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【第三章】刺客戦編
【第三十話】※ヘルベルト視点
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ユキトの武術においての成長は、目を見張るものがあった。
常人なら三年から五年は掛かるところを、たったの数カ月で使いこなすようになった。
ユキトとの出会いは、天命だったのだと、自分は考えている。
彼に仕え、彼に尽くすことで、自分は生きる意味を持てるのだ。
そう考えると、監獄での生活も、全く苦ではなかった。
自分では、この腐敗した王国は変えられない。
修道院から出て王国内を旅して、それは骨身に沁みて分かっていた。
この国は、大きい。
大きいからこそ、一度腐れば、立ち治ることはない。
同じく大きな勢力によって滅ぼされない限り、腐ったまましぶとく続くのだ。
その大きな勢力になりそうなのが、ユキトだった。
彼には【レジスタンス】のジョブが宿っており、国家を転覆させるのに、最も大切な人物なのだ。
それゆえに罪人として追放され、暗殺の危機さえ迫っている。
まだこの世界の事について知らないことが多いが、それは今後自分が教えればいいことなのだ。
彼は護身術だけでなく、文字を覚えるのも早かった。
ユキトを導き、護り、支えるのは、自分の役割なのだ。
◇◇◇◇◇
十一月も終わろうとしている頃、数人の囚人が新たにやって来た。
息のかかった兵士によれば、王都から移送されてきた囚人らしい。
それぞれどんな罪を犯したのかは、その兵士には分からないようだった。
王都からの囚人と聞いて、自分は妙な感じを覚えた。
スタンナードという役人が、ユキトの命を狙っているのは、確実だった。
新たに就任した牢役人も、王都から派遣されている。
何かがユキトに迫っているのは、間違いがないだろう。
◇◇◇◇◇
後日、刑務労働中に新顔の囚人を見掛けた。
ぱっと見は、他と変わらないただの囚人だった。
しかし、胸騒ぎは消えなかった。
自分だと分からないように、わずかに気を放ってみる。
その囚人は、一瞬立ち止まり、またすぐに歩き出した。
自分の気に、確かに気付いた反応だった。
ある程度は武術の心得がないと、さっきの気は分からないはずだ。
つまりあの囚人は、何かしらの武術を遣える可能性がある。
顔を覚え、その日一日、その囚人をよく監視した。
他に怪しい所は無かったが、何度か気を放つと、確かに気付いていた。
あの囚人が、王都から派遣された刺客なのだろうと、自分は確信した。
しかし、始末するのは今すぐじゃない方が良い。
刺客が一人とは限らないし、すぐに始末したことで、新しく就任した牢役人にも勘づかれる可能性があるからだ。
今はじっと耐え、期を待つのだと、自分に言い聞かせた。
常人なら三年から五年は掛かるところを、たったの数カ月で使いこなすようになった。
ユキトとの出会いは、天命だったのだと、自分は考えている。
彼に仕え、彼に尽くすことで、自分は生きる意味を持てるのだ。
そう考えると、監獄での生活も、全く苦ではなかった。
自分では、この腐敗した王国は変えられない。
修道院から出て王国内を旅して、それは骨身に沁みて分かっていた。
この国は、大きい。
大きいからこそ、一度腐れば、立ち治ることはない。
同じく大きな勢力によって滅ぼされない限り、腐ったまましぶとく続くのだ。
その大きな勢力になりそうなのが、ユキトだった。
彼には【レジスタンス】のジョブが宿っており、国家を転覆させるのに、最も大切な人物なのだ。
それゆえに罪人として追放され、暗殺の危機さえ迫っている。
まだこの世界の事について知らないことが多いが、それは今後自分が教えればいいことなのだ。
彼は護身術だけでなく、文字を覚えるのも早かった。
ユキトを導き、護り、支えるのは、自分の役割なのだ。
◇◇◇◇◇
十一月も終わろうとしている頃、数人の囚人が新たにやって来た。
息のかかった兵士によれば、王都から移送されてきた囚人らしい。
それぞれどんな罪を犯したのかは、その兵士には分からないようだった。
王都からの囚人と聞いて、自分は妙な感じを覚えた。
スタンナードという役人が、ユキトの命を狙っているのは、確実だった。
新たに就任した牢役人も、王都から派遣されている。
何かがユキトに迫っているのは、間違いがないだろう。
◇◇◇◇◇
後日、刑務労働中に新顔の囚人を見掛けた。
ぱっと見は、他と変わらないただの囚人だった。
しかし、胸騒ぎは消えなかった。
自分だと分からないように、わずかに気を放ってみる。
その囚人は、一瞬立ち止まり、またすぐに歩き出した。
自分の気に、確かに気付いた反応だった。
ある程度は武術の心得がないと、さっきの気は分からないはずだ。
つまりあの囚人は、何かしらの武術を遣える可能性がある。
顔を覚え、その日一日、その囚人をよく監視した。
他に怪しい所は無かったが、何度か気を放つと、確かに気付いていた。
あの囚人が、王都から派遣された刺客なのだろうと、自分は確信した。
しかし、始末するのは今すぐじゃない方が良い。
刺客が一人とは限らないし、すぐに始末したことで、新しく就任した牢役人にも勘づかれる可能性があるからだ。
今はじっと耐え、期を待つのだと、自分に言い聞かせた。
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