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【第一章】 新生活編

【第十二話】 リードアおばさん

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 翌朝、窓から射し込む朝日によって目が覚めた僕は、顔を洗って階下に降りた。
 
 
 少しだけ眠気はあったけれど、ちゃんとしたベッドで寝れたおかげで、体力は回復した気がする。
 
 
 食堂のテーブルに着くと、トーストに卵料理、そしてコーヒーなどが出された。
 
 
 新聞も自由に読めるようだったので、僕はのんびりと朝食を食べながら新聞を広げた。
 
 
 ベルテ村は小さな村だったから、新聞なんて無かった。
 
 
 だから外の社会の情報は、時々村にやって来る商人か役人から聞くしかなかった。
 
 
 しかし、ここは辺境の街と言えども、人口はそれなりに多いし、情報には困らないだろう。
 
 
 少なくとも、周辺の情報収集は簡単だろう。
 
 
「えらいわねぇ、その歳で新聞なんて」
 
 
 コーヒーをすすりながら新聞に目を通していると、宿屋のおばさんが声をかけてきた。
 
 
「その歳」って・・・・・・、僕はちゃんと成人してるんですけど・・・・・・。
 
 
 しかし、僕は泊めてもらっている身である。
 
 ここは愛想良く、答えた。
 
 
「村には新聞なんて無かったですからね」
 
 
「あらぁ、そんな遠くの村に居たのねぇ、一人でこの街に来たの?」
 
 
「はい。訳あって、一人で旅をしているんです」
 
 
「そうなのぉ、やっぱりその歳でえらいわねぇ」
 
 
 どうやら、このおばさんには、どうしても僕が子供に見えてしまうらしい。
 
 
 まぁ、低身長で身体は華奢きゃしゃたがら、無理もないだろう。
 
 
 それに加えて、この童顔。
 
 
 髭が伸びるようになったら、剃らずに残せば大人に見えるかな、と僕は束の間考えた。
 
 
「何かあったら、このリードアおばさんに相談しなよ! こう見えて、この街では顔が広いんだ」
 
 
 リードアと名乗ったそのおばさんは、明るく笑って、厨房の方へ戻っていった。
 
 
 ここの食事も作っているようで、料理の腕は確かだった。
 
 
 そして宿泊客もそれなりに多い。
 
 
 大通りから離れている宿屋にしては、知名度はある方なのだろう。
 
 
 もしかしたら、宿屋の経営に関しても腕が立つのかもしれない。
 
 
 新聞には、この街の事だけでなく、ここらの地域一帯を領土に持つテレスリアム王国全体についても記事が載っていた。
 
 
 そして何より僕が関心を持ったのは、【冒険者ギルド】に関する記事だった。
 
 
 その日に発行されたクエストの紹介や、【冒険者ギルド】のスタッフ募集の案内などが載っている。
 
 
 新聞に大々的に掲載されている所を見るに、【冒険者】という職業は、この街にとって無くてはならない存在なのかもしれない。
 
 
 そして、それらの記事のすみっこには、「このキャンペーン券を切り取って冒険者登録の際に提示すると、もれなく【アイテムポーチ】をプレゼント!」と書かれていた。
 
 
 
 
 それを見付けた僕は、早速リードアおばさんに許可を取った上で、そのキャンペーン券を切り取ってポケットに入れた。
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