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【第一章】 新生活編
【第五話】 スキルの発現
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布袋から取り出したその石は、とてもキレイな水色をしており、日光に照らされてキラキラと輝いていた。
それは石と言うより、鉱石や宝石と言った方が相応しかった。
「キレイだなぁ・・・・・・、これが売れ残りだなんて、信じられないよ」
その水色の宝石は、掘り出されたままのゴツゴツした状態だった。
細かい石や砂が付いたままだったけれど、多分、磨くともっとキレイになるだろう。
そうやって考えながらその宝石を眺めていると突然、視界に文字が浮き出してきた。
【アパタイト】
視界には、はっきりとその文字が浮き出ていた。
「うわっ! 何だこれ!」
僕は驚き、持っていた宝石をついつい放り投げてしまった。
宝石が手から離れた途端に、視界の文字は消えた。
「あっ」
ドポン。
放り出してしまった宝石は、そのまま池に落ちてしまった。
「そんな、折角もらった物だったのに・・・・・・」
視界に現れた文字。
あれは一体なんだったのだろう。
確か、【アパタイト】という言葉が浮かび上がってた。
よく分からない現象だったけど、もしかしたら僕の錯覚かもしれない。
キレイに光を反射していたから、見間違えてもおかしくなさそうだ。
「ワトが好意でくれた物だし、拾っておこう」
ズボンの裾をまくり上げて履き物を脱ごうとした時、僕はさらに不思議な現象を目の当たりにする。
「なんだ、これ」
池の水の一部が、凍っていたのだ。
さっきまでこんな氷は無かった。
そもそも、勝手に池が凍るような季節ではないのだ。
今は春で、暖かい。
よく見ると、さっき宝石を落とした所を中心に、氷が張っている。
何か関係しているのだろうか。
おそるおそる池に近付いてみるが、やはり水面が凍っている。
指先で触れたが、ひんやりと冷たい。
時間の経過と共に氷が溶けていったので、僕は水面の氷を叩いて穴を開けた。
凍っていたのは水面だけだったようだ。
幸いにも浅い池だったので、腕を水に突っ込めば底に触れた。
「この辺に落としたはずなんだけどな・・・・・・」
あった。
しっかりと手に感触が伝わったので、掴みあげる。
自分の服でその宝石を拭いてから確認したが、さっきと状態は同じだった。
【アパタイト】
宝石に意識を向けると、またさっきのように視界に文字が浮かび上がる。
二回目だから、もう驚かない。
もしかしたら【アパタイト】とは、この宝石の名前かもしれない。
では、池の水が凍ったのはなんだったのか。
時間が経っていたので、氷は溶けきってもう残ってはいなかった。
「そういえば、この宝石、何だかひんやりとしているような・・・・・・」
それは石と言うより、鉱石や宝石と言った方が相応しかった。
「キレイだなぁ・・・・・・、これが売れ残りだなんて、信じられないよ」
その水色の宝石は、掘り出されたままのゴツゴツした状態だった。
細かい石や砂が付いたままだったけれど、多分、磨くともっとキレイになるだろう。
そうやって考えながらその宝石を眺めていると突然、視界に文字が浮き出してきた。
【アパタイト】
視界には、はっきりとその文字が浮き出ていた。
「うわっ! 何だこれ!」
僕は驚き、持っていた宝石をついつい放り投げてしまった。
宝石が手から離れた途端に、視界の文字は消えた。
「あっ」
ドポン。
放り出してしまった宝石は、そのまま池に落ちてしまった。
「そんな、折角もらった物だったのに・・・・・・」
視界に現れた文字。
あれは一体なんだったのだろう。
確か、【アパタイト】という言葉が浮かび上がってた。
よく分からない現象だったけど、もしかしたら僕の錯覚かもしれない。
キレイに光を反射していたから、見間違えてもおかしくなさそうだ。
「ワトが好意でくれた物だし、拾っておこう」
ズボンの裾をまくり上げて履き物を脱ごうとした時、僕はさらに不思議な現象を目の当たりにする。
「なんだ、これ」
池の水の一部が、凍っていたのだ。
さっきまでこんな氷は無かった。
そもそも、勝手に池が凍るような季節ではないのだ。
今は春で、暖かい。
よく見ると、さっき宝石を落とした所を中心に、氷が張っている。
何か関係しているのだろうか。
おそるおそる池に近付いてみるが、やはり水面が凍っている。
指先で触れたが、ひんやりと冷たい。
時間の経過と共に氷が溶けていったので、僕は水面の氷を叩いて穴を開けた。
凍っていたのは水面だけだったようだ。
幸いにも浅い池だったので、腕を水に突っ込めば底に触れた。
「この辺に落としたはずなんだけどな・・・・・・」
あった。
しっかりと手に感触が伝わったので、掴みあげる。
自分の服でその宝石を拭いてから確認したが、さっきと状態は同じだった。
【アパタイト】
宝石に意識を向けると、またさっきのように視界に文字が浮かび上がる。
二回目だから、もう驚かない。
もしかしたら【アパタイト】とは、この宝石の名前かもしれない。
では、池の水が凍ったのはなんだったのか。
時間が経っていたので、氷は溶けきってもう残ってはいなかった。
「そういえば、この宝石、何だかひんやりとしているような・・・・・・」
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