クラスカースト最下位の僕、ジョブが【レジスタンス】だったので追放されました。でもなんかムカつくので実際に反乱軍を組織して国家転覆を目指します

尾関 天魁星

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【第四章】

【第四十二話】雪老

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 ハンス老人と構え合った日から、彼は何度か稽古に付き合ってくれた。
 
 
 しかし何度立ち合っても、彼の気迫の前には指一本動かすことが出来なかった。
 
 
 ハンス老人は一体何者なのだろうか。
 
 
 そんな疑問が、僕は常に持っていた。
 
 
 一月も半ばになった頃、ヘルベルトが目を覚ました。
 
 
 ひと月近くも、眠っていたのだ。
 
 
 目は覚めたが、刺し傷は完治していないので起きることは出来なかった。
 
 
 本人は大丈夫と言ったが、ハンス老人が許さなかったのだ。
 
 
「ユキト殿、あなたは命の恩人だ」
 
 
 ヘルベルトは僕を見て早々、そう言った。
 
 
「僕の方こそ、刺客から僕を救ってくれた」
 
 
 僕はヘルベルトに、ヘルベルトが倒れてからの事を話した。
 
 
 雪山を二人を担いで歩いたと話すと、ヘルベルトはとても驚いていた。
 
 
 ◇◇◇◇◇
 
 
 雪が降っていた日だったが、僕は外で拳を振っていた。
 
 
 寒かったが、十五分も身体を動かすと、汗をかいてくる。
 
 
 それが、意外にも気持ちが良かった。
 
 
「ハンス老人」
 
 
 いつの間にか、ハンス老人が近くで稽古を見ていた。
 
 
「気にしないで、続けなさい」
 
 
 ハンス老人がそう言うので、僕は木に向かって素振りをする。
 
 
 しばらく無言で見ていたハンス老人が、口を開いた。
 
 
「ふむ、ようやく分かった」
 
 
「えっ、何をですか?」
 
 
「ユキトお前は、異世界から召喚された者じゃな?」
 
 
 意外な言葉に、僕は驚いた。
 
 
「ど、どうしてそれが・・・」
 
 
「ほっほっほっ、お前さんがここにやって来た時、強い気配を感じたと言ったじゃろう? お前さんの年齢からすると、とても有り得ないことじゃと思ってな。稽古の様子を見させてもらった」
 
 
 ハンス老人は、髭を撫でながら続けた。
 
 
「自覚していないじゃろうが、この短期間でお前さんは着々と腕を磨いておる。時々立ち合ってきたわしが言うのだから、間違いはない」
 
 
「しかし、それがどうして異世界から来たのだと分かったのですか?」
 
 
「ジョブじゃよ」
 
 
 ハンス老人は、全てを見通しているようだった。
 
 
「お前さんも知っていると思うが、自身のジョブに沿った行動をとる時、本人の能力や成長は著しく向上する」
 
 
 確かに、国王もそう言っていた。
 
 
 やはりその理論は、正しかったようだ。
 
 
 一人で稽古をしていた時は無心になったが、そもそも稽古をする目的は、自分を強くして闘いに役立たせるためだった。
 
 
 その目的意識が、ジョブの【レジスタンス】に反応して武術の腕が上がったのだろうか。
 
 
「お前さんのジョブが何なのか分からないが、よほど強い目的があると見た」
 
 
 風が、強くなってきた。
 
 
 今夜は、吹雪だろう。
 
 
 
 
 
 
 
「ハンス老人、聞いてくれますか。僕の、目標を」
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