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【第四章】
【第三十七話】※ザイフェルト視点
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冷たい風が、上半身に当たって痛かった。
ヘルベルトの身体は、どんどんと冷たくなっている。
短剣はまだ刺さったままで、傷口も布で保護しているので、出血は弱くなっている。
しかし、流れ続けているのは変わらなかった。
あとどれだけ持つのか。
あのまま監獄に残っていたら、ヘルベルトは死に、自分とユキトも何かしら理由を付けて処刑されただろう。
そんな最後は、決して受け入れられない。
ユキトとヘルベルトと出会い、初めて希望という物を見た。
子供の頃に理不尽な理由で奴隷に落とされ、希望というものは無いと思っていた。
しかし、ユキトとヘルベルトは、本気でこの国を変えようとしている。
果てしなく難しい道だが、本気で立ち向かおうとしている人間が居るというだけで、充分な希望だった。
その二人を、決して死なせてはならない。
たとえ自分が死ぬことになっても、二人が生きていてくれるなら、希望を持ったまま死ねる。
だが今は、とにかく馬を走らせた。
バーゲス監獄からの追っ手の気配は今の所無い。
しかし、門に兵が居なかっただけで、自分たちが脱走したことはすぐに知られるはずだ。
少しでも遠くに、今は行かなければならなかった。
後ろの馬では、ユキトが必死にしがみついていた。
きっと、寒さに苦しいはずだ。
自分だって、刃物で突かれるくらいの痛みを感じるほどなのだ。
雪が強くなってきた。
雲は厚く、これはかなり降ることになるだろう。
街道を駆けたが、追っ手のことを考えると、得策ではなかった。
ちょうど北に向かう脇道があったので、馬をそちらに走らせる。
「おいヘルベルト、生きてるか」
「・・・」
意識は途絶えている。
しかし、生きている。
いや、生きようとしているのが、よく分かった。
絶えず、鞍の縄を掴み続けているからだ。
「待ってろ、どこか安全な場所に」
北に向かう間道は、山に続いていた。
そう言えば、脱獄して隠れる所として、北の山中に山小屋があるとヘルベルトが言っていた。
上手くいけば、そこに辿り着けるかもしれない。
もう、手足の先は、寒さで感覚が無くなっていた。
ふと、両手が無いのかと錯覚する。
それでも、馬は駆けさせた。
疾駆ではないが、中々に速い。
かなり駆けたので、追っ手に追い付かれる危険は無いだろうと思った。
この雪の中なら、なおさらである。
道は更に細くなり、いつの間にか道は途絶えていた。
木々の間を何とか進み、距離を稼ぐ。
突然、乗っていた馬が倒れた。
自分とヘルベルトは地面に放り捨てられ、積もった雪に落ちた。
馬は、長い時間駆け続けると、潰れる。
つまり、死ぬのだ。
周りを見れば、ユキトが乗っていた馬も潰れたようだった。
ヘルベルトの身体は、どんどんと冷たくなっている。
短剣はまだ刺さったままで、傷口も布で保護しているので、出血は弱くなっている。
しかし、流れ続けているのは変わらなかった。
あとどれだけ持つのか。
あのまま監獄に残っていたら、ヘルベルトは死に、自分とユキトも何かしら理由を付けて処刑されただろう。
そんな最後は、決して受け入れられない。
ユキトとヘルベルトと出会い、初めて希望という物を見た。
子供の頃に理不尽な理由で奴隷に落とされ、希望というものは無いと思っていた。
しかし、ユキトとヘルベルトは、本気でこの国を変えようとしている。
果てしなく難しい道だが、本気で立ち向かおうとしている人間が居るというだけで、充分な希望だった。
その二人を、決して死なせてはならない。
たとえ自分が死ぬことになっても、二人が生きていてくれるなら、希望を持ったまま死ねる。
だが今は、とにかく馬を走らせた。
バーゲス監獄からの追っ手の気配は今の所無い。
しかし、門に兵が居なかっただけで、自分たちが脱走したことはすぐに知られるはずだ。
少しでも遠くに、今は行かなければならなかった。
後ろの馬では、ユキトが必死にしがみついていた。
きっと、寒さに苦しいはずだ。
自分だって、刃物で突かれるくらいの痛みを感じるほどなのだ。
雪が強くなってきた。
雲は厚く、これはかなり降ることになるだろう。
街道を駆けたが、追っ手のことを考えると、得策ではなかった。
ちょうど北に向かう脇道があったので、馬をそちらに走らせる。
「おいヘルベルト、生きてるか」
「・・・」
意識は途絶えている。
しかし、生きている。
いや、生きようとしているのが、よく分かった。
絶えず、鞍の縄を掴み続けているからだ。
「待ってろ、どこか安全な場所に」
北に向かう間道は、山に続いていた。
そう言えば、脱獄して隠れる所として、北の山中に山小屋があるとヘルベルトが言っていた。
上手くいけば、そこに辿り着けるかもしれない。
もう、手足の先は、寒さで感覚が無くなっていた。
ふと、両手が無いのかと錯覚する。
それでも、馬は駆けさせた。
疾駆ではないが、中々に速い。
かなり駆けたので、追っ手に追い付かれる危険は無いだろうと思った。
この雪の中なら、なおさらである。
道は更に細くなり、いつの間にか道は途絶えていた。
木々の間を何とか進み、距離を稼ぐ。
突然、乗っていた馬が倒れた。
自分とヘルベルトは地面に放り捨てられ、積もった雪に落ちた。
馬は、長い時間駆け続けると、潰れる。
つまり、死ぬのだ。
周りを見れば、ユキトが乗っていた馬も潰れたようだった。
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