で、南側が【人間界】だった。
そして今から千年くらい前、突然【魔界】から【魔王軍】と称した軍隊や魔物が【人間界】に攻め入ってきた。
当時の人間界は幾つもの国家に別れていたそうだが、国同士で協力し、激戦の末に魔王軍を魔界まで撃退したそうだ。
その後、人間界は再び魔王軍が攻めてきても領土を守りきれるように、一つの巨大な国を建国し、魔王軍の再侵攻に備えてきたのだ。
その国こそ、大奏仁国だという。
◇◇◇◇◇
「・・・なるほど」
おとぎ話を聞いているようだった。
しかし、この世界で実際に起きた史実なのだ。
この世界に召喚された以上、信じるしか無い。
忠翔は話しを続けた。
「一度は撃退出来た魔王軍でしたが、あれから千年が経ち、魔王軍は前回をはるかに凌ぐ戦力を持っていると分かったのです」
まぁ、確かに魔王軍の立場からしてみれば当然の事だろう。
「もし次の侵攻が始まったら、我々人間だけの力では到底敵いません」
それで英雄として俺を召喚したということか。
大体であるが、事情は分かった。
しかし、問題がある。
「俺が英雄として召喚された事情は分かりました。でも、俺もただの人間です。魔族がどれだけ強いか分かりませんが、戦闘経験なんてありませんよ?」
ありのまま、正直に言った。
昔、部活で剣道をやっていた時期があるが、あくまでスポーツだ。
戦闘経験なんて言えたものじゃない。
そもそも、試合に勝ったことはほとんど無いのだ。
「申し遅れました、わたくしは忠翔と申します。この国の上級役人を務めております」
上級役人が何をする仕事なのかは分からないが、名前からして要職なのだと分かる。
名乗りはしなかったが、他の人達も似たような肩書きなのだろう。
「俺は冬崎雪斗って言います。仕事は普通の会社員です」
俺の自己紹介はそれだけだった。
特技も趣味もほとんど無いからだ。
強いて言えば、ゲームやアニメが好きなことくらいだ。
「それでは、わたくしからこの世界について簡単にご説明します」
こうして、忠翔からの説明が始まった。
彼の話しを要約すると、この異世界は人間が住む【人間界】と、魔族が住む【魔界】の二つが存在しているそうだ。
異世界作品などでよくある設定である。
二つの世界と言っても、違う時空に存在しているわけではなく、一つの大陸で隣合って存在しているのだという。
大陸の中央部には東西を横切るように高い山脈や広大な砂漠、大河などがあって、南北を分けているらしい。
その北側が【魔界】で、南側が【人間界】だった。
そして今から千年くらい前、突然【魔界】から【魔王軍】と称した軍隊や魔物が【人間界】に攻め入ってきた。
当時の人間界は幾つもの国家に別れていたそうだが、国同士で協力し、激戦の末に魔王軍を魔界まで撃退したそうだ。
その後、人間界は再び魔王軍が攻めてきても領土を守りきれるように、一つの巨大な国を建国し、魔王軍の再侵攻に備えてきたのだ。
その国こそ、大奏仁国だという。
◇◇◇◇◇
「・・・なるほど」
おとぎ話を聞いているようだった。
しかし、この世界で実際に起きた史実なのだ。
この世界に召喚された以上、信じるしか無い。
忠翔は話しを続けた。
「一度は撃退出来た魔王軍でしたが、あれから千年が経ち、魔王軍は前回をはるかに凌ぐ戦力を持っていると分かったのです」
まぁ、確かに魔王軍の立場からしてみれば当然の事だろう。
「もし次の侵攻が始まったら、我々人間だけの力では到底敵いません」
それで英雄として俺を召喚したということか。
大体であるが、事情は分かった。
しかし、問題がある。
「俺が英雄として召喚された事情は分かりました。でも、俺もただの人間です。魔族がどれだけ強いか分かりませんが、戦闘経験なんてありませんよ?」
ありのまま、正直に言った。
昔、部活で剣道をやっていた時期があるが、あくまでスポーツだ。
戦闘経験なんて言えたものじゃない。
そもそも、試合に勝ったことはほとんど無いのだ。
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